ホーム > ようこそ知事室へ > 知事記者会見録 > 知事記者会見(臨時)/令和7年1月17日/「Aomori 防災・減災強化 Action Program」について
関連分野
更新日付:2025年2月27日 広報広聴課
知事記者会見(臨時)/令和7年1月17日/「Aomori 防災・減災強化 Action Program」について
知事コメント動画
- 知事コメント動画はこちら
知事記者会見録
会見日時:令和7年1月17日金曜日 11時30分~12時30分
会見場所:県庁西棟889会議室
会見者:宮下知事
○司会
ただいまから「Aomori防災・減災強化Action Program」に係る知事の記者会見を行います。まずは知事より「Aomori防災・減災強化Action Program」について、ご説明いたします。知事よろしくお願いします。
○知事
本日の発表は、今冬の豪雪とは直接関係はなく、あらかじめ予定されていたものであって、日常の備えの強化に関する県の新たな取組の発表となります。
今日の日を選んだのは、まさに阪神・淡路大震災から30年という節目の年、それから節目の日となります。この「Aomori防災・減災強化Action Program」を県民の皆さまと共有して、県内の備えをより万全にしていきたいという思いを込めて今日発表させていただきます。
【趣旨】
それでは、今回の趣旨からご説明申し上げます。昨年の元日に発生した能登半島地震で、半島防災の重要性を認識していただいていると思います。自然災害は、時と場所を選ばないということから、事前の備えが極めて重要であります。準備していても、その半分や8割ぐらいしかできませんが、準備をしていないと本当に何もできないというのが災害だと私は感じています。
青森県の防災上の課題としては、半島も2つありますが、そもそも本州の最北端にあって三方海に囲まれていますので、県そのものが半島地形であるということと、また、防災上の課題を他人ごとではなく、「じぶんごと」として捉えることが必要だということで、今般、「Aomori防災・減災強化Action Program」を作成いたしました。概ね5年間で重点的に取り組む内容を取りまとめております。このプログラムは状況変化に応じて内容は随時アップデートしていきたいと思います。
【全体イメージ】
このプログラムは、3つの柱「防災じぶんごとProgram」、「避難所TKB向上Program」、「危機管理向上Program」からなっており、そこに「防災DX推進Program」で横串をさすイメージで策定しております。
【防災じぶんごとProgram】
現状と課題といたしましては、まずは自助あるいは共助が必要になります。自助で言うと120万人の県民、そして5.5万の事業所がありますが、それぞれがまず防災に取り組むことが必要です。共助という部分では職場、町内会、自主防災組織等で近所、親戚あるいはその家族の取組も必要です。さらには、それらを支える存在として行政や関係機関があります。このピラミッドの人数、団体数については、なかなか公助では支えきれないと思います。従いまして、県民の皆さまお1人お1人が「じぶんごと」として捉えて、防災に取り組むよう推進していくことが必要であるというコンセプトで考えています。
具体的な取組としては3点あります。1つ目は、県として防災基本条例を制定していきたいと考えています。これは令和7年度中の制定を目指しております。
2つ目は、地域防災力の向上として、防災士資格を有する県民の皆さまによる地域防災力の強化に、県がリーダーシップをとって取り組みます。
3つ目は、自主防災組織の設立促進と消防団員の確保に取り組みます。自主防災組織の活動カバー率について、全国の85.4%に比べて青森県は55.7%と非常に低い水準になっています。消防団員の数がどんどん減ってきていて、平均年齢が上がってるという実情もありますので、消防団員の確保についても県がリーダーシップを持って取り組んでいきたいと考えています。
防災じぶんごとProgramの中では、昨年、試行的に実施いたしましたが、来年度も10月29日から11月12日まで「あおもり防災チャレンジ」を実施したいと考えています。また、11月5日を県内一斉シェイクアウト訓練の日にしたいと思っています。昨年の参加者は、ホームページで登録していただいた件数が288件、登録者が1万593人で、初年度としては多くの皆さんにご参加いただいております。また、本日お越しのメディア各社にもご協力いただいて、それぞれ取り組んでいただいたところです。さらなる広がりを持たせて、この「あおもり防災チャレンジ」を実施していきたいと考えています。
【避難所TKB向上Program】
TKBとはトイレ、キッチン(食事)、ベッドのことです。避難所環境の向上には、このTKBの質の向上が非常に重要になっています。近年の災害関連死の状況をまとめましたが、能登半島地震では直接死が228人、関連死が270人、熊本地震では直接死が55人、関連死が218人となっていて、直接的に一命を取りとめたとしても、その後避難所等の環境、あるいは生活環境の変化で残念ながらお亡くなりになる関連死の方が非常に多いのが現状です。こうしたことを少しでも軽減するため、この避難所TKB向上Programを実施していきます。
具体的には、市町村と連携した防災備蓄品の多様化に、まずは取り組んでいきます。これまであまり光を当ててこなかった部分として、乳幼児や高齢者等にも優しい品目、さらには女性特有のさまざまな生活用品など、一連で整えられるようにしていきたいと考えています。
このため、防災備蓄業務を支援する共同調達を来年度から実施していきます。それぞれの市町村ごとに、例えば段ボールベッドを買うとなるとロッドがすごく小さくなりますが、県内全体でまとめて購入すると1個あたりの費用が安くなるので、まとめて買った方が効率がいいということはご理解いただけると思います。この共同調達を県主導で実施して、より早く災害備蓄品を各市町村や県に整えていく段取りを進めていきたいと考えております。
また、トイレカーの登録制度の導入、災害備蓄品の保管場所、保管方法を共有できるような仕組みづくりも考えていきたいと思っています。
また、避難所の環境確保については、市町村において避難所運営マニュアルをまだ策定してない市町村もございますので、早急に策定してもらえるよう支援していきます。また、どうしても災害が発生するとマニュアルどおりにはいきませんので、マニュアルどおりにいかない部分についても助言等ができるような体制も整えていきたいと考えております。
【危機管理向上Program】
先ほどの自助・共助・公助のピラミッドを思い出していただきたいのですが、どうしても県や市町村では、人的にも設備的にも施設的にも限りがあります。だからこそ、効率的、効果的に運用する必要があると考えており、そういう意味では県と市町村の公助の部分、災害対応力の向上についても取り組む必要があると思います。
防災を主に担当する職員がいない自治体も県内には13町村あります。また、担当していても1人、2人の自治体も13町村あります。3人から5人でも不安な部分もあります。もちろん、いざ大きな災害になれば、各市町村とも全庁体制で臨むことはあるにしても、日頃の備えという部分では、少し心もとない部分もあります。
