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更新日付:2025年3月14日 広報広聴課
知事記者会見(定例記者会見)/令和7年2月4日/庁議報告ほか
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知事記者会見録
会見日時:令和7年2月4日火曜日 11時00分~11時55分
会見場所:県庁西棟889会議室
会見者:宮下知事
〇幹事社
ただ今から、定例記者会見を始めます。
まずは、知事から報告をお願いします。
〇知事
【令和7年豪雪対策の県の対応状況について】
まず、今冬の豪雪対策の状況についてご説明申し上げます。
2月3日の9時時点では、青森市の積雪深は104センチ、弘前市82センチ、五所川原市87センチ、野辺地町53センチ、むつ市11センチであり、前年と比べると圧倒的に多くなっています。例年、このくらい降ることはあったとしても、やはり今冬の12月から1月の中旬までの降り方は、災害級だったと捉えております。
最積雪深は、青森市139センチ、弘前市126センチ、五所川原市107センチ、野辺地町82センチ、むつ市50センチとなっています。累積降雪量は、青森市では489センチと5メートルに届きそうなほどであり、弘前市でも4メートル超え、五所川原市と野辺地町でも3メートル超え、むつ市でも178センチとなっており、昨年と比べて倍以上降っているところもあります。
青森市内の降雪について、今年と昨年の差を見ていただくと圧倒的に降っており、例年と比べても今年は特別、雪の多い年になっているということが言えます。 弘前市内も同様であり、昨年よりも圧倒的に降っているのはもちろんのこと、平年に比べても雪が多くなっています。今日から数日間、また降雪のピークを迎えることになっています。寒波が来るようですので、これからさらに厳しい冬になっていくことが予測されています。
現在の被害状況です。人的被害が総計144件、そのうち死者が9名です。死亡の原因で一番多いのは屋根の雪下ろしです。これからまた降雪が続いて、屋根の雪下ろしに取りかかることが多くなると思いますので、十分注意していただきたいと考えています。
建物の被害は、住家・非住家合わせて321件と非常に多くなっております。これはまだ暫定値ですが、日々、被害が拡大していく状況にあります。
続きまして農林水産関係被害について、現在の被害額は7,729万4千円となっていますが、農道の除雪が難しく状況を把握できていないエリアもありますので、まだまだ拡大する可能性があります。
特に農作物被害では、りんごの枝折れが11市町村、ハウスが15市町村、160棟での被害を把握していますし、畜産関係の被害も広がっている状況です。
県のこれまでの対応ですが、雪が比較的少なかったエリアから雪が多く降ったエリアへのダンプトラック等の支援マッチングを実施し、第一弾から第三弾まで計55台、延べ214台がマッチングしている状況です。
この他、雪捨て場の確保についても、県として支援している状況です。
災害救助法の適用について、雪害による適用は13年ぶりとなり、10市町村での適用となりました。今日までで災害救助法の適用は一旦終了することになりますが、今後の雪の降り方や各地の状況を見ながら、再度適用することも考えていきます。
また今冬、被害を受けられた方々に対して、被災者生活再建支援制度を適用することを決定いたしました。雪害に対して適用するのは初めてとなります。今回、適用対象となるのは全壊・大規模半壊・中規模半壊となった住家です。
【りんご雪害軽減事業について】
先ほども申し上げたとおり、りんごの枝折れ被害が広がっており、枝だけではなく幹から折れているものも散見されます。そのため、県として「りんご雪害軽減事業」に取り組みます。
りんご農家の皆さんは、炭をまいて雪を解かしているようですが、広範囲になり非常に手間がかかるため、融雪促進剤の空中散布を支援する事業を構築いたします。
具体的には、無人ヘリやドローンを活用して、融雪促進剤を散布する農家の皆さんに対する経費の補助ということになります。補助率については、3分の2以内、10アール当たり2,650円が上限となっており、生産者の負担イメージは10アール当たり1,750円と、手でまく場合と同じ程度の負担ということになります。
