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更新日付:2025年1月28日 広報広聴課
知事記者会見(年末会見)/令和6年12月26日
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知事記者会見録
会見日時:令和6年12月26日木曜日 16時00分~17時10分
会見場所:県庁西棟889会議室
会見者:宮下知事
〇幹事社
ただ今から、年末記者会見を始めます。
まずは、知事から報告をお願いします。
〇知事
【令和6年を終えるにあたって】
今年1年を漢字一文字で振り返ると「芽」です。青森新時代を掲げてスタートして1年半、さまざまな部分で新しい政策の芽となることを次々と打ち出せた1年でした。
この「芽」という字の中には、「牙」という字が含まれています。さまざまな新しい課題を乗り越えていくためには、これまでの慣習や因習をかみ砕いていくパワーが必要です。これからも草の下に眠っている牙を出しながら進んでいくという意味も込めて、今年1年、「芽」という言葉で振り返らせていただきました。
【令和7年4月地域県民局の見直しについて】
地域県民局の見直しについて、我々としての案が固まりましたのでご説明申し上げます。
地域県民局については、ゼロベースで、県民目線での見直しを実施します。見直しのポイントは3つあり、1点目が専門性の発揮、2点目が市町村との連携強化、3点目が災害に強い現場体制の構築です。
見直しの効果としては、県の政策テーマと連動した取組が、現場で、強力にスピード感を持って実施される体制となるよう取り組んでいきます。
また、県民の皆さまにとって、県の施策の効果がより実感しやすくなり、県庁がより身近なものになるような改革にしたいと考えています。
見直し後の組織として、地域連携事務所を新設します。この事務所では、地域づくり、地域交通などの交通・地域社会部の所管する事務や、産業や観光振興などの地域振興に関する事務、災害対策本部地方支部に関する事務、財産管理等の総務的な事務を行うことになります。ほぼ全ての部にぶら下がるような形での地方事務所となります。
その他は従前のとおり、財務部の出先機関として県税事務所、環境エネルギー部の出先機関として環境管理事務所、健康医療福祉部の出先機関として保健所と福祉事務所、こども家庭部の出先機関として児童相談所、農林水産部の出先機関として農林水産事務所、県土整備部の出先機関として県土整備事務所となります。
それぞれの名称ですが、今回、統一することといたしました。地域連携事務所は、従前の地域県民局の名称のとおり、東青・中南・三八・西北・上北・下北地域連携事務所となります。これを基本にして、農林水産事務所と県土整備事務所は同様の名称となります。県内全域を所管する事務がある県税事務所と福祉事務所、児童相談所では、東青ではなく中央という名称にしています。
環境管理事務所は県内4つしかございませんので、それぞれの事務所の立地している市町村の名称にしています。
保健所は、中核市である青森市と八戸市がそれぞれ保健所を設置していますので、東津軽保健所と三戸保健所という名称にしています。
福祉事務所は、市部はそれぞれ福祉事務所を設置しており、町村がメインになりますので、こちらも三戸福祉事務所という名称にしています。
その他は、基本的に名称を統一する形でこのように整理いたしました。
今後のスケジュールですが、2月頃までに各事務所の内部組織や、担当事務の項目等について、さらに詳細を整理し、令和7年2月定例県議会に条例の改正案を提出することとしています。
各事務所で具体的に実施する事業については、令和7年度当初予算編成の過程で整理し、公表いたします。
なお、地域連携事務所が所管するエリアは地域県民局と同様になります。
続いて県税事務所、農林水産事務所、県土整備事務所も同じ6圏域です。
一方で、保健所は、青森市と八戸市を除いて概ね同じですが、板柳町は中南保健所、おいらせ町は三戸保健所が所管します。
続きまして福祉事務所は、10市を除いて同様であり、板柳町は中南福祉事務所、おいらせ町は三戸福祉事務所が所管します。
児童相談所は、保健所や福祉事務所と同様の6圏域となっています。
最後、環境管理事務所は4圏域となっています。
具体的な事業については予算編成の過程の中で明らかにし、県民の皆さまにお知らせする広報も充実していきたいと考えています。
【令和6年度一般会計補正予算(専決第2号)について】
令和6年度補正予算として、2つの案件について専決処分いたしました。
一般会計補正予算計上額は12億1,615万3千円となり、補正後の予算額は7,112億3,207万4千円となります。
これは国の総合経済対策の補正予算が成立したことに呼応して、これまでも行ってきた国策としてのLPガスや灯油の支援事業についての予算措置です。
具体的には、生活困窮世帯を対象に灯油購入費を助成する市町村への支援として、1世帯当たり7千円を上限とした予算となっています。県2分の1、市町村2分の1ずつの負担となっており、県から市町村に補助金を交付するという形になっています。
2点目のLPガスは1世帯当たり2千円を限度に、約40万世帯を対象に国の交付金を活用しながら行うものであります。
市町村は既に、生活困窮世帯に対して2万円を交付するということで準備を始めていますので、灯油の支援については、それに上乗せして直ちに実施できるよう、年が明けて市町村がすぐに事務を開始できるような段取りとするため、専決処分をさせていただいております。
【年末年始の雪害防止の呼びかけについて】
最後、3点目、雪が大変な状況になっています。青森市、弘前市を中心に津軽地方全体で、12月の降雪量がかつてないほど多く、ほぼ生活災害と言っても良い状況です。年末年始も降雪量が多いという見通しですので、年末年始の雪害防止について呼びかけます。
除雪作業の支障や交通渋滞の原因となるような路上駐車は控えていただきたいということと、車でお出かけの際には事前に気象や道路状況を十分に確認してください。
私たち、危機管理を担当している者として、一番恐れているのはやはり命に関わることです。吹雪の日に外に出てスタックしてしまうと、取り残されてしまい命の危険にさらされる危険性がありますので、猛吹雪など気象状況が悪い時には、不要不急の外出はなるべく控えるようにしてください。
また、毎年、除雪作業の際に亡くなる方がいますので、安全管理を徹底してください。特に屋根の雪下ろしの際には、自分だけは大丈夫と思わず、ヘルメットや命綱を使用するようにしてください。私も数年前に知り合いを亡くす経験をしましたので、気を付けていただくようお願いします。
さらに、屋根からの落雪にも注意してください。まだ12月ですから寒暖の差があります。今日はとても暖かく、落雪の危険性が高いので、ぜひお気を付けください。
最後、おまもリスのPR動画がありますので、ご覧ください。
年末年始、大雪には十分お気を付けいただいて、また除雪作業等も安全を確保した上で取り組んでください。
【質疑応答(報告案件について)】
〇幹事社
続いて、各社からの質問といたします。質問は簡潔になるようご協力をお願いします。
質問のある方は挙手をお願いいたします。
〇記者
県民局の見直しについて、見直しの3つのポイントというお話がありましたが、このポイントに関して、現行の体制ではどのような課題があるとお感じになっていたかをお伺いします。
去年の年末会見でも同じテーマで質問をしていて、繰り返しになってしまいますが、改めてその見直しの理由を伺えればと思います。
〇知事
私自身も市長時代には、県とさまざまなやり取りをしてバックアップを受けながら、時にいろいろ衝突しながらも取り組んできた経験があります。
その中で、市町村から見て、また一県民から見て、県民局の存在感が非常に薄くなっていた感じがありました。
また、カウンターパートがどこかという話になった時、これまでは県民局長でしたが、県民局長は農林や県土、保健福祉など特定の分野に極めて高い専門性を持っているわけではなく、リーダーとしてのコーディネーターの機能はあっても、そこに一つ壁があるように感じていました。
今回、それぞれの事務所という形にすれば、市町村が抱えている課題を、どこの事務所に持っていけば現場レベルの対応ができるかということがスムーズになります。
基本的には各事務所の所長というのはその道のプロなので、そこで市町村とのやり取りの専門性が確保されることになるという点が、専門性の発揮です。
さらに市町村との連携について、災害ということで言っても、地域連携事務所に指令塔機能を持たせることにより、各事務所長がそこに集まって、市町村の災害対策本部と県の災害対策本部がうまくリンクできるようになり、災害に強い現場の体制ができると考えています。