従って、こういったところにも支援していきたいと思います。具体的には、まずは県自身の災害対応力の向上が必要だと考えています。防災訓練で実証するPDCAサイクルを展開していき、また、民間事業者との災害時応援協定も現状159ありますが、どんどん民間事業者の提案を受けて災害協定を増やしていきたいと思っています。また、庁舎自体の強靱化にも取り組んでいきたいと考えています。広域防災拠点の最適運営の検討についても今後しっかりと取り組んでいきたいと考えています。
また、市町村の災害対応力は、先ほど申し上げました地域防災強化支援ということで、受援計画をまだ作っていない自治体もあります。また、地区防災計画については、全ての市町村が作っていない状況にあります。また、災害時トイレ確保・管理計画については、一部の市町村しかできていないということもあります。個別避難計画等の作成についてもまだまだ不十分な部分もありますので、そういったところについては、県がリーダーシップを取ってしっかりと市町村で進められるように、補助制度も含めて進めていきたいと考えています。
【防災DX推進Program】
デジタル技術を最大限活用するというのは、どの分野でも必要だと考えており、本県の実情に応じた防災DXを大いに進めていきたいと思います。
具体的には、これもさまざまありますが、防災情報を迅速・的確に把握する環境を拡大しようと考えており、県全体で情報のプラットフォームを作り直していますが、防災に特化したものも運用できるように取り組んでいきたいと思います。
主なものだけご説明すると、防災教育センターについても機能強化したいと考えており、防災VRやデジタル消火体験の導入などについても検討していきます。
先ほど、市町村の支援について、職員の体制が整わない部分もあることを申し上げましたが、県庁リエゾンチーム(県からの職員派遣)についても強化していきたいと考えています。
さらに、最新の技術でいくと、ドローンはさまざまな部分で活用されます。災害時の情報収集はもちろんのこと、孤立地域に物を届けることまでできるドローンもあります。そうしたドローン技術を活用した防災力・災害対応力の向上についても、これからしっかりと進めていきたいと考えております。
【ロードマップ】
5年間の取組として、今発表した事項については順次進めていくことになります。
【現在の状況】
まだ目標値は立てておりませんが、これを5年間でそれぞれ100%に近い形に進捗させていくことを目標としています。
【質疑応答】
○司会
以上、持ちまして説明は終了いたします。ここで記者の皆さまからのご質問をお受けしたいと思います。
○記者
今回のアクションプログラムは、県民に対しては特に防災を「じぶんごと」に捉えてほしいということでこの4本柱のプログラムを発表されたと思いますが、まず、この作成の意義について改めてお願いいたします。
○知事
大きな災害があった時には、まずは自分の身を自分で守るということが大前提になります。120万人の県民の皆さまがいて、例えば県庁という組織だと4,000人しかいないので、直ちにみんなのところに助けに行くことはできません。警察組織、消防組織、自衛隊といえどもそうだということです。まず、自分のこととして考えて、自分自身の対応力を強化するということが第一です。それから、近所や会社も含めて、普段身の回りにいる人たちと災害力を高める共助もやはり大事だということです。県民一丸となって取り組むべきプログラムということで今回発表させていただいております。
○記者
関連して、じぶんごとプログラムの中で防災基本条例の制定があったかと思います。この条例は、県民から県庁まで、さまざまな役割を明らかにするということでしたが、どういったことを主に規定するのか、この条例の性格について改めて教えてください。
○知事
基本条例ですから、まず、県の役割、市町村の役割、それから事業者、団体の役割、さらには県民の皆さまの役割というものを明確にして、その上で県として対応すべきことや、市町村として対応すべきことを明らかにしていくものであるとご理解ください。
○記者
アクションプログラムは今後5年間を対象にしているとのことですが、その始まりとしては今日から数えて5年間というような形でよろしいですか。
○知事
今日からで数えていただければと思います。令和10年度の3月までとなりますので4年ちょっとになります。
○記者
防災に特化したプログラムを作成した狙いについて、改めてお伺いします。防災関係の計画ですと地域防災計画があり、この資料にもありますが基本計画の中にも位置付けられている部分があるかと思いますが、改めて防災に特化したアクションプログラムを作る狙いというのは、どういうところにあるのでしょうか。
○知事
地域防災計画はもちろん青森県も市町村も作ることになっており、また、個別避難計画は市町村で作ることになっています。業務継続計画は県も市町村もあるいはBCPという観点から企業も作るべきだとされています。それがそれぞれ任せになっていて、つなぎ目がありませんでしたが、県がこうしてプログラムを作って主導することで、全体が作成する、そして結果として防災力が高まることに期待しています。
○記者
避難所の環境向上のところで、備蓄品の充実というところがあったかと思いますが、具体的に、今までどれぐらいだった品目がどれぐらいに増えるのか、また、今まで全く備蓄していなかったが新たに備蓄を始めるものというのは、どういうものがあるのでしょうか。
○知事
県の備蓄については、私たち自身把握できていますが、市町村が今までどのように備蓄をしていたか把握できていませんので、どういう備蓄品がどの市町村にどれぐらいあるかは現状分かりません。それは、課題だという気持ちがあって、今回提示しているプッシュ型の基本8品目は市町村で基本的にそろえることとしています。乳幼児関係のものについては、県として備蓄を応援することは初めてになります。
○記者
確認ですが、乳幼児のおむつや粉ミルクなどは、今後新たに備蓄を始めていくのでしょうか。
○知事
はい。
○記者
災害備蓄品は食事・食料とか、具体的にどれぐらいの物量、5年間で例えば1週間分ですとか具体的な数字はございますか。
○危機管理局長
具体的な数量につきましては、まさに予算との絡みがございますので、現状で具体的に申し上げることはできません。青森県災害備蓄指針というものがあり、その中で3日間のうちの3分の1は県が備蓄する方針を考えてございます。県民の方々には最低3日、できるだけ7日(1週間)分をお願いしていますが、なかなかそういうこともできない方もいらっしゃるでしょうし、最大31万人の避難者が出るという想定のもとで県としては1日分を考えているところでございます。ただ、それをどういう形で購入していくかは、現在検討中ということになります。
○記者
それは、従来から決まっていたことで、これをもって増えたわけではないということでよろしいですか。
○危機管理局長
はい、そうですね。少なくとも食料については、この以前から取り組んでございますので、食料、水など4品目現状購入しております。そういったものの拡大をこれから調整して進めていきたいと考えてございます。
○記者
自主防災組織のところですが、まさに、高齢化等で、作るどころか解散しているような自治体も見られる中で、今後県としてどのように取り組んでいくのかを教えてください。