各市町村やJAにあるパンフレットをご確認いただき、申請をお願いします。
2月下旬から融雪剤の空中散布ができるようにしていきたいと考えています。無人ヘリで作業を行うため一気に広範囲に散布できますので、ぜひご活用いただいて、りんごの木を守り、りんご産業を守っていただくということに農家の皆さんもご協力をお願いいたします。
【第二みちのく有料道路のETCレーン利用開始日について】
昨年は、一時通行止めなどの対応で大変ご迷惑をおかけしましたが、第二みちのく有料道路ETCレーンの利用開始日が3月10日に決定しました。まだ車載器を搭載されていない方は、ぜひETCを付けていただいて、第二みちのく有料道路を快適に通行していただきたいと考えています。
第二みちのく有料道路は、この料金所がボトルネックになっていて、朝方や夕方の時間帯に混雑する場所になっていましたが、ETC専用レーンの設置で大幅に混雑が解消できると考えていますので、ぜひご活用ください。
昨年、みちのく有料の方ではイベントを開催しましたが、今回イベント等は行いません。
回数券の払い戻し等の対応については、来年の3月31日まで実施いたします。
【質疑応答(報告案件について)】
〇幹事社
それでは、ただ今の報告に対する各社からの質問としますが、質問は簡潔となるようご協力をお願いいたします。質問のある社は挙手をお願いします。
〇記者
りんご雪害軽減事業についてお伺いします。今回、融雪剤の空中散布について支援するとのことですが、融雪剤購入の支援ではなく空中散布の支援にしたのはどういった理由があるのでしょうか。
〇知事
購入の支援は各市町村で対応していただいていると伺っていますので、我々としては広域での散布ということに注目をして支援することにいたしました。
〇記者
関連して、農作物や農業施設の被害がかなり確認されていると思いますが、今後、どういった支援をする計画があるのか、決まっていましたら教えてください。
〇知事
農作物の被害については、2つ考える必要があり、まず1つは被害の拡大を防止するという緊急対策として、今回、りんご園地に対する緊急的な融雪剤の散布を支援することとしています。
もう1つは、さまざまな農業施設にて被害がありますので、これについての支援策を考える必要があります。まだこの2月にも雪が降るので、さらに被害が拡大することが想定されます。そのため、春にしっかりと今年の冬の被害の全容を把握した上でその対策を打ち出していきます。
春から取り組みますと言うとスピード感がないと思われるかもしれませんが、途中で対応すると公平な支援ができなくなるので、雪が落ち着いたタイミングで調査をして、全容を把握し、来年度の生産に間に合うような、影響のない範囲での支援策をスピーディに行っていきたいと考えています。
〇記者
それでは、早ければ4月にも次の支援策を打ち出せるような形になるのでしょうか。
〇知事
4月まで待たずともできる可能性はありますし、その辺りは雪の降り方次第です。
〇記者
先ほどの被災者生活再建支援制度について、この適用はいつからになりますか。
〇知事
担当局長からお答えします。
〇危機管理局長
先ほど知事からもございましたとおり、年末年始の降雪が他の年の同じ時期と比べても相当多く、しかも断続的であったということを踏まえて災害救助法が適用されましたので、基本的には災害救助法が適用されていた期間と考えていますが、今後の雪の降り方や本日までの状況なども踏まえながら今後検討していくこととしています。
〇知事
つまり1月4日からの適用になりますが、その前の被害についても状況に応じて考えるということです。
〇記者
細かいところですが、手続きの方法について教えてください。
〇危機管理局長
市町村の方で申請手続きをしていただくことになっています。本日、こういう形で決定しましたので、速やかに市町村にこのことについてお伝えしたいと思います。
〇記者
このような制度を雪害に適用するのは初めてということで、ここまで大きな被害になったことへの受け止めをお聞かせください。