もう一つ大事なことは、縦のラインを明確にして、本庁で考えていることや、やりたいことを現場でスムーズにできる環境をつくることです。それは、単に組織を組み替えただけではできませんので、ソフトの対策をどのように打ち合わせしていくのか、会議をどのような形で進めていくのかということはしっかり考えていく必要があると考えています。
〇記者
関連して、県民局はさまざまな出先機関を統括する組織だと思いますが、その県民局がなくなることで、ともすれば県組織としての横のつながりが薄れて、縦割りという性質が強まる面もあるのではないかと思います。この見直しによって期待できる効果の反面で、懸念される影響があれば、仮にあるとしたらそうならないための取組というのは何かお考えはありますでしょうか。
〇知事
県民局の在り方に関係なく、県はかなり縦割りであると私は感じているので、そこは知事や副知事、各部長のリーダーシップで横の連携を深めていく必要があると考えています。
大事なことは、現場から見て、県では何をやっている場所なのかということを、県民の皆さまや市町村に対して明確にすることです。例えば、環境の話であれば、「環境管理事務所長のところに行ってくれたら、現場レベルではすぐに解決できます」と。市町村も行政分野は縦割りになっていますので、縦割りになっている行政分野がそれぞれの分野のところに相談に行くことで、より市町村とも県の中でも連携できるようになると考えています。
一方で、本庁の方でしっかりと横の連携をしていくことは大事だと考えています。出先機関は、基本的には現場の実働部隊ですので、ここで縦割りがどうこうということはないと考えています。
〇記者
関連して県民局についてお伺いします。
先ほど、従来の県民局長は市町村長のカウンターパート的な意味合いもあったというお話がありましたが、そうしますと、今後、市町村長の相談する相手としては、連携事務所長がそうした役割を担うということになるのでしょうか。
〇知事
現場レベルのことはもちろん事務所長にご相談いただきたいですし、政策的なことは本庁の部長にご相談いただきたいと考えています。
〇記者
規模感について、各部署、各分野にあたる人数というのは、従来の県民局体制と変わらないという理解でよろしいでしょうか。
〇知事
そのとおりです。
〇記者
先ほど今年の漢字の発表があったので、関連でお伺いします。「芽」となるような成果が打ち出せた1年だったとおっしゃっていましたが、改めて1年を振り返って、最も印象に残っていることはどんなことかというのが1点と、その上で、あえて積み残した課題としてどういったものがあるか、そのあたりのご認識をお伺いします。
〇知事
今年は、スポーツでの活躍が印象に残っています。尊富士関の優勝は、本当に勇気が湧きましたし、青森山田高校サッカー部の優勝や、オリンピックでの佐藤大宗選手の活躍など、県内のスポーツの関係の皆さんの活躍が印象に残っています。
政策面では、こども・子育て「青森モデル」を打ち出しました。若者の流出、定着・還流をスタートにした、純移動率という目標を設けて、その上で合計特殊出生率という話をしました。その後、今、国がまさに同じことを言い始めています。国に先んじて一歩リードして、そういう話を出すことができたことも印象に残っています。
今年出した大きな方針、こども・子育て「青森モデル」や教育大綱、ホタテガイ総合戦略など、そのような大きな方向性、方針をどんどん出していき、それに基づいて新しい行政を展開できているということは非常に印象に残っています。
〇記者
その上で、あえて積み残した課題をあげるとしたら何でしょうか。
〇知事
我々は年度単位で物事を考えているので、来年何をやるかというよりは、残りの3か月で今年度やろうとしていたことをどう仕上げるかの方が大事だと考えています。
〇記者
来年ということでいうと、年始早々にも当初予算編成があると思いますが、こういうことに取り組みたいなど、お伺いします。
〇知事
現時点で、来年度の当初予算について申し上げることはありません。現在、職員が一生懸命検討してくれているものと、私自身が本当に必要だと考えているものを、1月の予算査定の中でしっかりと議論を重ね、良い予算案を編成したいと考えています。
今回、専決処分した補正予算は国の交付金を活用しています。国の交付金のその他の部分は、全て2月補正で活用することを考えているので、そこはポイントになってくると考えています。
〇記者
雪の関連でお伺いします。先ほども、12月としては例年にも増して雪の量が多いというお話がありましたが、昨日、中南・西北地域の方に地区警戒体制が出ました。
県が取り組んでいる除雪・排雪の状況で言うと、例年以上の回数やっているのでしょうか。
〇知事
当然、除排雪については雪が降るごとに対応しています。12月が、かつてない雪の降り方になっていますが、県道と県が管理する国道については、除雪が都度入っており、排雪についても28日までの段取りで一旦収束すると考えています。
少し誤解があるのかもしれませんが、生活道路の方は、あくまでも市町村の道路なので、私たちはなかなか手を出しづらい部分があります。
〇記者
今月発表されました青森市と連携して除排雪を行うという取組について、今の状況をお伺いします。
〇知事
スクラム除雪の方は、場所が学校周辺に限定されていますので、冬休み明けの学校が始まるタイミングで実施することとしています。
また、排雪のGPS管理の方は、県道は排雪がどんどん進んでいますが、市道の排雪の状況がまだなので、その部分はこれからだと認識しています。
〇記者
今、市の排雪の方の状況はまだだというお話がありましたが、今後、例えば市だけで手が回らない部分に対して、県として支援をするなどは考えていますか。
〇知事
除雪をどのようにやるかというと、まず除雪ドーザーやグレーダーで1回雪を道路から外側に寄せていきます。そうすると雪が溜まっていき、道幅が狭くなります。その幅員を広げるためにロータリーという車でさらに幅員を広げていきます。そうすると、雪が積み上がるので、ドーザーやグレーダーを入れたタイミングかロータリーを入れたタイミングで、排雪をする必要があります。これが除雪の基本動作です。
そこに至るまでには2つの問題があります。1つはオペレーターの問題で、そもそも除排雪がきれいにできているかどうかという業者の技術の問題です。
もう1つはオペレーションの問題で、いいタイミングで除雪を出しているか、拡幅をしているか、排雪をしているかという市町村側の問題です。
さらに言うと、除排雪を行うためにエリアを限定してどのように発注をかけて、どれぐらいの機械でどれぐらいの人員を確保しているかという問題もあります。生活災害のようになっているのは、今言った中の一連のプロセスの中で、どこかがスタックしているということなので、報道機関の皆さんにきちんと取材をしていただきたいと考えています。
話を戻すと、そのようなプロセスの中で除排雪を行っていますが、県道と市町村道の作業が相乗りできないのはなぜかと言うと、県では県道を除排雪するためだけのオペレーションと、機械と人員しか確保していません。県の機械を使えばよいと思うかもしれませんが、そもそも県道を除排雪するための機械は大きさが合わず、市町村の道路には入れませんし、人員的にも不可能です。除排雪の調整は春から行っているものであり、費用面も含めてきちんと調整する必要があるので、今すぐに対応することはできません。
無理と言わないのが青森新時代なので、何とかしてほしいと思うかもしれませんが、基本的にはそのような構造になっているということは、雪国特有の問題だということでご理解ください。
〇記者
そうすると、市の担当しているエリアで除排雪が追い付かないところは、やはり市の側でどうにかしてもらうしかないということでしょうか。
〇知事
基本的にはそのとおりです。県と市で連携して実施するのは、境界線の部分です。道路は全部つながっていますので、国道と市道、県道と市道がつながっている部分で除排雪をする時に、別々で作業をするのは効率が悪いので、交差点付近などの接続部分は一緒に作業しましょうというのが「スクラム除雪」です。
雪が溜まり、排雪するタイミングにおいて、雪が溢れている状況になると、海へ向かう排雪のトラックがたくさん並び、作業が進まないということも懸念されるため、GPSを使って排雪の流れを管理しましょうというのが「あおもりスマート除雪」です。
我々は市町村のために作業したいという気持ちはありますが、そのような機械や人員の管理をしていないので、そこは皆さんにご理解いただきたいと考えています。
〇記者
漢字と関連してお伺いします。
今年の世相を表す漢字としては、五輪の活躍と、政治資金問題の関係で「金」という字が選ばれましたが、それについての知事の所感をお願いします。
〇知事
言われてみれば確かにそうだなと思います。
〇記者
県民局についてお伺いします。知事は先ほど、所長はその道のプロがなるべきであるとおっしゃいましたが、所長に求める資質というのをどうお考えでしょうか。
また、地域連携事務所長が指令塔機能を持つとおっしゃいましたが、交通・地域社会部の出先機関のトップが指令塔機能を担うというのは、どういう役割を期待しているからですか。
