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知事記者会見(年末)/平成27年12月28日/庁議報告ほか
会見日時:平成27年12月28日月曜日 16時00分から16時25分まで
会見場所:第三応接室
会見者:三村知事
○幹事社
知事から、今年1年を振り返っての所感をお願いします。
○知事
平成27年も余すところ、あと4日となりました。
県政記者会の皆さまには、この1年間、青森県勢発展のためご協力いただいたことに感謝申し上げたいと思います。
昨年、この場で、今年の干支、乙未(きのとひつじ)の字にちなんで、改革や新しいことを進めようとして、困難に遭い思うように進められないことがあったとしても、焦らずに時間をかけて忍耐強く、根気よく進めることで、やがては大きな成果を得る年ではないかとお話しさせていただきました。
振り返ってみますと、青森県初の特A米「青天の霹靂」が皆さまのご支持を得ることができましたし、リンゴ販売額1,000億円台となり、輸出量も3万トンを突破したほか、ホタテガイ生産額も大量へい死という困難を乗り越えて160億円超になる、これは10月末ですからもっと増えてると思いますが、など、生産者のみなさま方による日頃からの努力が、まさに実を結んだ年であったと改めて感じています。
昨年の稲作を巡る大きな環境変化に続いて、今年もTPP協定の大筋妥結という大きな波が押し寄せてきたわけですが、本県の農林水産業は、先ほど申し上げたリンゴ、ホタテだけではなく、中南地域のモモの販売額が初めて1億円を超え、桜桃でもジュノハートという期待の新品種が出てきています。また、県家畜市場での子牛年間取引額が過去最高になり、林業にあっても、大型木材加工施設やバイオマス発電施設の操業という動きがありました。さらに、平成26年度の新規就農者が平成に入って最多となりました。新たな成長の芽が出てきている、持てる力を遺憾なく発揮して、成長産業化に向けて力強く進んでいる、そのように考えているところです。この流れを途切れさせることなく、更なる成長へとつなげていくため、文字どおり攻めの姿勢で、攻めの農林水産業に取り組んでいきたいと思います。
農林水産業に携わっている方々に申し上げたいことがあります。TPP等含めて大きな環境変化ということが今起きています。しかし、「共に戦いましょう、やれるぞ私たちは」と言いたいと思います。
また、好評を頂いています画期的なロジシステムであるA!Premium(エープレミアム)についても、実現までには大変な困難があったわけでありますが、運用開始により、例えばホタテガイなどの青森のプレミアムを、福岡など西日本には翌日午前、国内の85パーセントにということになりますが午前中に、また、東南アジアには翌日中に届けることができるようになりました。本州の端っこという、地理的に不利という本県の成長の壁を取り払ったこのシステムがスタートしたことは、私としては大きな成果であり、また大変大きなチャレンジへのスタートであると思っています。
この取組を通じてお付き合いを頂くことができた沖縄県物産公社の協力を頂いて、商社やバイヤーの方々を招いての輸出商談会を開催することができたことなど、具体の動きにまで拡がってきていることは、本県産品の輸出振興の面でも大きな一歩だと思っています。今後大きく発展していくのではないかと期待をしています。
また、交通基盤、交流人口という面では、インバウンドが大変元気な年でございました。また、杭州線就航というニュースがございました。函館との同時就航により、杭州からの立体観光の手段が実現するわけでございますから、一日でも早い就航ということについて改めて期待するとともに、万全の準備を進め、このチャンスを確実に手にしたいと思っています。北海道新幹線開業も目前でございます。関係業界のみなさまとともに、しっかりと取り組んでいきたいと考えているところでございます。
さらに、健康づくりの取組が深まってきていると実感した年でございました。短命県返上、この思いを一人ひとりの県民の方々も共有しはじめてくださったのではないかと思います。確かに県が旗を振って始まった動き出しではございましたけれども、食生活改善推進員のみなさんなど、あるいはメディアのみなさんなど、本当にご協力をいただいて、具体的な、例えば減塩であるとか、あるいは「だし活」といった活動にまで、これまで以上にそれぞれの分野で取り組んでくださっていますし、「食命人」の皆さんもそれぞれに取り組んでいただいているわけでございます。健康づくりは、多くの県民のみなさま一人ひとりに取り組んでいただかなくてはならない課題でございますので、一気にはいかなくとも、途切れることなく、まさに継続は力、徐々に浸透していければと考えているところであります。今後は、中小企業のみなさまを始めとする雇用側の取組、「健康経営」という切り口にも期待をしたいと思っています。