〇知事
災害対応として今回は取り組んでいますので、当然、災害対応の一環として被災者生活再建も行っていくということで考えています。
〇記者
りんごの雪害軽減事業についてお伺いします。今回の取組は県として初めての取組でしょうか、それとも過去にも実施しているのでしょうか。
〇知事
今回が初めてです。
〇記者
今回、こういった事業を行う経緯としては、農家さんから要望があったものなのか、それとも県独自で実態調査をした上でやろうと決めたのでしょうか。
〇知事
私自身も各地の現場に伺い、こういう制度があったらいいなという話も聞きましたし、また農家の皆さんの手間ということは、各現場でのヒアリングの結果もありますので、現場の実態調査を踏まえて、私たちとしてやるべきことを企画立案していると受け止めてください。
〇記者
現場の声を拾った上でこういった事業を実施するということでしょうか。
〇知事
現場の声ももちろんあります。
〇記者
今回、予算額7,155万円ということですが、こちら金額の根拠があればお伺いします。
〇知事
担当部長からお答えします。
〇農林水産部長
面積につきましては、各農協、市町村等から要望をとりまして、それを受けて、あとは融雪剤の販売量など、そういったものを踏まえて金額を出しています。
全体が約2万、結果樹面積で1万9千ヘクタールぐらいの15%を想定しています。
〇知事
りんご園全体の15%に散布するということで考えており、特に人が入れない山間部などを中心にということで考えています。
〇記者
申込期間が28日までとなっていますが、例えば降雪量がすごく多かったりだとか、要望があれば、延長することもあるのでしょうか。
〇知事
そのとおりです。
〇記者
第二みちのく有料道路のETCレーンの利用開始について、今回のETC導入によって、青森・八戸間がキャッシュレスで移動できるようになると思いますが、みちのく有料道路・第二みちのく有料道路の利用者増など、どういった効果が期待されるかをお伺いします。
〇知事
確実に交通量は増えると思いますし、料金設定に柔軟性をもたせることができることから、物流などのさまざまな課題解決への期待が多くなると考えておりますので、それに応えられるような政策を立案するきっかけにしていきたいと考えています。
〇記者
交通量の増加というのは、第二みちのくだけではなく、みちのく有料道路の交通増にもつながるということでしょうか。
〇知事
そのように考えています。一連の道路網ですので、第二みちのくは混むという理由で一般国道を通っていた方も、第二みちのくがスムーズになったからそのまま行こうという方が増えると考えています。
一般国道の方の交通は確実にこちらに転換してくると、私たちとしては考えています。
〇記者
関連する政策というのは、例えばどういったものを想定していらっしゃいますか。
〇知事
夜間割引や緑ナンバーの割引など、考えられる余地があります。これまでは料金所で計算する必要があるため実施が難しかったものが、そういう土壌が整うことになります。
これは、実際にやるかやらないかはまた別の話です。
〇記者
災害救助法についてお伺いします。今後も適用する可能性があるというお話でした。これからの降雪の状況を見てということですが、適用する基準や考え方というのは何かございますか。
〇知事
累積の降雪量、それから積雪深が一つのポイントになると考えています。それに加えて、市町村からの要請などをセットにして考えて、個別の対応になると考えています。
〇記者
目安となる降雪量、積雪量などはあるのでしょうか。
〇知事
現在、豪雪対策本部の設置基準の見直しを行っているところですが、設置する基準が何センチとは定められていません。ただ、市町村は警戒本部、対策本部、災害対策本部となっていくに当たって、それぞれ基準を持っていますので、その市町村のそれぞれの基準をクリアしているかどうかということが一つの基準になると考えています。
〇記者
豪雪対策本部の設置基準を見直しているとのことですが、どのような見直しを図っていらっしゃるのか、お願いします。
〇知事