○知事
それは自治体ごとに事情が違いますので、よくお話を聞いて、支援できる体制作りは各市町村と連携して取り組んでいきたいと思います。
○記者
今回の能登半島地震では、災害関連死を巡って、福祉避難所の必要性というのも指摘されていたかと思いますが、そこに対して何か具体的なアプローチはございますでしょうか。
○知事
広域避難や災害弱者のための福祉避難所については、市町村もなかなか難儀している部分もありますので、こういったところについても市町村を応援できる仕組みを作っていきたいと思っています。
○記者
今回のように、大雪で避難所まで行けない、あるいは避難生活が長引いてしまうというような恐れも今後出てくるかと思いますが、冬の避難に関して、青森県としてこれから取り組んでいくべきことというのはどのようにお考えでしょうか。
○知事
夏も冬もそこは一緒だと思いますが、夏はしっかり冷房が効いてるということが大事で、冬は暖が取れるということが大事だと思っています。しっかり暖が取れるように対策を講じていくということの必要性を常に感じています。
○記者
今回、このアクションプログラムの中の1つ目の柱として、じぶんごとプログラムの中の「じぶんごと」はある意味今回のキーワードになっているのかと思います。もしそうであればここに込めた知事の思いを改めて教えていただけますか。
○知事
「じぶんごと」化は確かに1つの自助という意味ではキーワードになっており、自助と言ってもよく分からない言葉なので「じぶんごと」化してくださいというのは、分かりやすく伝えるという意味でのキーワードにはなっています。その思いは、正常性バイアスとよく言われているのですが、自分だけは大丈夫とみんな思ってしまい、被災してお亡くなりになる方がいらっしゃるので、本当に大規模な災害や広域の災害は自分が被災するイメージを持ってもらわないとその準備、次の段階にいかないと思います。やはり「じぶんごと」化というのはとても大事なキーワードになってくると考えています。
○記者
災害関連死の関係と避難所環境のお話がありましたが、知事として改めて避難所環境がいいこと、悪いことが、避難所等で亡くなってしまうような状況について、どういった関係性があるとお考えでしょうか。避難所環境と災害関連死の関係について知事の認識をお尋ねします。
○知事
どれぐらい影響しているかについては、さまざまな研究があると思いますが、私が思うに、せっかく避難所に行っているということは命が守られたという状況になっているはずです。ところが、やはり高齢化が進んだというのが1つの原因で、高齢者の方々は環境が変わるとやはり体調を崩したり、体調を崩したときに普段受けられてる医療のケアだとか薬のケアだとかが受けられなくなったり、さらに生活環境として食事、寝る場所あるいはトイレだとかの環境が悪いとさらに悪循環で悪化していくことが、おそらく災害関連死が進行するシナリオになっていると考えています。そのため、プライバシーが確保された環境の中で、しっかりゆっくり睡眠ができるベッドの環境をどう作るか。薬も大事ですが日々の食事も大事です。健康に留意した温かいものがちゃんと食べられるかどうかということも、すごく大事なことだと思います。また、食べたら排泄があるので、トイレの環境も、我慢するとそれも体に悪いわけですから。もちろん家の中と同じぐらい快適にはできないかもしれませんが、体調が悪化するとか、悪化が放置されるとか、そういう環境にならないような避難所にしていくということは、今本当に求められていることだと思います。
○記者
TKBについて盛り込まれていると思うんですけど、昨年公明党の県本部から半島防災のことに関する要望があった際にTKB48というな言葉、48時間以内にトイレ、キッチン、ベッドを整備する必要があるというお話があったと思いますが、今回のアクションプログラムではその48時間というような目標というのは盛り込んでいるのでしょうか。
○知事
48時間という目標は特にないです。少なくとも48時間待たずとも瞬間的に開設すべき部分もあるし、準備をちゃんとしていれば48時間は関係なくできるのではないかと思います。
○記者
県の災害対応力の向上の関係で、災害対応力には通信インフラの整備が重要かと思いますが、例えば個別で恐縮なんですけどスターリンクみたいなものを導入するご予定とかはあるのでしょうか。
○知事
導入する予定はあります。
○記者
いつごろ、何基とか予定はありますか。
○知事
いつごろ何基というところまではありませんが、スターリンクそのものは通信で活用するという方針はあります。今年中には一部整備されると思います。
資料のICTを活用した県庁リエゾンチームの強化のところに、可搬型衛生インターネットとあり、これがまさにスターリンクです。
○記者
自主防災組織の設立促進・消防団員の確保について、東日本大震災が起こってから必要性が見直されて、今まで県や市町村でも力を入れて取り組んできました。設立できるところはもう設立して、何か課題があるところは設立できていない状況だと思います。できるところまで来てしまったような感じも見受けられますが、そういう状況にある中で地域防災リーダーの育成やスキル向上研修等々が記載されています。これまで県や市町村も力込めてやってきて、そして今の状況があると思うので、ここに設立促進と消防団員の確保を掲げた具体的な対策は、これまでやってきたことを維持するというお話でいいのでしょうか。設立をまた進めるためには新しい手に打って出なければいけないと思いますが、そのあたりを教えてください。
○知事
新しい取組をどんどんやっていく必要があると考えています。力を込めていることに意味があるわけではなく、あるいはやってきたことに意味があるわけではなく、まだできてないことを課題として捉え、どうするかをもう1回市町村と一緒に考えていくということに意味があると考えています。新しい取り組みをどんどんスタートしてやっていかないと少なくとも全国に追いつくことはないし、理想100%ですから、そこに近づくこともないと私は思っています。
○記者
新しい取組は、今後、防災基本条例の中に盛り込まれるような形でしょうか。
○知事
防災基本条例の中にコンセプトを書くことはあると思いますが、具体的な取組は市町村ごとに地域の単位の捉え方が違うし、今までやってきた取組も全部違うと思うので、それぞれよく相談しながら、県として応援できるところがどこなのかを見極めて市町村を後押しする流れになると思います。
○記者
共同調達について、都道府県単位でこういう共同調達というのは珍しいことなのでしょうか。
○知事
少数ですが、ないことはないと思います。
○記者
共同調達に関して来年度から始めていくことになるとのことですが、具体的にどういうふうに進めていくのか、スケジュール感などを教えてください。
○知事
もうすでに、共同調達を実施したいという市町村については募集をかけていて、来年度の予算ベースで実行していく予定です。希望があったのは27市町村です。
○記者
この27市町村では、どういったものを共同調達する予定ですか。
○知事
今回はこの8品目(プッシュ型の基本8品目)がメインとなります。
○記者