〇知事
まず所長の役割としては、やはり専門性の発揮であるので、相談ごとについては総合的に現場レベルで判断して、現場の課題を次々と解決してほしいと考えています。
地域連携事務所が主体となるのは、基本的には災害の発生時です。災害時はどこかに本部を置き、そこが指令塔となって本庁と連絡を取り合う必要があるので、全部局の地方部局的な役割のある地域連携事務所が指令塔になると理解してください。
〇記者
細かい点ですが、所長に充てる職員の役職は、課長と次長どちらでしょうか。
〇知事
それはまだ決まっていません。
〇記者
雪の関係で2点お伺いします。先ほど、知事もおっしゃっていたように、12月にしては異例の降雪量だと思います。年末年始に向けて、道路の混雑なども予想されてくると思いますが、そんな中で年末年始の除排雪作業、例年との変更点や強化する点があれば教えてください。
〇知事
我々としては、県道と国道県管理分について、一定の水準で積雪が確認できれば直ちに除雪をする体制は整えています。これは例年と変わるところはありませんし、12月としては降りましたが、例年ベースで見れば積雪がこれぐらいになることは今までもあることなので、そこの体制の変更はありません。
ただ、豪雪対策本部の設置ですとか、現時点では県道は警戒フェーズ2となっていますが、フェーズが上がっていき、より警戒態勢を強めていくことは、あり得ると考えています。
やることは同じで、降ったら除雪して、雪が積もってきたら排雪すると、それだけだと考えています。
〇記者
年末年始の雪対策について、知事から担当部局に何か指示した、あるいは今後指示する予定がある項目等、もしありましたら教えてください。
〇知事
私の気持ちとしては市町村の応援をしたいのですが、なかなかそれは難しいので、まずはやはり県道や国道の県管理分という自分たちが管理している道路については、徹底して除排雪することを指示しています。予算の制約などさまざまなことはあるにしても、そのことは後に考えて、まず一般交通を確保することが大事です。
県道と県管理国道は主要幹線ですので、スタックすることのないように、幅員が狭くなってすれ違いができなくなることがないようにという指示を出しています。
【質疑応答】
〇幹事社
報告案件以外でご質問のある方、お願いします。
〇記者
話題変わって、半導体のことで伺います。先日、台湾で誘致説明会と、覚書の締結をされましたが、改めてそのねらいと、現地で説明会をされて手ごたえがあれば聞かせてください。
〇知事
熊本のTSMCや北海道のラピダスなど、日本全国で、台湾の半導体のサプライチェーンを作ることがトレンドになってきています。これは日本にメリットがあるだけではなく、台湾側にもメリットがあるからだと考えています。今まで企業誘致というと国内に限っていましたが、この際、青森県として国際企業誘致にも取り組みたいと考えています。
そこで、台湾とはこれまで、りんごやさまざまな人的な交流もありますし、台湾は半導体では世界のシェアを寡占している状況にありますので、そこと連携を深めることで相互の投資を生み、そして青森県の雇用の創出につなげていきたいというねらいがあります。
手ごたえについては、12社にご参加いただきました。本質的な青森県の支援策についてや、国としての考え、青森県の気候風土など、さまざま具体的な質問をいただきましたので、今後の展開には私自身も大いに期待しています。
これで終わりということではなく、来ていただいた皆さんを青森県に招致し、その中でまた新たな展開が生まれるようにプレゼンテーションするなど、継続的に取り組み、しっかり成果を出していきたいと考えています。
〇記者
今ご説明があったように、まだ始まったばかりかもしれませんが、知事として、今後の取組の進め方など、どのようにしていきたいかのお考えがあればお聞かせください。
〇知事
やはり仕事づくりが大事であると考えています。雇用をどのように生み出していくかということと、育てていくかということが、本県の若者定着・還流にとって大事だと考えています。GXの戦略もそうですが、そういう大きな企業誘致の位置付けの中で、半導体に重きを置くような形を作った上で、強力に進めていきたいと考えています。
〇記者
新年度予算には、何か盛り込んでいくお考えはあるのでしょうか。
〇知事
スピード感を持って進めていきますが、新年度になるのか、2月補正になるのか、まだその辺は現時点では申し上げられません。
〇記者
今の半導体に関連して、改めて青森県に誘致する時のメリットについて、知事としてどのようにお考えになっているかというのと、国も自治体に対して誘致にあたっての支援策を打ち出したりもしていますが、国に対してこういった部分をもっと手当してほしいとか、そういったお考えがあれば教えてください。
〇知事
まずメリットは気候風土、その中でも水の環境が整っているということが大事です。加えて人、人材という意味では、これだけ若い人たちが県外に出る環境であるため、逆に言えば潜在的には戻ってくる、あるいは留まるという意味での人の環境も整っていると考えています。
また、風力発電をはじめ、電源立地地域でもあるため、電源という部分でもかなり優位性が高いので、そのことについては台湾でのプレゼンテーションの中で皆さんにお伝えしました。
国に期待することは、基本的にはコーディネート機能です。台湾の交流協会の次長が経産省の方で、その時に来ていただいて、国としても応援するというお話を皆さんの前でしていただきました。
このように誘致にあたって国も応援しているという姿勢と、さまざまコーディネートしていただくことは大事なことだと考えています。
〇記者
話題変わって、青森県産りんごに関してお伺いします。来年、りんご植栽が始まってちょうど150周年の節目にあたります。県民の皆さまもりんごを特別なものとして捉えている方が多いかと思いますが、改めて知事として、150周年を迎えるにあたっての受け止めをお願いします。
〇知事
一口に150周年と言っても、本当にいろんな歴史を経て150周年を迎えたのだと考えています。
りんごという食べ物が国民食として認知されるまで、さらには品質の向上という意味で、健康にも良くお見舞いに持っていくようなものになるまでに、長い時間を要したのだと考えています。
その過程の中で、最初は値段の安い果物だったのが、今はりんごを作ってちゃんとご飯が食べられるというぐらいの価格に落ち着きました。これは生産者の生産努力そのものだと考えています。
その中でも、例えば病気になったり、台風で壊滅的な被害を受けたり、水害で水没したりなど、本当にさまざまな歴史を経て今、ここに至っています。
今や日本のりんごは世界の生産量の18位ですが、例えば台湾ではどこの国のりんごよりも一番先頭にあって、そして贈答品として高級な食べ物として売られています。そこまで成長して、国際社会の中でも評価される果物になったということは、これはもう本県の生産者の皆さん、それから関係者の皆さんのたゆまぬ努力によるものです。
150周年に向けて、しっかりとした戦略を立てて、また新しい青森りんごの新時代を迎えられるようにしていきたいと考えています。具体的な施策については、今後さまざまな場面で発表していきます。
〇記者
それに関連して、一方でりんごを取り巻く環境としては、生産者の減少などの深刻な問題があるかと思います。まずそういった生産者の減少に関して、知事はどういった危機感をお持ちになっているかと、農林水産力強化パッケージなどあると思いますが、その中で今後県として担い手対策にどのように取り組んでいくかのお考えをお聞かせください。
〇知事
残念ながら人口減少は止まりません。県が発表したこども・子育て「青森モデル」が100%実現したとしても、2070年までは人口が減ることになります。そうすると担い手も後継者もどんどんいなくなり、放任園が増えていきます。
その中で本県として取り組まなければいけないことは、続ける農家を大切にして守っていくことと、産業全体を守っていくことです。
そのため、放任園や管理粗放園などをどう再生していくのか、担い手は必ずしも農家だけではないという部分もあると考えていますので、農家を守る、そして産業を成長させるという2つの軸を中心に、これからもりんご産業が青森県の主力産業であり続けるように取り組んでいきます。
〇記者
今、産業を守るというお話がありましたが、介護現場について、ICT機器の導入や介護ロボットの導入で、今年、青森県として補助率を上げて申請が増えたというお話がありました。現場の方でも、業務の効率化や心身の負担の軽減につながっているという声が聞かれます。
改めて来年に向けて、さらにこういう形で介護現場を支援していくなど、知事のお考え、今現在あればお願いします。
〇知事
介護現場の人手不足もこれまた深刻であり、外国人の雇用も年々増えています。
一方で、介護人材が高齢者の数や施設入所者の数に追い付かない状況にあるので、介護事業のICT化は必要不可欠なことであり、それを県としてどう後押しするかということだと考えています。