これまで明確に、このタイミングで設置するという基準が県にはありませんでした。今回、改めて、雪の降り方などにより知事が判断したタイミングで設置ができるように、柔軟に設置できるような基準に見直すことで、来年度の対応に向けて検討を進めています。
〇記者
従来は知事の判断で設置するものではなかったということでしょうか。
〇知事
はい、そのとおりです。
〇記者
今の豪雪対策本部の設置の基準の見直しの関係で、知事が判断できるようにするということで見直していくとのことでしたが、現状の設置基準だと、どういうところが課題だとお感じになられていたかということを伺ってもよろしいでしょうか。
〇知事
見通しが立った時点で、設置するかどうか逡巡する場面があったということだと考えています。12月の中旬くらいから降り始めて、かなり積もってきており、特に生活道路の除排雪がなかなか追いついていないということが見受けられました。
本来であれば、その時点で設置しても良かったのですが、基準がありません。ある程度災害として認識されるまで設置ができないということだと、対応も遅れるだろうということもあるので、今後の見通しが出た時点でスピーディに判断して設置することは、今回の一つの反省点として次に生かすべきことだと考えています。
今冬は設置しているので、今年度見直すというよりは来年度に向けて見直しをしているということです。
【質疑応答】
〇記者
総務省の人口移動報告についてお尋ねします。先の発表では青森県の転出超過に歯止めがかかっていない状況が改めて示されました。一朝一夕に問題が解決しないという認識を前提として、今回の結果の受け止めをお聞きします。また、増加の幅に関しては、青森県は東北で唯一縮小ということがありました。これについて、どう捉えていらっしゃいますか。
〇知事
社会減の状況が深刻だということは、私自身も就任当時からずっと言い続けており、これはこの1年、2年で始まったことではなく、この50年間の兆候であり、また青森県は転入超過になったことは一度もなく、しかも転出超過が大きい県であるということは、今もそれはそのように受け止めなければいけないと考えています。
これを政策の力で何とかするのは非常に大変なことではありますが、対策していかないと青森県から人がいなくなってしまうという環境にあります。
私たち独自のさまざまな試算の中では、このまま人口が減り続けると、青森県に人がいなくなる時がきてしまうので、そうならないように「こども・子育て『青森モデル』」の実現に向けた取組を加速化させていく必要があると改めて感じています。
増加の幅が縮小したかどうかは、それが政策においてどうこうなったということではないと考えていますので、そこに一喜一憂することはないと考えています。
〇記者
予算編成が最終場面を迎えていると思いますが、人口減少に関連して、予算編成の基本方針では「産業基盤の強化による所得向上」や「こどもまんなか社会の実現」などを掲げていらっしゃいます。今、知事が加速化させていくとおっしゃった青森モデルを新年度以降、またさらに進めていく上での新たな方向性や、予算の中で具体化したい取組等ございましたら教えてください。
〇知事
従前からお伝えしているとおり、やはり雇用の増加、仕事を増やすことと所得を向上させること、青森県は地域経済をどうにかすることが大事だと考えています。若い人たちの所得を上げる、若い人たちの仕事をつくっていくことが一番大事ですので、その点にフォーカスした予算づくりということで、今考えています。
現状は、やはり物価高がありますから、物価高騰に対するさまざまな支援策についても打ち出していきたいと考えています。
〇記者
先日、観光庁が公表した宿泊旅行統計の速報で、青森県で11月までに宿泊した外国人の延べ人数が過去最多の40万人に到達したということで、この受け止めに関してお願いいたします。
〇知事
青森インバウンド新時代の幕開けであると考えています。40万人は非常に大きな数字ですが、やはりその先の50万人、100万人ということを目指していきたいと考えています。
これはやはり、ただお客様が来て観光地に行って、観光消費だけということだと地域経済への広がりは限定的ですが、これが50万人、100万人と来てくれる方々が増えることによってさまざまな投資が生まれると考えています。ホテルをどうするのか、ホテルの近くのリゾートのエリアをどうするのかなど、新しい投資が始まる環境ができてはじめてインバウンド政策が成功すると考えています。