県の災害対応力向上について、地震津波があった場合の防災力というのも分かりますが、今冬みたいな大雪の状況で、県庁の職員が、各部局で豪雪対応に注力されている人員もかなりの数いらっしゃると思います。この冬の時点で地震とかが来た場合の人員的な不安というのも県民としてはありますが、そのあたりのお考えをお聞かせください。
○知事
県庁そのものの人員の部分では、特に問題ないと思います。あらゆることをやめて、大規模の災害が来たら全部災害に人員は当てますので、特に不安はないです。それより緊急対応でみんなが出られるわけでもなくて県庁としての災害対応の仕事があるので、だから「じぶんごと」化というのはしっかりやっていだきたいなと思います。災害対策本部ベースでの人員の確保ということは全く問題ないと思います。
○記者
災害備蓄品の強化のところで、災害備蓄品の保管場所・保管方法の検討というところ、保管の集約化、孤立が想定される地区への対応検討等と記載がありますが、能登の地震でも孤立した地域に物資が届かない、そういったことを受けての対応だと思うんですけれども、具体的に今後どういう風に考えていらっしゃるかお伺いします。
○知事
まず、保管する場所というのが、県、市町村も含めてどういう場所にあるかを特定する必要があります。例えば廃校になっている小中学校は集落の中には多分どこかにあると、それが本当に保管できる場所なのかどうかを特定しなくてはいけない。保管できる場所であれば、市町村の備蓄も県の備蓄も保管しておけばいいという話になります。だから、そういうことを1つ1つ地区ごとにやっていくイメージで考えてください。
○記者
地区ごとに探すのは市町村でやるということですか。
○知事
もちろんです。それが適切かどうか、あるいは県で置けるかどうかは県でしっかり見ていかなきゃいけないので、両方でやらなければいけないと思います。
○記者
今後5年間で行う取組ということでもろもろありますが、見た感じそんなに多額の事業費を要するものはあまりない気もします。例えば、これを計画的に進めるために特別な予算枠を確保するとか、事業費の面での裏付けというのはいかがでしょうか。
○知事
意外とお金はかかると思っていて、まず備蓄品を整えることが、計画的にやらなければいけない一方で多額の費用がかかります。幸いにも国が新しい交付金を作っているので、この国の交付金も活用しながらということになります。数億から10億単位になるかと思います。
また、災害対応力の強化では、スターリンクなど通信の確保ではかなりの費用がかかります。県庁の防災力向上では、私も去年就任して半年後に電源が下にあるという話を聞いてあまりにも驚いて、すぐに対策を指示してやっと1年して予算化できましたが、これも数十億、今の時点で30億とかそれくらいかかるということもありますので、決してお金がかからないわけではありません。イメージとしては、おっしゃられたようにソフト事業の方は数百万とか数千万という単位にはなると思いますが、決して小さい額ではないと思います。総額、5年間でいくらということは基本的には出すことはなくて、毎年、これに要する費用が当初予算の中でどれぐらいかということを発表していければと考えています。
○記者
自主防災組織についてお伺いします。それぞれさまざまな計画の策定率などについて100%を目指すというお話がありました。自主防災組織は、長年、県としても組織率を上げようと取り組んできている中でなかなか上がってこなかったという部分があると思いますが、ここも100%を目指すという認識でよろしいでしょうか。
○知事
できればそうしたいですが、5年間では、なかなかそこまでは難しいかもしれないです。少なくとも現状よりも向上したいと思っていますし、何らかの目標はこれからもって取り組んでいきたいと思います。
○記者
具体的にどのぐらいまで現実的に向上させたいというのはありますか。
○知事
全国平均ぐらいまではいきたいという思いはありますが、うまくいくかどうかはやってみないとわからないと思います。
○記者
自主防災組織の組織率を上げる現状の1番の課題というのはどこでしょうか。
○知事
まさに「じぶんごと」化だと思います。災害が来ても自分は大丈夫だと思うことが防災力向上の意味では1番の課題になっています。例えば、今日このYouTubeをアップして見てくれる人は私の推計だと2,000人くらいだと思いますが、豪雪災害に関する会見は1万人以上の方が視聴しています。豪雪災害は自分のことと思っているからみんな見るけど、ちょっと先の防災のことは多分2,000人見るか見ないかぐらいにしかならない。だから、そこに大きな溝があり、自主防災組織ができるかできないかの1つの大きな壁になっていると私は認識しています。県がどういう風に取り組んできたかについて、私も市長だったからよく分かるんですが、市では確かにやっていて3割から5割ぐらいまでいったと思いますが、その時に県が何かしていたというのは特に何も感じませんでした。これからは県全体を上げるという部分ではリーダーシップは必要だろうということで、全国の取組やあるいは全国で進んでいる県の取組、支援策をよく研究して、主体的に自主防災組織の向上に取り組んでいく方針を発表したということで今日のところはご理解ください。そのため、目標は今の時点では正式にはまだなく、これから定めていきたいと思います。
○記者
備蓄品のところで数字の確認になってしまうんですが、局長の方から今まで4品目だったとお話がありました。それがこの計画策定後は、何品目になるという言い方ができるのでしょうか。
○知事
最低8品目です。
○記者
今日発表されたのが阪神大震災の発生した日に合わせたということだったのでお伺いします。知事として、阪神大震災から30年となったことの受け止めと、今回のアクションプログラムの発表も含めて、今後県としての防災対策にどのように取り組んでいきたいかというところをお願いいたします。
○知事
当時、私は中学校3年生の受験前のシーズンでしたが、自分が覚えている中で1番衝撃的な災害でした。街が燃えていて、高速道路が倒れて、人がたくさん亡くなっている状況に、中学生ながらに衝撃を受けた思い出があります。その日は全校集会が開かれて、校長先生がいろいろなお話をされていたのもなんとなく思い出として残っています。あの時から日本は防災に対して、自衛隊の災害派遣も含めて、かなり段階的に取り組んできていると思います。また、さらに東日本大震災を経て、災害対応力・防災力というのは国全体として、大幅に強化されたと思います。ただ、大事なことは、大きな災害があって、その反省としてやっていくということも1つの考え方としてあるんですが、やはり日常から積み上げていく大切さも私たちは考えなければいけないということです。ですから節目の年、節目の日に「Aomori防災・減災強化Action Program」をスタートして、さらに日常から防災力を高めていく、日常から「じぶんごと」化していく、そういうプログラムを実施したいという強い思いがあって、今日発表させていただいてます。
【知事メッセージ】
今日の発表は、改めて申し上げますが今冬の豪雪とは直接関係はございません。あらかじめ予定されていた発表になります。これから日常的に防災力を強化していくということが極めて重要になります。この「Aomori防災・減災強化Action Program」を県民の皆さまや市町村と一緒に取り組んでいって、成長させて、そして県内の備え、県民の皆さまの備えを万全にしていきたいと考えておりますので、ご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