まずは現場の人たちに、補助対象機器や補助率について知ってもらうことが必要です。
現状、施設によって差がある状況です。ICT化が進んでいる施設では、ベッドにいる方が起きているか寝ているかが分かったり、排泄の状況が分かったり、また心拍数も管理できるので、異変があったらすぐに分かります。そのようなことを、それぞれの職員がスマホやタブレットで見れる施設もあれば、全部見回って、紙で記録して、それを病院に持っていかなければならないという施設もあります。
そういう差をどんどんなくしていくために、まずはICT化を進めることが大事だと考えています。
入所者という観点では、ノーリフティングケアを進めていくことがとても大事です。ノーリフティングケアの先進的な施設を訪問し分かったことですが、介護従事者の腰の負担を軽減することはもちろんですが、それ以上に入所者の人たちにとって、リハビリの回復が早いというメリットもあります。
そのような観点では、ICT化とノーリフティングケアということは、県内の施設で大いに進めていかなければならず、その先に人手不足の解消があると考えています。
〇記者
さっきの雪のところで確認の質問です。排雪のGPS管理のところで、市の方はまだだという趣旨でお話をされていましたが、あくまでGPSで管理している排雪のトラックを走らせるのはまだだと、そっちの意味合いでしょうか。
〇知事
そのとおりです。市道でも一部排雪はしていると思いますが、一斉に排雪されており、混み合って渋滞するような状況ではないので、まだ発動してないということです。
〇記者
話題変わって、洋上風力についてお伺いします。
事業者が決まりまして、先日、コメントも出されていましたが、改めて今後の、当該エリアの洋上風力の整備についての期待感をお聞きしたいのと、地元の企業など地元経済への波及で期待していることがありましたらお願いします。
〇知事
昨日、7千億円の経済波及効果があると新聞報道で見ましたが、そのうち地元への効果はどのくらいあるのかということは今後お会いした時にお聞きしたいと考えています。
期待感と地元経済への波及ということをまとめてお答えすると、ジェイン・ジェイコブズというジャーナリストが書いた「発展する地域 衰退する地域」という本があります。その中で「発展する地域」について、輸入置換都市という言い方をしています。輸入置換とは、持ってきたものを自分たちの産業にできれば、地域が発展するという考え方です。
洋上風力発電という新しい仕組みを、ただ単に外から持って来て海の中に設置するだけだと、何も起こりません。電力の供給はあるかもしれませんが、地元は単なる経過地になってしまいます。
今回の洋上風力発電は、これだけ大きな規模での開発になりますが、海のはるか向こうに設置するので、景観もさほど気にしなくていい場所に建設していただけると考えています。一方で、ただ通過するだけだと、青森県の海なのか分からないところに立って終わってしまいます。しかし、部品が1つでも青森県の中で作れる、あるいはメンテナンスが必要な人たちのトレーニングがここで行われる、港を中心にその関連する産業が立地するということになれば、まさに輸入置換という状況が起こって発展する地域になります。
新産業というのはそのように見る必要があり、ただ単にその場所で洋上風力発電をやりますというだけではなく、産業化をしないとそれに対して発展する地域にならず、7千億円の経済波及効果のうちの、いくらが青森県の分になるのかということは、本当に突き詰めて他から寄せていかないと、青森県で実施する意味がなく、ただ青森県が使われるだけになるため、そのあたりは注意して、注目して取り組んでいきたいと考えています。
〇記者
今のお話の中で、事業者の方にお会いしてお話をお伺いしたいとのことでしたが、時期とか、そのあたりはどのようにお考えですか。
〇知事
特にないですが、おそらくご挨拶に来ていただけるのではないかと考えています。
〇環境エネルギー部
これからさまざまな会議がありますので、お会いする機会はあります。
〇知事
法定協議会には、県も参加しているのでさまざまな情報収集ができますし、またこうして決定したということですから、コミュニケーションがあるものと期待しています。
〇記者
地元企業の参入に向けて、県としても何か取り組みたいことなど、そういったことがもしおありでしたらお願いします。
〇知事
これから、青森県の中で再エネが促進されていき、さらには洋上風力発電も始まります。
自然環境や景観には一切手を付けさせないとという強い思いがある中でも大いに推進されます。その時に、先ほど言ったように自分たちの産業にできるかどうかが大事で、それはおそらく新年度にも発表されるGX総合戦略の中でいろいろ公言されると期待しています。
〇記者
石破総理の肝いり政策の1つということで、一昨日の24日に政府が地方創生の新たな理念となる「地方創生2.0の『基本的な考え方』」という文書を取りまとめました。若者や女性に選ばれる楽しい地方を創ることが重要といったような内容ですが、こちら、既にご覧になられていれば受け止めなどをお聞かせください。
〇知事
何か月か前に青森県が発表したことと同じでありますので、方向性としては極めて重要な論点であると受け止めています。
〇記者
関連して、この文書の中でこの10年の反省点という項目が結構スペースを割かれて作られています。10年間いろいろやったけれどもうまくいかなかったのはなぜだろうと、検証が必要だろうという姿勢なのかと思います。
知事もこの10年、地方自治体のトップとしてずっとお仕事をされてきて、地方創生の取組で反省点だとか、ちゃんと検証をした方がいいと思う点があったらお聞かせいただけますか。
〇知事
国としての構造転換ができなかったと考えています。財源を活用した地方の振興策ということへの構造転換ができなかったので、地方ができるレベルの振興しかできなかったのだと考えています。
例えば、税制に踏み込み、地方の方が法人税が優遇されるなど、そういう本当の意味での構造転換ができなかったことが、国としての大いなる反省点であると考えています。
〇記者
話題は変わって、いわゆる103万円の壁を巡る議論に関してお伺いします。知事は11月の全国知事会の場でも、この壁の引き上げに理解を示されていたかと思います。国の方の議論、まだ最終的な着地点が見えない状況ではありますが、一旦、自民・公明両党の税調が123万円という数字を取りまとめました。
ここまでの議論のご所見を伺いたいのと、あと引き上げ額はどうあるべきかということ、あるいは地方財政への影響、バランスをどのようにお考えになられているか聞かせていただければと思います。
〇知事
123万円というのは、元々103万円だったものが123万円になったわけではありません。
元々は基礎控除だけの話をしていたのが、123万円となって基礎控除と給与所得控除を10万円ずつ上げるという話になりました。
基礎控除を20万円上げると、納税者があまねく手取りが増えることになりますが、この123万円では所得が200万円以下ぐらいの人たちにしか効果はありません。そのため、それは全く違う話になってしまったというのが、私の感想です。
どれぐらいにすべきかということでいけば、それも物価で考えるのか、それとも最低賃金で考えるのかということは、よくよく国の責任として議論を深めてほしいと考えています。その結果として地方財政にどれくらい影響があるのかということは、我々としては受け止める必要があり、その分、行財政改革も含めて取り組むしかありません。ただ、石破総理は、地方には迷惑をかけないと言っておりますので、そのように受け止めています。
〇記者
話題変わって、昨日、村上大臣と加藤大臣が大臣折衝をされたということで報道されています。来年度の臨時財政対策債が2001年度の制度創設以降、初めて新規発行がゼロになるということです。
知事も、臨時財政対策債とはだいぶ長くお付き合いをされてきていると思いますが、改めて、新規発行ゼロになることの受け止めと、新年度予算編成への何か影響があるかということについてお尋ねします。
〇知事
臨財債がゼロになることは、地方財政にとって安定的、安定化が図られるということで歓迎したいと思います。ただ、それが予算編成の中で歳入の部分で何か影響があるかというと、基本的にはないということで理解しています。
〇幹事社
最後、知事からコメントがあればお願いします。
〇知事
県政記者会の皆さん、今年1年大変お世話になりました。皆さんのところで、さまざまな論点を開示していただいたことで、県政の理解に大いに貢献していただいたと考えていますので、心から感謝申し上げます。
会見のライブ配信も、毎回2,000人ほどの皆さまに見ていただいているということで、大変嬉しく思っております。これからも分かりやすい発信で分かりやすい県政をめざしていきますので、引き続き皆さん、ご協力よろしくお願いいたします。