投資の環境を呼び込む、それが仕事づくりにつながって定着につながるという、県民全体に資するようなインバウンド政策につながっていく第一歩であるという意味を込めて、青森インバウンド新時代と表現しています。
〇記者
関連して、今、各自治体でインバウンドの獲得競争のようなことが起きているかと思いますが、改めてそういった中で、青森県がインバウンドを取り込むにあたってどういった部分を訴求していきたいかお伺いします。
〇知事
各自治体との関係では、円安の環境にあるので、競争しているようでしていないと考えています。
例えば、人口減少の社会減という話になると、東京と地方の戦い、地方同士の戦いになりますが、インバウンドというのは世界の70億人の人口を日本国内やその地域でどう取り込んでいくかということですので、他の自治体と競争しているわけではないと考えています。
青森県として世界に発信できる部分が一体何なのか、縄文やお祭りといった文化や食などの独自性を突き詰めて、世界の中での青森の価値を磨き上げていくことが大事だと考えています。
〇記者
洋上風力発電について伺います。昨日、先進地秋田の事例を紹介する企業向けの研修会を開かれていましたが、巨大開発に地元企業がどれだけ参入できるかが引き続き課題となっています。知事はかねて、自分たちの産業にできるかというのを提起しておられましたが、県として風車メーカーや発電事業者と地元企業とのマッチングなど、地元企業参入に向けた具体策、支援、何かお考えはありますか。
〇知事
そのことについては、大いに進めていきたいと考えています。まずは説明会などの開催からスタートして、地元としてどういう事業ができるのかを知る機会をつくっていくことはもちろん、地元の会社に少しでも仕事が広がっていくような事業にしたいので、例えば企業がコンソーシアムを組んで一緒に実施する環境を整えていく、一緒に勉強会を続けていくなど、そのような環境をしっかり整えていきたいと考えています。
それは洋上風力発電だけではなく、GXに関連する陸上の風力発電も含めて、今県内に立地しているさまざまな再生可能エネルギーとの関係で進めていきたいと考えています。
〇記者
知事がおっしゃる説明会というのは、事業者が開くべきものでしょうか。
〇知事
事業者が開いても良いし、県が主催しても良いし、また地元の市町村が主催しても良いと考えています。
ただ、県内の事業者という意味では県がリーダーシップをとる場面も必要になってくると考えています。
〇記者
いつ開催するかの目安はありますか。
〇知事
現時点で申し上げられるものはありませんが、少なくとも予算案の中ではそのようなお話も出てきますので、来年度には少し進めていきたいと考えています。
〇記者
むつ中間貯蔵施設について伺います。
31日にRFSが向こう3年分の使用済燃料のキャスクの貯蔵計画を示しました。初めて原電のキャスクが搬入される計画も示されました。ただ、知事やむつ市の山本市長がかねて求めてきた中長期の搬入出計画、もしくは2棟目の建設、具体的な話は未だ示されておりません。
知事は中長期的な計画というのは県民の安心につながるとおっしゃってこられましたが、今回、事業者が示された計画や説明についてどのように受け止めていますか。
〇知事
我々が求めているのは中長期的な計画であって、何年に何基持ってくるという個別の話は、特に気にしていません。次の年に持ち込まれるものについて、どういう性質のもので、それが六ケ所に搬入された後も含めてしっかり処理されるものなのかどうかを毎年整理することで、中間貯蔵事業の健全性を確保していきたいということを申し上げてきましたので、そういうスケジュール感で動いてほしいと考えています。
中長期的にという話は3年後の話を持ち込むということではなく、50年間、どのような搬入、搬出があるかを整理してほしいということを伝えていました。
そのことについてはしっかり伝わっていると考えていますので、早晩、お示しいただけると期待しています。
〇記者