私自身、この1年はもとより、就任以来、愚直に、そして果敢に取り組んできたという思いがございます。さまざまなできごとがあった1年ではございましたが、さまざまな分野において、我々は戦える、やれるぞ、ということを、県民の皆さま方がむしろ県民力として示してくれた1年であったと思っています。県民の皆さま方のご理解とご協力により、1年をこうしてみんなでがんばって過ごすことができました。本当にありがとうございましたと申し上げたいと思います。
そして、来年の干支は丙(ひのえ)申(さる)であります。ひのえは甲乙丙の丙と書くわけでございますが、一説に、光が四方に広がるさまを意味し、さる、申すという漢字も「のばす」を意味し、果実が成熟して固まっていく状態を表すとも言われているわけであります。今年に引き続き、諸事成長発展をする年、着実に事を進めて大きな成果を得る年になってほしいと願っています。
前回の丙(ひのえ)申(さる)の年は昭和三十一年でございましたが、経済白書が「もはや戦後ではない」と宣言し、石原裕次郎さん、われわれには懐かしい本当に素晴らしいスターですが、そのデビュー作となりました映画「太陽の季節」が公開された年でございました。文字どおり、更なる発展・成長のスタートとなった年だったのではないかと思います。
60年ぶりの丙(ひのえ)申(さる)となる来年が、字義どおり光り輝く、成長の年となりますよう、これまで進めてきたさまざまな取組を一層充実させ、一歩一歩愚直に、職員ともども取り組んで参りたいと思います。よろしくお願い申し上げまして私からのご挨拶とさせていただきます。
本当にありがとうございました。
○記者
今年1年、県民力を示してくれた、戦えるということを示してくれた1年だったということだったんですけれども、改めてどういうふうにこの1年を感じられたのか、もっとざっくりとした話で総じてどうだったかをお聞かせください。
○知事
例えば、青天の霹靂も、A!Premium(エープレミアム)のシステムでもそうだったのですけれども、青森の人の凄さというのは、「みてろ、俺が一番に立ててやる、俺が取らせてやる」というのがあるんですよね。(青天の)霹靂の時は特にそれを感じたんですけれども、競い合って最高のものを作ろうとか、A!Premium(エープレミアム)のシステムをやる時でも、うちの職員だけではなくみんなで知恵を出したりとか、あるいは、私どもにとりまして健康づくりのことというのは本当に大きな課題なわけですけれども、そのことに対しても、これまでの食改(食生活改善推進員)とか医師会とか、そういう分野だけではなくて、みんなで、これは保健師さん達から聞いたんですけれども、県民の方々も「やろうや」っていうような、ざっくり言えば、青森県民がそれぞれに思い切り持てる力を発揮する、その発揮した力がそれぞれの分野でしっかりと方向性を持って強く前進した、強く動き出した、そういうふうな年であったのではないかと思っています。
やると言った時の県民力の凄さというものをしっかりと感じたと思います。
○記者
杭州線の延期について改めてお伺いします。
○知事
これには驚きましたね、実際。
つい先日までは、商談会をやる、ハンドリングの準備をする、完全に航空会社そのものはすっかり体制をとっていたことは、逆に皆さんもご存じだと思います。
杭州空港における発着枠確保ということで、いわゆる当局からの調整が突然きた、そういう話のようでございます。
現在、北京首都航空では、なんせあれだけ準備をしていたわけでございますので、中国政府当局との調整を行っているそうでございます。
我々も関係機関と連携を図って、杭州での各種プロモーションや観光客受け入れ準備を進めていたところでありまして、できるだけ早く、この発着枠問題というものが解決し、一日も早く就航されるということを期待しております。
県としては、もちろん、北京首都航空に早期就航を働き掛けますとともに、引き続きわれわれとしてやるべきこと、杭州での知名度向上、観光客の受け入れについて万全の準備でいきたいと思っています。
「やめた」というのではなくて、急に発着枠の関係で、向こうの当局の方から、混雑空港だから、調整が必要だという連絡があったという話なんですけれども、詳細は詳しくは分からないところがあるのですが、そういう状況であるようでございます。