また、YouTubeをご覧の皆さんも、今年1年大変お世話になりました。何事もない健やかな1年をまた迎えられますことを心からお祈り申し上げます。
それでは皆さん、よいお年をお過ごしください。今日もありがとうございました。
ただ今から、年末記者会見を始めます。
まずは、知事から報告をお願いします。
〇知事
【令和6年を終えるにあたって】
今年1年を漢字一文字で振り返ると「芽」です。青森新時代を掲げてスタートして1年半、さまざまな部分で新しい政策の芽となることを次々と打ち出せた1年でした。
この「芽」という字の中には、「牙」という字が含まれています。さまざまな新しい課題を乗り越えていくためには、これまでの慣習や因習をかみ砕いていくパワーが必要です。これからも草の下に眠っている牙を出しながら進んでいくという意味も込めて、今年1年、「芽」という言葉で振り返らせていただきました。
【令和7年4月地域県民局の見直しについて】
地域県民局の見直しについて、我々としての案が固まりましたのでご説明申し上げます。
地域県民局については、ゼロベースで、県民目線での見直しを実施します。見直しのポイントは3つあり、1点目が専門性の発揮、2点目が市町村との連携強化、3点目が災害に強い現場体制の構築です。
見直しの効果としては、県の政策テーマと連動した取組が、現場で、強力にスピード感を持って実施される体制となるよう取り組んでいきます。
また、県民の皆さまにとって、県の施策の効果がより実感しやすくなり、県庁がより身近なものになるような改革にしたいと考えています。
見直し後の組織として、地域連携事務所を新設します。この事務所では、地域づくり、地域交通などの交通・地域社会部の所管する事務や、産業や観光振興などの地域振興に関する事務、災害対策本部地方支部に関する事務、財産管理等の総務的な事務を行うことになります。ほぼ全ての部にぶら下がるような形での地方事務所となります。
その他は従前のとおり、財務部の出先機関として県税事務所、環境エネルギー部の出先機関として環境管理事務所、健康医療福祉部の出先機関として保健所と福祉事務所、こども家庭部の出先機関として児童相談所、農林水産部の出先機関として農林水産事務所、県土整備部の出先機関として県土整備事務所となります。
それぞれの名称ですが、今回、統一することといたしました。地域連携事務所は、従前の地域県民局の名称のとおり、東青・中南・三八・西北・上北・下北地域連携事務所となります。これを基本にして、農林水産事務所と県土整備事務所は同様の名称となります。県内全域を所管する事務がある県税事務所と福祉事務所、児童相談所では、東青ではなく中央という名称にしています。
環境管理事務所は県内4つしかございませんので、それぞれの事務所の立地している市町村の名称にしています。
保健所は、中核市である青森市と八戸市がそれぞれ保健所を設置していますので、東津軽保健所と三戸保健所という名称にしています。
福祉事務所は、市部はそれぞれ福祉事務所を設置しており、町村がメインになりますので、こちらも三戸福祉事務所という名称にしています。
その他は、基本的に名称を統一する形でこのように整理いたしました。
今後のスケジュールですが、2月頃までに各事務所の内部組織や、担当事務の項目等について、さらに詳細を整理し、令和7年2月定例県議会に条例の改正案を提出することとしています。
各事務所で具体的に実施する事業については、令和7年度当初予算編成の過程で整理し、公表いたします。
なお、地域連携事務所が所管するエリアは地域県民局と同様になります。
続いて県税事務所、農林水産事務所、県土整備事務所も同じ6圏域です。
一方で、保健所は、青森市と八戸市を除いて概ね同じですが、板柳町は中南保健所、おいらせ町は三戸保健所が所管します。
続きまして福祉事務所は、10市を除いて同様であり、板柳町は中南福祉事務所、おいらせ町は三戸福祉事務所が所管します。
児童相談所は、保健所や福祉事務所と同様の6圏域となっています。
最後、環境管理事務所は4圏域となっています。
具体的な事業については予算編成の過程の中で明らかにし、県民の皆さまにお知らせする広報も充実していきたいと考えています。
【令和6年度一般会計補正予算(専決第2号)について】
令和6年度補正予算として、2つの案件について専決処分いたしました。
一般会計補正予算計上額は12億1,615万3千円となり、補正後の予算額は7,112億3,207万4千円となります。
これは国の総合経済対策の補正予算が成立したことに呼応して、これまでも行ってきた国策としてのLPガスや灯油の支援事業についての予算措置です。
具体的には、生活困窮世帯を対象に灯油購入費を助成する市町村への支援として、1世帯当たり7千円を上限とした予算となっています。県2分の1、市町村2分の1ずつの負担となっており、県から市町村に補助金を交付するという形になっています。
2点目のLPガスは1世帯当たり2千円を限度に、約40万世帯を対象に国の交付金を活用しながら行うものであります。
市町村は既に、生活困窮世帯に対して2万円を交付するということで準備を始めていますので、灯油の支援については、それに上乗せして直ちに実施できるよう、年が明けて市町村がすぐに事務を開始できるような段取りとするため、専決処分をさせていただいております。
【年末年始の雪害防止の呼びかけについて】
最後、3点目、雪が大変な状況になっています。青森市、弘前市を中心に津軽地方全体で、12月の降雪量がかつてないほど多く、ほぼ生活災害と言っても良い状況です。年末年始も降雪量が多いという見通しですので、年末年始の雪害防止について呼びかけます。
除雪作業の支障や交通渋滞の原因となるような路上駐車は控えていただきたいということと、車でお出かけの際には事前に気象や道路状況を十分に確認してください。
私たち、危機管理を担当している者として、一番恐れているのはやはり命に関わることです。吹雪の日に外に出てスタックしてしまうと、取り残されてしまい命の危険にさらされる危険性がありますので、猛吹雪など気象状況が悪い時には、不要不急の外出はなるべく控えるようにしてください。
また、毎年、除雪作業の際に亡くなる方がいますので、安全管理を徹底してください。特に屋根の雪下ろしの際には、自分だけは大丈夫と思わず、ヘルメットや命綱を使用するようにしてください。私も数年前に知り合いを亡くす経験をしましたので、気を付けていただくようお願いします。
さらに、屋根からの落雪にも注意してください。まだ12月ですから寒暖の差があります。今日はとても暖かく、落雪の危険性が高いので、ぜひお気を付けください。
最後、おまもリスのPR動画がありますので、ご覧ください。
年末年始、大雪には十分お気を付けいただいて、また除雪作業等も安全を確保した上で取り組んでください。
【質疑応答(報告案件について)】
〇幹事社
続いて、各社からの質問といたします。質問は簡潔になるようご協力をお願いします。
質問のある方は挙手をお願いいたします。
〇記者
県民局の見直しについて、見直しの3つのポイントというお話がありましたが、このポイントに関して、現行の体制ではどのような課題があるとお感じになっていたかをお伺いします。
去年の年末会見でも同じテーマで質問をしていて、繰り返しになってしまいますが、改めてその見直しの理由を伺えればと思います。
〇知事
私自身も市長時代には、県とさまざまなやり取りをしてバックアップを受けながら、時にいろいろ衝突しながらも取り組んできた経験があります。
その中で、市町村から見て、また一県民から見て、県民局の存在感が非常に薄くなっていた感じがありました。
また、カウンターパートがどこかという話になった時、これまでは県民局長でしたが、県民局長は農林や県土、保健福祉など特定の分野に極めて高い専門性を持っているわけではなく、リーダーとしてのコーディネーターの機能はあっても、そこに一つ壁があるように感じていました。
今回、それぞれの事務所という形にすれば、市町村が抱えている課題を、どこの事務所に持っていけば現場レベルの対応ができるかということがスムーズになります。
基本的には各事務所の所長というのはその道のプロなので、そこで市町村とのやり取りの専門性が確保されることになるという点が、専門性の発揮です。
さらに市町村との連携について、災害ということで言っても、地域連携事務所に指令塔機能を持たせることにより、各事務所長がそこに集まって、市町村の災害対策本部と県の災害対策本部がうまくリンクできるようになり、災害に強い現場の体制ができると考えています。
もう一つ大事なことは、縦のラインを明確にして、本庁で考えていることや、やりたいことを現場でスムーズにできる環境をつくることです。それは、単に組織を組み替えただけではできませんので、ソフトの対策をどのように打ち合わせしていくのか、会議をどのような形で進めていくのかということはしっかり考えていく必要があると考えています。
〇記者