ただいまから「Aomori防災・減災強化Action Program」に係る知事の記者会見を行います。まずは知事より「Aomori防災・減災強化Action Program」について、ご説明いたします。知事よろしくお願いします。
○知事
本日の発表は、今冬の豪雪とは直接関係はなく、あらかじめ予定されていたものであって、日常の備えの強化に関する県の新たな取組の発表となります。
今日の日を選んだのは、まさに阪神・淡路大震災から30年という節目の年、それから節目の日となります。この「Aomori防災・減災強化Action Program」を県民の皆さまと共有して、県内の備えをより万全にしていきたいという思いを込めて今日発表させていただきます。
【趣旨】
それでは、今回の趣旨からご説明申し上げます。昨年の元日に発生した能登半島地震で、半島防災の重要性を認識していただいていると思います。自然災害は、時と場所を選ばないということから、事前の備えが極めて重要であります。準備していても、その半分や8割ぐらいしかできませんが、準備をしていないと本当に何もできないというのが災害だと私は感じています。
青森県の防災上の課題としては、半島も2つありますが、そもそも本州の最北端にあって三方海に囲まれていますので、県そのものが半島地形であるということと、また、防災上の課題を他人ごとではなく、「じぶんごと」として捉えることが必要だということで、今般、「Aomori防災・減災強化Action Program」を作成いたしました。概ね5年間で重点的に取り組む内容を取りまとめております。このプログラムは状況変化に応じて内容は随時アップデートしていきたいと思います。
【全体イメージ】
このプログラムは、3つの柱「防災じぶんごとProgram」、「避難所TKB向上Program」、「危機管理向上Program」からなっており、そこに「防災DX推進Program」で横串をさすイメージで策定しております。
【防災じぶんごとProgram】
現状と課題といたしましては、まずは自助あるいは共助が必要になります。自助で言うと120万人の県民、そして5.5万の事業所がありますが、それぞれがまず防災に取り組むことが必要です。共助という部分では職場、町内会、自主防災組織等で近所、親戚あるいはその家族の取組も必要です。さらには、それらを支える存在として行政や関係機関があります。このピラミッドの人数、団体数については、なかなか公助では支えきれないと思います。従いまして、県民の皆さまお1人お1人が「じぶんごと」として捉えて、防災に取り組むよう推進していくことが必要であるというコンセプトで考えています。
具体的な取組としては3点あります。1つ目は、県として防災基本条例を制定していきたいと考えています。これは令和7年度中の制定を目指しております。
2つ目は、地域防災力の向上として、防災士資格を有する県民の皆さまによる地域防災力の強化に、県がリーダーシップをとって取り組みます。
3つ目は、自主防災組織の設立促進と消防団員の確保に取り組みます。自主防災組織の活動カバー率について、全国の85.4%に比べて青森県は55.7%と非常に低い水準になっています。消防団員の数がどんどん減ってきていて、平均年齢が上がってるという実情もありますので、消防団員の確保についても県がリーダーシップを持って取り組んでいきたいと考えています。
防災じぶんごとProgramの中では、昨年、試行的に実施いたしましたが、来年度も10月29日から11月12日まで「あおもり防災チャレンジ」を実施したいと考えています。また、11月5日を県内一斉シェイクアウト訓練の日にしたいと思っています。昨年の参加者は、ホームページで登録していただいた件数が288件、登録者が1万593人で、初年度としては多くの皆さんにご参加いただいております。また、本日お越しのメディア各社にもご協力いただいて、それぞれ取り組んでいただいたところです。さらなる広がりを持たせて、この「あおもり防災チャレンジ」を実施していきたいと考えています。
【避難所TKB向上Program】
TKBとはトイレ、キッチン(食事)、ベッドのことです。避難所環境の向上には、このTKBの質の向上が非常に重要になっています。近年の災害関連死の状況をまとめましたが、能登半島地震では直接死が228人、関連死が270人、熊本地震では直接死が55人、関連死が218人となっていて、直接的に一命を取りとめたとしても、その後避難所等の環境、あるいは生活環境の変化で残念ながらお亡くなりになる関連死の方が非常に多いのが現状です。こうしたことを少しでも軽減するため、この避難所TKB向上Programを実施していきます。
具体的には、市町村と連携した防災備蓄品の多様化に、まずは取り組んでいきます。これまであまり光を当ててこなかった部分として、乳幼児や高齢者等にも優しい品目、さらには女性特有のさまざまな生活用品など、一連で整えられるようにしていきたいと考えています。
このため、防災備蓄業務を支援する共同調達を来年度から実施していきます。それぞれの市町村ごとに、例えば段ボールベッドを買うとなるとロッドがすごく小さくなりますが、県内全体でまとめて購入すると1個あたりの費用が安くなるので、まとめて買った方が効率がいいということはご理解いただけると思います。この共同調達を県主導で実施して、より早く災害備蓄品を各市町村や県に整えていく段取りを進めていきたいと考えております。
また、トイレカーの登録制度の導入、災害備蓄品の保管場所、保管方法を共有できるような仕組みづくりも考えていきたいと思っています。
また、避難所の環境確保については、市町村において避難所運営マニュアルをまだ策定してない市町村もございますので、早急に策定してもらえるよう支援していきます。また、どうしても災害が発生するとマニュアルどおりにはいきませんので、マニュアルどおりにいかない部分についても助言等ができるような体制も整えていきたいと考えております。
【危機管理向上Program】
先ほどの自助・共助・公助のピラミッドを思い出していただきたいのですが、どうしても県や市町村では、人的にも設備的にも施設的にも限りがあります。だからこそ、効率的、効果的に運用する必要があると考えており、そういう意味では県と市町村の公助の部分、災害対応力の向上についても取り組む必要があると思います。
防災を主に担当する職員がいない自治体も県内には13町村あります。また、担当していても1人、2人の自治体も13町村あります。3人から5人でも不安な部分もあります。もちろん、いざ大きな災害になれば、各市町村とも全庁体制で臨むことはあるにしても、日頃の備えという部分では、少し心もとない部分もあります。
従って、こういったところにも支援していきたいと思います。具体的には、まずは県自身の災害対応力の向上が必要だと考えています。防災訓練で実証するPDCAサイクルを展開していき、また、民間事業者との災害時応援協定も現状159ありますが、どんどん民間事業者の提案を受けて災害協定を増やしていきたいと思っています。また、庁舎自体の強靱化にも取り組んでいきたいと考えています。広域防災拠点の最適運営の検討についても今後しっかりと取り組んでいきたいと考えています。