ただ、ご案内のとおり、首都空港とすれば、商談会だとか、青森空港まで来て、ちゃんとハンドリングと言って、どう着けて、荷物がどうとかって、全部調整していたわけですから、お互いに、非常に突然そういう話が当局の方からあったということについては驚きを禁じ得ないところでありますけれども、しかしながら、どちらにしても、早期就航ということで、早く中国の政府当局との調整が済んでくれることを期待しているところであります。
○記者
1年を振り返って、4月に青函トンネルの発煙事故がありました。実は、昨日ですが、北海道内でやはりトンネル火災というのがまたありました。来年を迎えれば3か月後に新幹線ができると。これに対する不安感とか、JR北(海道)への安全性向上の要望というようなところの知事の所感をお伺いしたい。
○知事
鉄道だけではなくて、全ての交通関係、公共交通含めて、あるいは、車も含めて、交通関係の基本というのは、やはり安全ということをきちんと確保していくことだと思いますし、まして営業運転というと変ですけれども、お客様をということになりますと、安全確保ということについては万全を期していただきたい、そのことを強く求めたいと思っています。
また、青函トンネルでも訓練であるとか、さまざまなパターンを想定した取組を行っている最中でありますので、その中で、常に訓練というのは課題が出てきますので、課題を抽出して、その課題を解消するという形でより安全を高めていくということの努力はお願いしたいと思っております。
○記者
TPPの関係なんですが、先日、政府は影響試算を公表しまして、農林水産生産額、最大で2100億円減ですとか、米は減少額ゼロですとか、数値も出されたのですが、それに対する知事の受け止めと、また、県としての試算、今後、どうのように取り組んでいかれるのかのお考えをお願いします。
○知事
試算の前提が、こういったら失礼ですけれど、あらゆる対策が上手くいって、マックスではなくてミニマム的なのではないかなという、印象としてそういうことを受けましたが、一応、お話をもう一度させていただきます。
公表された分析結果では、TPP発効による経済効果について、関税率引下げや非関税障壁削減に伴う輸出入のコスト縮減、貿易・投資促進による国内産業の生産性向上などにより、国内総生産が14兆円拡大する見込みであるとされています。あわせて、農林水産物については、関税削減などの影響で価格低下による生産減少額が約1300億円から2100億円になるとの試算も示されました。
これらの内容については、現在、情報収集と精査の作業をさせているところなのですが、総括的に申し上げますと、まずは国においては、この効果が現実のものとなるよう、諸対策をしっかり講じることを期待したいと思っています。それでこそのこの額だと思います。
さらに、農林水産分野については、人口減少や食生活の変化等による国内消費の減少とあいまって、県内農林水産業への影響が懸念されるところであります。
県としては、試算の方法などについて、国としてどういう試算方法に基づいてこうなったのかということの情報収集をいたしますとともに、本県農林水産業の担い手や関連事業者が将来にわたって意欲と希望を持って経営に取り組めるよう、国の補正予算等の事業を積極的に活用するなどして、県としての対策を検討したいと思っております。
試算するかどうかということなのですけれども、内閣官房が12月24日に出してきたのですけれども、今回、平成25年3月の試算と同じ33品目が対象となっており、大筋合意内容や政策大綱に基づく政策及び合意内容の最終年における生産額の影響を試算したと言っています。
県としては、試算の方法などについて、国からの情報収集をして、この影響を捉え、正しく捉えることができるものであるかどうか。というのは、品目に後からのがあったりとか、いろいろ実は試算のやり方については、どこをどうしてこうなのか、ひょっとしてマックスじゃなくてミニマムではないのとか、いろいろとお伺いしたいことが多々あるという状況でございまして、そういったこと等が、積算方程式は一通りではないというような感じもあるものですから、あと、要因がいろいろあるということ、数字ですからざっくりというわけにはいかないと思いますので、そういった本県農林水産業の影響を正しく捉えることができる試算の方法なのかということ等について、国からしっかりと承った上で、対応をどうするかということを検討したいと思っているところであります。
正確を期して農林水産部で何か言うことがあれば。
○農林水産部長