関連して、県民局はさまざまな出先機関を統括する組織だと思いますが、その県民局がなくなることで、ともすれば県組織としての横のつながりが薄れて、縦割りという性質が強まる面もあるのではないかと思います。この見直しによって期待できる効果の反面で、懸念される影響があれば、仮にあるとしたらそうならないための取組というのは何かお考えはありますでしょうか。
〇知事
県民局の在り方に関係なく、県はかなり縦割りであると私は感じているので、そこは知事や副知事、各部長のリーダーシップで横の連携を深めていく必要があると考えています。
大事なことは、現場から見て、県では何をやっている場所なのかということを、県民の皆さまや市町村に対して明確にすることです。例えば、環境の話であれば、「環境管理事務所長のところに行ってくれたら、現場レベルではすぐに解決できます」と。市町村も行政分野は縦割りになっていますので、縦割りになっている行政分野がそれぞれの分野のところに相談に行くことで、より市町村とも県の中でも連携できるようになると考えています。
一方で、本庁の方でしっかりと横の連携をしていくことは大事だと考えています。出先機関は、基本的には現場の実働部隊ですので、ここで縦割りがどうこうということはないと考えています。
〇記者
関連して県民局についてお伺いします。
先ほど、従来の県民局長は市町村長のカウンターパート的な意味合いもあったというお話がありましたが、そうしますと、今後、市町村長の相談する相手としては、連携事務所長がそうした役割を担うということになるのでしょうか。
〇知事
現場レベルのことはもちろん事務所長にご相談いただきたいですし、政策的なことは本庁の部長にご相談いただきたいと考えています。
〇記者
規模感について、各部署、各分野にあたる人数というのは、従来の県民局体制と変わらないという理解でよろしいでしょうか。
〇知事
そのとおりです。
〇記者
先ほど今年の漢字の発表があったので、関連でお伺いします。「芽」となるような成果が打ち出せた1年だったとおっしゃっていましたが、改めて1年を振り返って、最も印象に残っていることはどんなことかというのが1点と、その上で、あえて積み残した課題としてどういったものがあるか、そのあたりのご認識をお伺いします。
〇知事
今年は、スポーツでの活躍が印象に残っています。尊富士関の優勝は、本当に勇気が湧きましたし、青森山田高校サッカー部の優勝や、オリンピックでの佐藤大宗選手の活躍など、県内のスポーツの関係の皆さんの活躍が印象に残っています。
政策面では、こども・子育て「青森モデル」を打ち出しました。若者の流出、定着・還流をスタートにした、純移動率という目標を設けて、その上で合計特殊出生率という話をしました。その後、今、国がまさに同じことを言い始めています。国に先んじて一歩リードして、そういう話を出すことができたことも印象に残っています。
今年出した大きな方針、こども・子育て「青森モデル」や教育大綱、ホタテガイ総合戦略など、そのような大きな方向性、方針をどんどん出していき、それに基づいて新しい行政を展開できているということは非常に印象に残っています。
〇記者
その上で、あえて積み残した課題をあげるとしたら何でしょうか。
〇知事
我々は年度単位で物事を考えているので、来年何をやるかというよりは、残りの3か月で今年度やろうとしていたことをどう仕上げるかの方が大事だと考えています。
〇記者
来年ということでいうと、年始早々にも当初予算編成があると思いますが、こういうことに取り組みたいなど、お伺いします。
〇知事
現時点で、来年度の当初予算について申し上げることはありません。現在、職員が一生懸命検討してくれているものと、私自身が本当に必要だと考えているものを、1月の予算査定の中でしっかりと議論を重ね、良い予算案を編成したいと考えています。
今回、専決処分した補正予算は国の交付金を活用しています。国の交付金のその他の部分は、全て2月補正で活用することを考えているので、そこはポイントになってくると考えています。
〇記者
雪の関連でお伺いします。先ほども、12月としては例年にも増して雪の量が多いというお話がありましたが、昨日、中南・西北地域の方に地区警戒体制が出ました。
県が取り組んでいる除雪・排雪の状況で言うと、例年以上の回数やっているのでしょうか。
〇知事
当然、除排雪については雪が降るごとに対応しています。12月が、かつてない雪の降り方になっていますが、県道と県が管理する国道については、除雪が都度入っており、排雪についても28日までの段取りで一旦収束すると考えています。
少し誤解があるのかもしれませんが、生活道路の方は、あくまでも市町村の道路なので、私たちはなかなか手を出しづらい部分があります。
〇記者
今月発表されました青森市と連携して除排雪を行うという取組について、今の状況をお伺いします。
〇知事
スクラム除雪の方は、場所が学校周辺に限定されていますので、冬休み明けの学校が始まるタイミングで実施することとしています。
また、排雪のGPS管理の方は、県道は排雪がどんどん進んでいますが、市道の排雪の状況がまだなので、その部分はこれからだと認識しています。
〇記者
今、市の排雪の方の状況はまだだというお話がありましたが、今後、例えば市だけで手が回らない部分に対して、県として支援をするなどは考えていますか。
〇知事
除雪をどのようにやるかというと、まず除雪ドーザーやグレーダーで1回雪を道路から外側に寄せていきます。そうすると雪が溜まっていき、道幅が狭くなります。その幅員を広げるためにロータリーという車でさらに幅員を広げていきます。そうすると、雪が積み上がるので、ドーザーやグレーダーを入れたタイミングかロータリーを入れたタイミングで、排雪をする必要があります。これが除雪の基本動作です。
そこに至るまでには2つの問題があります。1つはオペレーターの問題で、そもそも除排雪がきれいにできているかどうかという業者の技術の問題です。
もう1つはオペレーションの問題で、いいタイミングで除雪を出しているか、拡幅をしているか、排雪をしているかという市町村側の問題です。
さらに言うと、除排雪を行うためにエリアを限定してどのように発注をかけて、どれぐらいの機械でどれぐらいの人員を確保しているかという問題もあります。生活災害のようになっているのは、今言った中の一連のプロセスの中で、どこかがスタックしているということなので、報道機関の皆さんにきちんと取材をしていただきたいと考えています。
話を戻すと、そのようなプロセスの中で除排雪を行っていますが、県道と市町村道の作業が相乗りできないのはなぜかと言うと、県では県道を除排雪するためだけのオペレーションと、機械と人員しか確保していません。県の機械を使えばよいと思うかもしれませんが、そもそも県道を除排雪するための機械は大きさが合わず、市町村の道路には入れませんし、人員的にも不可能です。除排雪の調整は春から行っているものであり、費用面も含めてきちんと調整する必要があるので、今すぐに対応することはできません。
無理と言わないのが青森新時代なので、何とかしてほしいと思うかもしれませんが、基本的にはそのような構造になっているということは、雪国特有の問題だということでご理解ください。
〇記者
そうすると、市の担当しているエリアで除排雪が追い付かないところは、やはり市の側でどうにかしてもらうしかないということでしょうか。
〇知事
基本的にはそのとおりです。県と市で連携して実施するのは、境界線の部分です。道路は全部つながっていますので、国道と市道、県道と市道がつながっている部分で除排雪をする時に、別々で作業をするのは効率が悪いので、交差点付近などの接続部分は一緒に作業しましょうというのが「スクラム除雪」です。
雪が溜まり、排雪するタイミングにおいて、雪が溢れている状況になると、海へ向かう排雪のトラックがたくさん並び、作業が進まないということも懸念されるため、GPSを使って排雪の流れを管理しましょうというのが「あおもりスマート除雪」です。
我々は市町村のために作業したいという気持ちはありますが、そのような機械や人員の管理をしていないので、そこは皆さんにご理解いただきたいと考えています。
〇記者
漢字と関連してお伺いします。
今年の世相を表す漢字としては、五輪の活躍と、政治資金問題の関係で「金」という字が選ばれましたが、それについての知事の所感をお願いします。
〇知事
言われてみれば確かにそうだなと思います。
〇記者
県民局についてお伺いします。知事は先ほど、所長はその道のプロがなるべきであるとおっしゃいましたが、所長に求める資質というのをどうお考えでしょうか。
また、地域連携事務所長が指令塔機能を持つとおっしゃいましたが、交通・地域社会部の出先機関のトップが指令塔機能を担うというのは、どういう役割を期待しているからですか。
〇知事
まず所長の役割としては、やはり専門性の発揮であるので、相談ごとについては総合的に現場レベルで判断して、現場の課題を次々と解決してほしいと考えています。