また、市町村の災害対応力は、先ほど申し上げました地域防災強化支援ということで、受援計画をまだ作っていない自治体もあります。また、地区防災計画については、全ての市町村が作っていない状況にあります。また、災害時トイレ確保・管理計画については、一部の市町村しかできていないということもあります。個別避難計画等の作成についてもまだまだ不十分な部分もありますので、そういったところについては、県がリーダーシップを取ってしっかりと市町村で進められるように、補助制度も含めて進めていきたいと考えています。
【防災DX推進Program】
デジタル技術を最大限活用するというのは、どの分野でも必要だと考えており、本県の実情に応じた防災DXを大いに進めていきたいと思います。
具体的には、これもさまざまありますが、防災情報を迅速・的確に把握する環境を拡大しようと考えており、県全体で情報のプラットフォームを作り直していますが、防災に特化したものも運用できるように取り組んでいきたいと思います。
主なものだけご説明すると、防災教育センターについても機能強化したいと考えており、防災VRやデジタル消火体験の導入などについても検討していきます。
先ほど、市町村の支援について、職員の体制が整わない部分もあることを申し上げましたが、県庁リエゾンチーム(県からの職員派遣)についても強化していきたいと考えています。
さらに、最新の技術でいくと、ドローンはさまざまな部分で活用されます。災害時の情報収集はもちろんのこと、孤立地域に物を届けることまでできるドローンもあります。そうしたドローン技術を活用した防災力・災害対応力の向上についても、これからしっかりと進めていきたいと考えております。
【ロードマップ】
5年間の取組として、今発表した事項については順次進めていくことになります。
【現在の状況】
まだ目標値は立てておりませんが、これを5年間でそれぞれ100%に近い形に進捗させていくことを目標としています。
【質疑応答】
○司会
以上、持ちまして説明は終了いたします。ここで記者の皆さまからのご質問をお受けしたいと思います。
○記者
今回のアクションプログラムは、県民に対しては特に防災を「じぶんごと」に捉えてほしいということでこの4本柱のプログラムを発表されたと思いますが、まず、この作成の意義について改めてお願いいたします。
○知事
大きな災害があった時には、まずは自分の身を自分で守るということが大前提になります。120万人の県民の皆さまがいて、例えば県庁という組織だと4,000人しかいないので、直ちにみんなのところに助けに行くことはできません。警察組織、消防組織、自衛隊といえどもそうだということです。まず、自分のこととして考えて、自分自身の対応力を強化するということが第一です。それから、近所や会社も含めて、普段身の回りにいる人たちと災害力を高める共助もやはり大事だということです。県民一丸となって取り組むべきプログラムということで今回発表させていただいております。
○記者
関連して、じぶんごとプログラムの中で防災基本条例の制定があったかと思います。この条例は、県民から県庁まで、さまざまな役割を明らかにするということでしたが、どういったことを主に規定するのか、この条例の性格について改めて教えてください。
○知事
基本条例ですから、まず、県の役割、市町村の役割、それから事業者、団体の役割、さらには県民の皆さまの役割というものを明確にして、その上で県として対応すべきことや、市町村として対応すべきことを明らかにしていくものであるとご理解ください。
○記者
アクションプログラムは今後5年間を対象にしているとのことですが、その始まりとしては今日から数えて5年間というような形でよろしいですか。
○知事
今日からで数えていただければと思います。令和10年度の3月までとなりますので4年ちょっとになります。
○記者
防災に特化したプログラムを作成した狙いについて、改めてお伺いします。防災関係の計画ですと地域防災計画があり、この資料にもありますが基本計画の中にも位置付けられている部分があるかと思いますが、改めて防災に特化したアクションプログラムを作る狙いというのは、どういうところにあるのでしょうか。
○知事
地域防災計画はもちろん青森県も市町村も作ることになっており、また、個別避難計画は市町村で作ることになっています。業務継続計画は県も市町村もあるいはBCPという観点から企業も作るべきだとされています。それがそれぞれ任せになっていて、つなぎ目がありませんでしたが、県がこうしてプログラムを作って主導することで、全体が作成する、そして結果として防災力が高まることに期待しています。
○記者
避難所の環境向上のところで、備蓄品の充実というところがあったかと思いますが、具体的に、今までどれぐらいだった品目がどれぐらいに増えるのか、また、今まで全く備蓄していなかったが新たに備蓄を始めるものというのは、どういうものがあるのでしょうか。
○知事
県の備蓄については、私たち自身把握できていますが、市町村が今までどのように備蓄をしていたか把握できていませんので、どういう備蓄品がどの市町村にどれぐらいあるかは現状分かりません。それは、課題だという気持ちがあって、今回提示しているプッシュ型の基本8品目は市町村で基本的にそろえることとしています。乳幼児関係のものについては、県として備蓄を応援することは初めてになります。
○記者
確認ですが、乳幼児のおむつや粉ミルクなどは、今後新たに備蓄を始めていくのでしょうか。
○知事
はい。
○記者
災害備蓄品は食事・食料とか、具体的にどれぐらいの物量、5年間で例えば1週間分ですとか具体的な数字はございますか。
○危機管理局長
具体的な数量につきましては、まさに予算との絡みがございますので、現状で具体的に申し上げることはできません。青森県災害備蓄指針というものがあり、その中で3日間のうちの3分の1は県が備蓄する方針を考えてございます。県民の方々には最低3日、できるだけ7日(1週間)分をお願いしていますが、なかなかそういうこともできない方もいらっしゃるでしょうし、最大31万人の避難者が出るという想定のもとで県としては1日分を考えているところでございます。ただ、それをどういう形で購入していくかは、現在検討中ということになります。
○記者
それは、従来から決まっていたことで、これをもって増えたわけではないということでよろしいですか。
○危機管理局長
はい、そうですね。少なくとも食料については、この以前から取り組んでございますので、食料、水など4品目現状購入しております。そういったものの拡大をこれから調整して進めていきたいと考えてございます。
○記者
自主防災組織のところですが、まさに、高齢化等で、作るどころか解散しているような自治体も見られる中で、今後県としてどのように取り組んでいくのかを教えてください。
○知事
それは自治体ごとに事情が違いますので、よくお話を聞いて、支援できる体制作りは各市町村と連携して取り組んでいきたいと思います。
○記者
今回の能登半島地震では、災害関連死を巡って、福祉避難所の必要性というのも指摘されていたかと思いますが、そこに対して何か具体的なアプローチはございますでしょうか。
○知事
広域避難や災害弱者のための福祉避難所については、市町村もなかなか難儀している部分もありますので、こういったところについても市町村を応援できる仕組みを作っていきたいと思っています。