国の方で、年明け1月12日に大綱に基づく対策等について説明会があります。その中で、更に情報を聞いて、先ほど知事がお話したように県の対応を検討していきますが、国が言っている対策を講じれば、農家所得は確保され、生産量が維持されるのかについては、本当に生産現場でそういうふうに理解できるのか、論理的な説明を国に強く求めていきたいと考えています。
○記者
まず、人口減少関係ですが、国調(国勢調査)の結果で出ましたけれども、改めて受け止めをお願いします。
○知事
速報を見ると、たまたまかもしれないですけれども、うちで考えていたものより踏み留まっていて、その辺を含めて言わせてもらえるならば少し話をさせていただきます。
今回の速報値で、前回の国勢調査と比較して4.7%の減となりました。国立社会保障・人口問題研究所による将来人口の推計値130万5,510人を約3,100人あまり、また、今年8月に策定した「まち・ひと・しごと創生青森県長期人口ビジョン」における「総人口の将来展望」130万6,273人を約2,300人あまり上回るという結果であります。
しかしながら、減ったということについては、人口減少が続いていることに変わりはありません。
ただ、先ほども少し申し上げましたけれども、農林水産業分野で新規就農が最も多かったとか、そういった部分も、行ったり来たりの中で、私どもが想定していたものよりは減り幅が少なかったということを少しだけ言わせてください。
そこで、本県の強みをとことん生かした「攻めの農林水産業」、あるいはライフ関連産業の推進、交流人口拡大に向けた取組、あるいは県民の健康意識の盛り上がり、40代、50代を健康に、何とかここで頑張るということですけれども、そういったこと等、種々さまざま対策を今、打ち出しているものがありますけれども、それを更に一層強化して、この人口減少に立ち向かっていきたい。
そしてまた、我々が取り組んできた成果が一筋の光として、これは希望的観測と言われればそうかもしれないですけれども、一筋の光として、我々の分析も、国立社会保障・人口問題研究所による推計値も含めて、それを上振れしたということは、一筋の光があるのではないか。やはり、しっかりとした産業雇用施策、特にゆりかごである、ここが一番可能性がある、子どもが増えていく可能性があると私は思っていますけれども、農山漁村集落を守るという仕組みのことであるとか、そして40代、50代で命を失わないための対策・施策ということであるとか、そして交流人口においての持ち時間を増やしていくとか、こういったことをやはり着実に取り組んでいきたい、そう思います。
そのことで、われわれとして、人口減少ということに対しては、堂々と立ち向かっていく。寄り添うのではなくて、堂々と、これに対して、われわれとしては、青森県、踏ん張るぞということを、県民の皆さま方ともども示していければと思っています。
更に、現在、都以外だと思いますけれど、それぞれの道府県において対策が行われているわけですから、東京というファクター、一番大きいファクターに対して、これはやっぱり日本国として、どういう施策・対策を示すのかということは、私としては物凄く興味深く、またやるべきことをやっていただきたいという思いがございます。
○記者
最後に、高浜原発、燃料の装填が始まりまして、MOX燃料もセッティングされるという話なんですけれども、これについて、サイクル絡みもあると思いますので知事の所感をお願いします。
○知事
私としても、管轄外なので言えるところまででございますけれども。
今回、福井県が了承したという、高浜の原子力発電所、3、4号機については、関西電力において再稼働に向けた準備が進められていることは承知しております。
そして、この原子力発電所の再稼働、これら、要するに原子力の関連につきましては、何よりも安全性の確認を前提に国、事業者が責任をもって地元の了解、そして協力を得ながら、理解、協力を得ながら進めていくということが重要であるというふうに、これは大変恐縮ですが、一般論として申し上げます。
○記者
プルサーマルはどうですか。
○知事
プルサーマルにつきましては、それぞれ事業者、あるいは国含めて、粛々と進めていくということが、いろんな、いつもやり取りの中で話されておりますので、そういった方向性の1つであると思っています。
○幹事社
よろしければ。
それでは、以上で年末記者会見を終わります。
○知事
それでは、本年も大変ありがとうございました。
どうぞ、それぞれ良いお年を。
-以上-
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