地域連携事務所が主体となるのは、基本的には災害の発生時です。災害時はどこかに本部を置き、そこが指令塔となって本庁と連絡を取り合う必要があるので、全部局の地方部局的な役割のある地域連携事務所が指令塔になると理解してください。
〇記者
細かい点ですが、所長に充てる職員の役職は、課長と次長どちらでしょうか。
〇知事
それはまだ決まっていません。
〇記者
雪の関係で2点お伺いします。先ほど、知事もおっしゃっていたように、12月にしては異例の降雪量だと思います。年末年始に向けて、道路の混雑なども予想されてくると思いますが、そんな中で年末年始の除排雪作業、例年との変更点や強化する点があれば教えてください。
〇知事
我々としては、県道と国道県管理分について、一定の水準で積雪が確認できれば直ちに除雪をする体制は整えています。これは例年と変わるところはありませんし、12月としては降りましたが、例年ベースで見れば積雪がこれぐらいになることは今までもあることなので、そこの体制の変更はありません。
ただ、豪雪対策本部の設置ですとか、現時点では県道は警戒フェーズ2となっていますが、フェーズが上がっていき、より警戒態勢を強めていくことは、あり得ると考えています。
やることは同じで、降ったら除雪して、雪が積もってきたら排雪すると、それだけだと考えています。
〇記者
年末年始の雪対策について、知事から担当部局に何か指示した、あるいは今後指示する予定がある項目等、もしありましたら教えてください。
〇知事
私の気持ちとしては市町村の応援をしたいのですが、なかなかそれは難しいので、まずはやはり県道や国道の県管理分という自分たちが管理している道路については、徹底して除排雪することを指示しています。予算の制約などさまざまなことはあるにしても、そのことは後に考えて、まず一般交通を確保することが大事です。
県道と県管理国道は主要幹線ですので、スタックすることのないように、幅員が狭くなってすれ違いができなくなることがないようにという指示を出しています。
【質疑応答】
〇幹事社
報告案件以外でご質問のある方、お願いします。
〇記者
話題変わって、半導体のことで伺います。先日、台湾で誘致説明会と、覚書の締結をされましたが、改めてそのねらいと、現地で説明会をされて手ごたえがあれば聞かせてください。
〇知事
熊本のTSMCや北海道のラピダスなど、日本全国で、台湾の半導体のサプライチェーンを作ることがトレンドになってきています。これは日本にメリットがあるだけではなく、台湾側にもメリットがあるからだと考えています。今まで企業誘致というと国内に限っていましたが、この際、青森県として国際企業誘致にも取り組みたいと考えています。
そこで、台湾とはこれまで、りんごやさまざまな人的な交流もありますし、台湾は半導体では世界のシェアを寡占している状況にありますので、そこと連携を深めることで相互の投資を生み、そして青森県の雇用の創出につなげていきたいというねらいがあります。
手ごたえについては、12社にご参加いただきました。本質的な青森県の支援策についてや、国としての考え、青森県の気候風土など、さまざま具体的な質問をいただきましたので、今後の展開には私自身も大いに期待しています。
これで終わりということではなく、来ていただいた皆さんを青森県に招致し、その中でまた新たな展開が生まれるようにプレゼンテーションするなど、継続的に取り組み、しっかり成果を出していきたいと考えています。
〇記者
今ご説明があったように、まだ始まったばかりかもしれませんが、知事として、今後の取組の進め方など、どのようにしていきたいかのお考えがあればお聞かせください。
〇知事
やはり仕事づくりが大事であると考えています。雇用をどのように生み出していくかということと、育てていくかということが、本県の若者定着・還流にとって大事だと考えています。GXの戦略もそうですが、そういう大きな企業誘致の位置付けの中で、半導体に重きを置くような形を作った上で、強力に進めていきたいと考えています。
〇記者
新年度予算には、何か盛り込んでいくお考えはあるのでしょうか。
〇知事
スピード感を持って進めていきますが、新年度になるのか、2月補正になるのか、まだその辺は現時点では申し上げられません。
〇記者
今の半導体に関連して、改めて青森県に誘致する時のメリットについて、知事としてどのようにお考えになっているかというのと、国も自治体に対して誘致にあたっての支援策を打ち出したりもしていますが、国に対してこういった部分をもっと手当してほしいとか、そういったお考えがあれば教えてください。
〇知事
まずメリットは気候風土、その中でも水の環境が整っているということが大事です。加えて人、人材という意味では、これだけ若い人たちが県外に出る環境であるため、逆に言えば潜在的には戻ってくる、あるいは留まるという意味での人の環境も整っていると考えています。
また、風力発電をはじめ、電源立地地域でもあるため、電源という部分でもかなり優位性が高いので、そのことについては台湾でのプレゼンテーションの中で皆さんにお伝えしました。
国に期待することは、基本的にはコーディネート機能です。台湾の交流協会の次長が経産省の方で、その時に来ていただいて、国としても応援するというお話を皆さんの前でしていただきました。
このように誘致にあたって国も応援しているという姿勢と、さまざまコーディネートしていただくことは大事なことだと考えています。
〇記者
話題変わって、青森県産りんごに関してお伺いします。来年、りんご植栽が始まってちょうど150周年の節目にあたります。県民の皆さまもりんごを特別なものとして捉えている方が多いかと思いますが、改めて知事として、150周年を迎えるにあたっての受け止めをお願いします。
〇知事
一口に150周年と言っても、本当にいろんな歴史を経て150周年を迎えたのだと考えています。
りんごという食べ物が国民食として認知されるまで、さらには品質の向上という意味で、健康にも良くお見舞いに持っていくようなものになるまでに、長い時間を要したのだと考えています。
その過程の中で、最初は値段の安い果物だったのが、今はりんごを作ってちゃんとご飯が食べられるというぐらいの価格に落ち着きました。これは生産者の生産努力そのものだと考えています。
その中でも、例えば病気になったり、台風で壊滅的な被害を受けたり、水害で水没したりなど、本当にさまざまな歴史を経て今、ここに至っています。
今や日本のりんごは世界の生産量の18位ですが、例えば台湾ではどこの国のりんごよりも一番先頭にあって、そして贈答品として高級な食べ物として売られています。そこまで成長して、国際社会の中でも評価される果物になったということは、これはもう本県の生産者の皆さん、それから関係者の皆さんのたゆまぬ努力によるものです。
150周年に向けて、しっかりとした戦略を立てて、また新しい青森りんごの新時代を迎えられるようにしていきたいと考えています。具体的な施策については、今後さまざまな場面で発表していきます。
〇記者
それに関連して、一方でりんごを取り巻く環境としては、生産者の減少などの深刻な問題があるかと思います。まずそういった生産者の減少に関して、知事はどういった危機感をお持ちになっているかと、農林水産力強化パッケージなどあると思いますが、その中で今後県として担い手対策にどのように取り組んでいくかのお考えをお聞かせください。
〇知事
残念ながら人口減少は止まりません。県が発表したこども・子育て「青森モデル」が100%実現したとしても、2070年までは人口が減ることになります。そうすると担い手も後継者もどんどんいなくなり、放任園が増えていきます。
その中で本県として取り組まなければいけないことは、続ける農家を大切にして守っていくことと、産業全体を守っていくことです。
そのため、放任園や管理粗放園などをどう再生していくのか、担い手は必ずしも農家だけではないという部分もあると考えていますので、農家を守る、そして産業を成長させるという2つの軸を中心に、これからもりんご産業が青森県の主力産業であり続けるように取り組んでいきます。
〇記者
今、産業を守るというお話がありましたが、介護現場について、ICT機器の導入や介護ロボットの導入で、今年、青森県として補助率を上げて申請が増えたというお話がありました。現場の方でも、業務の効率化や心身の負担の軽減につながっているという声が聞かれます。
改めて来年に向けて、さらにこういう形で介護現場を支援していくなど、知事のお考え、今現在あればお願いします。
〇知事
介護現場の人手不足もこれまた深刻であり、外国人の雇用も年々増えています。
一方で、介護人材が高齢者の数や施設入所者の数に追い付かない状況にあるので、介護事業のICT化は必要不可欠なことであり、それを県としてどう後押しするかということだと考えています。
まずは現場の人たちに、補助対象機器や補助率について知ってもらうことが必要です。