○記者
今回のように、大雪で避難所まで行けない、あるいは避難生活が長引いてしまうというような恐れも今後出てくるかと思いますが、冬の避難に関して、青森県としてこれから取り組んでいくべきことというのはどのようにお考えでしょうか。
○知事
夏も冬もそこは一緒だと思いますが、夏はしっかり冷房が効いてるということが大事で、冬は暖が取れるということが大事だと思っています。しっかり暖が取れるように対策を講じていくということの必要性を常に感じています。
○記者
今回、このアクションプログラムの中の1つ目の柱として、じぶんごとプログラムの中の「じぶんごと」はある意味今回のキーワードになっているのかと思います。もしそうであればここに込めた知事の思いを改めて教えていただけますか。
○知事
「じぶんごと」化は確かに1つの自助という意味ではキーワードになっており、自助と言ってもよく分からない言葉なので「じぶんごと」化してくださいというのは、分かりやすく伝えるという意味でのキーワードにはなっています。その思いは、正常性バイアスとよく言われているのですが、自分だけは大丈夫とみんな思ってしまい、被災してお亡くなりになる方がいらっしゃるので、本当に大規模な災害や広域の災害は自分が被災するイメージを持ってもらわないとその準備、次の段階にいかないと思います。やはり「じぶんごと」化というのはとても大事なキーワードになってくると考えています。
○記者
災害関連死の関係と避難所環境のお話がありましたが、知事として改めて避難所環境がいいこと、悪いことが、避難所等で亡くなってしまうような状況について、どういった関係性があるとお考えでしょうか。避難所環境と災害関連死の関係について知事の認識をお尋ねします。
○知事
どれぐらい影響しているかについては、さまざまな研究があると思いますが、私が思うに、せっかく避難所に行っているということは命が守られたという状況になっているはずです。ところが、やはり高齢化が進んだというのが1つの原因で、高齢者の方々は環境が変わるとやはり体調を崩したり、体調を崩したときに普段受けられてる医療のケアだとか薬のケアだとかが受けられなくなったり、さらに生活環境として食事、寝る場所あるいはトイレだとかの環境が悪いとさらに悪循環で悪化していくことが、おそらく災害関連死が進行するシナリオになっていると考えています。そのため、プライバシーが確保された環境の中で、しっかりゆっくり睡眠ができるベッドの環境をどう作るか。薬も大事ですが日々の食事も大事です。健康に留意した温かいものがちゃんと食べられるかどうかということも、すごく大事なことだと思います。また、食べたら排泄があるので、トイレの環境も、我慢するとそれも体に悪いわけですから。もちろん家の中と同じぐらい快適にはできないかもしれませんが、体調が悪化するとか、悪化が放置されるとか、そういう環境にならないような避難所にしていくということは、今本当に求められていることだと思います。
○記者
TKBについて盛り込まれていると思うんですけど、昨年公明党の県本部から半島防災のことに関する要望があった際にTKB48というな言葉、48時間以内にトイレ、キッチン、ベッドを整備する必要があるというお話があったと思いますが、今回のアクションプログラムではその48時間というような目標というのは盛り込んでいるのでしょうか。
○知事
48時間という目標は特にないです。少なくとも48時間待たずとも瞬間的に開設すべき部分もあるし、準備をちゃんとしていれば48時間は関係なくできるのではないかと思います。
○記者
県の災害対応力の向上の関係で、災害対応力には通信インフラの整備が重要かと思いますが、例えば個別で恐縮なんですけどスターリンクみたいなものを導入するご予定とかはあるのでしょうか。
○知事
導入する予定はあります。
○記者
いつごろ、何基とか予定はありますか。
○知事
いつごろ何基というところまではありませんが、スターリンクそのものは通信で活用するという方針はあります。今年中には一部整備されると思います。
資料のICTを活用した県庁リエゾンチームの強化のところに、可搬型衛生インターネットとあり、これがまさにスターリンクです。
○記者
自主防災組織の設立促進・消防団員の確保について、東日本大震災が起こってから必要性が見直されて、今まで県や市町村でも力を入れて取り組んできました。設立できるところはもう設立して、何か課題があるところは設立できていない状況だと思います。できるところまで来てしまったような感じも見受けられますが、そういう状況にある中で地域防災リーダーの育成やスキル向上研修等々が記載されています。これまで県や市町村も力込めてやってきて、そして今の状況があると思うので、ここに設立促進と消防団員の確保を掲げた具体的な対策は、これまでやってきたことを維持するというお話でいいのでしょうか。設立をまた進めるためには新しい手に打って出なければいけないと思いますが、そのあたりを教えてください。
○知事
新しい取組をどんどんやっていく必要があると考えています。力を込めていることに意味があるわけではなく、あるいはやってきたことに意味があるわけではなく、まだできてないことを課題として捉え、どうするかをもう1回市町村と一緒に考えていくということに意味があると考えています。新しい取り組みをどんどんスタートしてやっていかないと少なくとも全国に追いつくことはないし、理想100%ですから、そこに近づくこともないと私は思っています。
○記者
新しい取組は、今後、防災基本条例の中に盛り込まれるような形でしょうか。
○知事
防災基本条例の中にコンセプトを書くことはあると思いますが、具体的な取組は市町村ごとに地域の単位の捉え方が違うし、今までやってきた取組も全部違うと思うので、それぞれよく相談しながら、県として応援できるところがどこなのかを見極めて市町村を後押しする流れになると思います。
○記者
共同調達について、都道府県単位でこういう共同調達というのは珍しいことなのでしょうか。
○知事
少数ですが、ないことはないと思います。
○記者
共同調達に関して来年度から始めていくことになるとのことですが、具体的にどういうふうに進めていくのか、スケジュール感などを教えてください。
○知事
もうすでに、共同調達を実施したいという市町村については募集をかけていて、来年度の予算ベースで実行していく予定です。希望があったのは27市町村です。
○記者
この27市町村では、どういったものを共同調達する予定ですか。
○知事
今回はこの8品目(プッシュ型の基本8品目)がメインとなります。
○記者
県の災害対応力向上について、地震津波があった場合の防災力というのも分かりますが、今冬みたいな大雪の状況で、県庁の職員が、各部局で豪雪対応に注力されている人員もかなりの数いらっしゃると思います。この冬の時点で地震とかが来た場合の人員的な不安というのも県民としてはありますが、そのあたりのお考えをお聞かせください。
○知事
県庁そのものの人員の部分では、特に問題ないと思います。あらゆることをやめて、大規模の災害が来たら全部災害に人員は当てますので、特に不安はないです。それより緊急対応でみんなが出られるわけでもなくて県庁としての災害対応の仕事があるので、だから「じぶんごと」化というのはしっかりやっていだきたいなと思います。災害対策本部ベースでの人員の確保ということは全く問題ないと思います。