現状、施設によって差がある状況です。ICT化が進んでいる施設では、ベッドにいる方が起きているか寝ているかが分かったり、排泄の状況が分かったり、また心拍数も管理できるので、異変があったらすぐに分かります。そのようなことを、それぞれの職員がスマホやタブレットで見れる施設もあれば、全部見回って、紙で記録して、それを病院に持っていかなければならないという施設もあります。
そういう差をどんどんなくしていくために、まずはICT化を進めることが大事だと考えています。
入所者という観点では、ノーリフティングケアを進めていくことがとても大事です。ノーリフティングケアの先進的な施設を訪問し分かったことですが、介護従事者の腰の負担を軽減することはもちろんですが、それ以上に入所者の人たちにとって、リハビリの回復が早いというメリットもあります。
そのような観点では、ICT化とノーリフティングケアということは、県内の施設で大いに進めていかなければならず、その先に人手不足の解消があると考えています。
〇記者
さっきの雪のところで確認の質問です。排雪のGPS管理のところで、市の方はまだだという趣旨でお話をされていましたが、あくまでGPSで管理している排雪のトラックを走らせるのはまだだと、そっちの意味合いでしょうか。
〇知事
そのとおりです。市道でも一部排雪はしていると思いますが、一斉に排雪されており、混み合って渋滞するような状況ではないので、まだ発動してないということです。
〇記者
話題変わって、洋上風力についてお伺いします。
事業者が決まりまして、先日、コメントも出されていましたが、改めて今後の、当該エリアの洋上風力の整備についての期待感をお聞きしたいのと、地元の企業など地元経済への波及で期待していることがありましたらお願いします。
〇知事
昨日、7千億円の経済波及効果があると新聞報道で見ましたが、そのうち地元への効果はどのくらいあるのかということは今後お会いした時にお聞きしたいと考えています。
期待感と地元経済への波及ということをまとめてお答えすると、ジェイン・ジェイコブズというジャーナリストが書いた「発展する地域 衰退する地域」という本があります。その中で「発展する地域」について、輸入置換都市という言い方をしています。輸入置換とは、持ってきたものを自分たちの産業にできれば、地域が発展するという考え方です。
洋上風力発電という新しい仕組みを、ただ単に外から持って来て海の中に設置するだけだと、何も起こりません。電力の供給はあるかもしれませんが、地元は単なる経過地になってしまいます。
今回の洋上風力発電は、これだけ大きな規模での開発になりますが、海のはるか向こうに設置するので、景観もさほど気にしなくていい場所に建設していただけると考えています。一方で、ただ通過するだけだと、青森県の海なのか分からないところに立って終わってしまいます。しかし、部品が1つでも青森県の中で作れる、あるいはメンテナンスが必要な人たちのトレーニングがここで行われる、港を中心にその関連する産業が立地するということになれば、まさに輸入置換という状況が起こって発展する地域になります。
新産業というのはそのように見る必要があり、ただ単にその場所で洋上風力発電をやりますというだけではなく、産業化をしないとそれに対して発展する地域にならず、7千億円の経済波及効果のうちの、いくらが青森県の分になるのかということは、本当に突き詰めて他から寄せていかないと、青森県で実施する意味がなく、ただ青森県が使われるだけになるため、そのあたりは注意して、注目して取り組んでいきたいと考えています。
〇記者
今のお話の中で、事業者の方にお会いしてお話をお伺いしたいとのことでしたが、時期とか、そのあたりはどのようにお考えですか。
〇知事
特にないですが、おそらくご挨拶に来ていただけるのではないかと考えています。
〇環境エネルギー部
これからさまざまな会議がありますので、お会いする機会はあります。
〇知事
法定協議会には、県も参加しているのでさまざまな情報収集ができますし、またこうして決定したということですから、コミュニケーションがあるものと期待しています。
〇記者
地元企業の参入に向けて、県としても何か取り組みたいことなど、そういったことがもしおありでしたらお願いします。
〇知事
これから、青森県の中で再エネが促進されていき、さらには洋上風力発電も始まります。
自然環境や景観には一切手を付けさせないとという強い思いがある中でも大いに推進されます。その時に、先ほど言ったように自分たちの産業にできるかどうかが大事で、それはおそらく新年度にも発表されるGX総合戦略の中でいろいろ公言されると期待しています。
〇記者
石破総理の肝いり政策の1つということで、一昨日の24日に政府が地方創生の新たな理念となる「地方創生2.0の『基本的な考え方』」という文書を取りまとめました。若者や女性に選ばれる楽しい地方を創ることが重要といったような内容ですが、こちら、既にご覧になられていれば受け止めなどをお聞かせください。
〇知事
何か月か前に青森県が発表したことと同じでありますので、方向性としては極めて重要な論点であると受け止めています。
〇記者
関連して、この文書の中でこの10年の反省点という項目が結構スペースを割かれて作られています。10年間いろいろやったけれどもうまくいかなかったのはなぜだろうと、検証が必要だろうという姿勢なのかと思います。
知事もこの10年、地方自治体のトップとしてずっとお仕事をされてきて、地方創生の取組で反省点だとか、ちゃんと検証をした方がいいと思う点があったらお聞かせいただけますか。
〇知事
国としての構造転換ができなかったと考えています。財源を活用した地方の振興策ということへの構造転換ができなかったので、地方ができるレベルの振興しかできなかったのだと考えています。
例えば、税制に踏み込み、地方の方が法人税が優遇されるなど、そういう本当の意味での構造転換ができなかったことが、国としての大いなる反省点であると考えています。
〇記者
話題は変わって、いわゆる103万円の壁を巡る議論に関してお伺いします。知事は11月の全国知事会の場でも、この壁の引き上げに理解を示されていたかと思います。国の方の議論、まだ最終的な着地点が見えない状況ではありますが、一旦、自民・公明両党の税調が123万円という数字を取りまとめました。
ここまでの議論のご所見を伺いたいのと、あと引き上げ額はどうあるべきかということ、あるいは地方財政への影響、バランスをどのようにお考えになられているか聞かせていただければと思います。
〇知事
123万円というのは、元々103万円だったものが123万円になったわけではありません。
元々は基礎控除だけの話をしていたのが、123万円となって基礎控除と給与所得控除を10万円ずつ上げるという話になりました。
基礎控除を20万円上げると、納税者があまねく手取りが増えることになりますが、この123万円では所得が200万円以下ぐらいの人たちにしか効果はありません。そのため、それは全く違う話になってしまったというのが、私の感想です。
どれぐらいにすべきかということでいけば、それも物価で考えるのか、それとも最低賃金で考えるのかということは、よくよく国の責任として議論を深めてほしいと考えています。その結果として地方財政にどれくらい影響があるのかということは、我々としては受け止める必要があり、その分、行財政改革も含めて取り組むしかありません。ただ、石破総理は、地方には迷惑をかけないと言っておりますので、そのように受け止めています。
〇記者
話題変わって、昨日、村上大臣と加藤大臣が大臣折衝をされたということで報道されています。来年度の臨時財政対策債が2001年度の制度創設以降、初めて新規発行がゼロになるということです。
知事も、臨時財政対策債とはだいぶ長くお付き合いをされてきていると思いますが、改めて、新規発行ゼロになることの受け止めと、新年度予算編成への何か影響があるかということについてお尋ねします。
〇知事
臨財債がゼロになることは、地方財政にとって安定的、安定化が図られるということで歓迎したいと思います。ただ、それが予算編成の中で歳入の部分で何か影響があるかというと、基本的にはないということで理解しています。
〇幹事社
最後、知事からコメントがあればお願いします。
〇知事
県政記者会の皆さん、今年1年大変お世話になりました。皆さんのところで、さまざまな論点を開示していただいたことで、県政の理解に大いに貢献していただいたと考えていますので、心から感謝申し上げます。
会見のライブ配信も、毎回2,000人ほどの皆さまに見ていただいているということで、大変嬉しく思っております。これからも分かりやすい発信で分かりやすい県政をめざしていきますので、引き続き皆さん、ご協力よろしくお願いいたします。
また、YouTubeをご覧の皆さんも、今年1年大変お世話になりました。何事もない健やかな1年をまた迎えられますことを心からお祈り申し上げます。
それでは皆さん、よいお年をお過ごしください。今日もありがとうございました。
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