○記者
災害備蓄品の強化のところで、災害備蓄品の保管場所・保管方法の検討というところ、保管の集約化、孤立が想定される地区への対応検討等と記載がありますが、能登の地震でも孤立した地域に物資が届かない、そういったことを受けての対応だと思うんですけれども、具体的に今後どういう風に考えていらっしゃるかお伺いします。
○知事
まず、保管する場所というのが、県、市町村も含めてどういう場所にあるかを特定する必要があります。例えば廃校になっている小中学校は集落の中には多分どこかにあると、それが本当に保管できる場所なのかどうかを特定しなくてはいけない。保管できる場所であれば、市町村の備蓄も県の備蓄も保管しておけばいいという話になります。だから、そういうことを1つ1つ地区ごとにやっていくイメージで考えてください。
○記者
地区ごとに探すのは市町村でやるということですか。
○知事
もちろんです。それが適切かどうか、あるいは県で置けるかどうかは県でしっかり見ていかなきゃいけないので、両方でやらなければいけないと思います。
○記者
今後5年間で行う取組ということでもろもろありますが、見た感じそんなに多額の事業費を要するものはあまりない気もします。例えば、これを計画的に進めるために特別な予算枠を確保するとか、事業費の面での裏付けというのはいかがでしょうか。
○知事
意外とお金はかかると思っていて、まず備蓄品を整えることが、計画的にやらなければいけない一方で多額の費用がかかります。幸いにも国が新しい交付金を作っているので、この国の交付金も活用しながらということになります。数億から10億単位になるかと思います。
また、災害対応力の強化では、スターリンクなど通信の確保ではかなりの費用がかかります。県庁の防災力向上では、私も去年就任して半年後に電源が下にあるという話を聞いてあまりにも驚いて、すぐに対策を指示してやっと1年して予算化できましたが、これも数十億、今の時点で30億とかそれくらいかかるということもありますので、決してお金がかからないわけではありません。イメージとしては、おっしゃられたようにソフト事業の方は数百万とか数千万という単位にはなると思いますが、決して小さい額ではないと思います。総額、5年間でいくらということは基本的には出すことはなくて、毎年、これに要する費用が当初予算の中でどれぐらいかということを発表していければと考えています。
○記者
自主防災組織についてお伺いします。それぞれさまざまな計画の策定率などについて100%を目指すというお話がありました。自主防災組織は、長年、県としても組織率を上げようと取り組んできている中でなかなか上がってこなかったという部分があると思いますが、ここも100%を目指すという認識でよろしいでしょうか。
○知事
できればそうしたいですが、5年間では、なかなかそこまでは難しいかもしれないです。少なくとも現状よりも向上したいと思っていますし、何らかの目標はこれからもって取り組んでいきたいと思います。
○記者
具体的にどのぐらいまで現実的に向上させたいというのはありますか。
○知事
全国平均ぐらいまではいきたいという思いはありますが、うまくいくかどうかはやってみないとわからないと思います。
○記者
自主防災組織の組織率を上げる現状の1番の課題というのはどこでしょうか。
○知事
まさに「じぶんごと」化だと思います。災害が来ても自分は大丈夫だと思うことが防災力向上の意味では1番の課題になっています。例えば、今日このYouTubeをアップして見てくれる人は私の推計だと2,000人くらいだと思いますが、豪雪災害に関する会見は1万人以上の方が視聴しています。豪雪災害は自分のことと思っているからみんな見るけど、ちょっと先の防災のことは多分2,000人見るか見ないかぐらいにしかならない。だから、そこに大きな溝があり、自主防災組織ができるかできないかの1つの大きな壁になっていると私は認識しています。県がどういう風に取り組んできたかについて、私も市長だったからよく分かるんですが、市では確かにやっていて3割から5割ぐらいまでいったと思いますが、その時に県が何かしていたというのは特に何も感じませんでした。これからは県全体を上げるという部分ではリーダーシップは必要だろうということで、全国の取組やあるいは全国で進んでいる県の取組、支援策をよく研究して、主体的に自主防災組織の向上に取り組んでいく方針を発表したということで今日のところはご理解ください。そのため、目標は今の時点では正式にはまだなく、これから定めていきたいと思います。
○記者
備蓄品のところで数字の確認になってしまうんですが、局長の方から今まで4品目だったとお話がありました。それがこの計画策定後は、何品目になるという言い方ができるのでしょうか。
○知事
最低8品目です。
○記者
今日発表されたのが阪神大震災の発生した日に合わせたということだったのでお伺いします。知事として、阪神大震災から30年となったことの受け止めと、今回のアクションプログラムの発表も含めて、今後県としての防災対策にどのように取り組んでいきたいかというところをお願いいたします。
○知事
当時、私は中学校3年生の受験前のシーズンでしたが、自分が覚えている中で1番衝撃的な災害でした。街が燃えていて、高速道路が倒れて、人がたくさん亡くなっている状況に、中学生ながらに衝撃を受けた思い出があります。その日は全校集会が開かれて、校長先生がいろいろなお話をされていたのもなんとなく思い出として残っています。あの時から日本は防災に対して、自衛隊の災害派遣も含めて、かなり段階的に取り組んできていると思います。また、さらに東日本大震災を経て、災害対応力・防災力というのは国全体として、大幅に強化されたと思います。ただ、大事なことは、大きな災害があって、その反省としてやっていくということも1つの考え方としてあるんですが、やはり日常から積み上げていく大切さも私たちは考えなければいけないということです。ですから節目の年、節目の日に「Aomori防災・減災強化Action Program」をスタートして、さらに日常から防災力を高めていく、日常から「じぶんごと」化していく、そういうプログラムを実施したいという強い思いがあって、今日発表させていただいてます。
【知事メッセージ】
今日の発表は、改めて申し上げますが今冬の豪雪とは直接関係はございません。あらかじめ予定されていた発表になります。これから日常的に防災力を強化していくということが極めて重要になります。この「Aomori防災・減災強化Action Program」を県民の皆さまや市町村と一緒に取り組んでいって、成長させて、そして県内の備え、県民の皆さまの備えを万全にしていきたいと考えておりますので、ご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
過去の記者会見録
令和6年度 令和5年度 令和4年度 令和3年度 令和2年度 平成31年度(令和元年度) 平成30年度 平成29年度 平成28年度 平成27年度 平成26年度 平成25年度 平成24年度 平成23年度 平成22年度 平成21年度 平成20年度 平成19年度 平成18年度 平成17年度 平成16年度