その中長期計画の事業者提示に向けて、例えば提示の期限を区切るなど、さらに強い対応を求めていくことなどお考えはいかがでしょうか。
〇知事
現時点では、強い対応を求めていくところまで考えていませんが、少なくとも知事が公開の場で早めの提示を求めたものですし、県議会やむつ市長、むつ市議会からもそのような声がありますので、それが1年遅れて、2年遅れてということにはならないのではないかと考えています。
〇記者
裏を返せば、25年度中には、という知事のお考えはあるということですか。
〇知事
期限を設けることに意味があるとは考えていませんが、少なくとも私たちとしては早めに提示していただきたいですし、それが安心につながります。
搬出されるということの確約につながりますので、そこは事業者の方で、県民の皆さまの気持ちがこの事業から離れないようなタイミングでしっかり持ってきていただきたいと考えています。
〇記者
陸奥湾ホタテについてお伺いします。主な産地の平内町では、去年・一昨年と水揚げが減少しまして、さらに今年もかなりの減産が見込まれております。
そうなりますと生産者だけではなく加工など関連産業にも大幅な影響があると思いますが、今後、県として対策など支援のお考えはありますでしょうか。
〇知事
ホタテガイ総合戦略でさまざまホタテガイの生産・流通・販売に対する策を記載しています。これが令和7年度の予算でさまざまな形で実現することになりますので、その具体的な方策については発表をお待ちください。
〇記者
地元の生産者から、特に親貝の確保を望む声が上がっていますが、そのあたりも新年度予算の中で示されるのでしょうか。
〇知事
親貝の確保もそうですが、そもそも稚貝がいないので、稚貝の確保も含めて全湾でどういう対応ができるかということは、県や各漁協、県漁連がしっかり考えていく必要があると認識しています。
〇記者
八戸の住宅地周辺で、真冬であるにも関わらずクマの目撃情報が相次いでいまして、住民からは不安の声もかなり聞かれているところです。
昨秋は餌となるブナも豊作で、春から個体数の増加が見込まれている中で、例えば注意報の前倒しの発令など、県として現状考えている対策があるかということと、県民の方に呼び掛けること、注意があればお願いいたします。
〇知事
12月の定例会見で、クマは冬眠したから大丈夫だと発言しましたが、そのことについて非常に反省しています。私自身、クマ対策を現場で10年間指揮してきた中で、下北では冬にクマが出るという経験はなかったことからそのような発言になりました。
一方、野生の動物なので、不確実性ということを改めて認識しており、冬も行動するクマがいるということ、春から秋までの対応と同様に注意が必要であるということは、言うまでもないことだと考えています。
県としての対応について、現在は地域が限定的であるため、八戸市としてまず住民に対する注意喚起や、捕獲に向けた県警との連携などをしっかり対応していただきたいと考えています。
春先に向けて注意報等の発令はしていこうと考えていますが、注意報は基本的に山に入る人たちへの注意喚起になるので、今回、街に出てくるということに関しては、自治体の防災ネットワークで対応していただくことが、必要十分な対策になると考えています。もちろん応援を求められれば対応しますが、まずは各自治体が主体的に取り組んでいただきたいと考えています。
〇記者
指定管理鳥獣としてクマの管理計画を年内に策定することになっていたかと思いますが、その進捗状況はいかがでしょうか。
〇知事
今月中に、調査結果を踏まえた特定鳥獣保護管理計画を策定するための委員会を開催します。その場で、ツキノワグマの個体数調査結果の速報値等をお知らせします。また、共存できるような環境をつくるためにも、年内には捕獲頭数の整理などを発表いたします。クマ対策についても令和7年度当初予算で重点事項として取り上げています。
〇記者
学校給食費の関係でお伺いします。立憲民主党が公立小中学校の給食費を無償化したいということで、他の野党と一緒に共同法案を提出しています。
一方で文科省の方では、給食費の無償化には、給食を実施していないところの児童・生徒との公平性や、既に生活困窮世帯のこどもは事実上無償化されているなど、さまざまな課題があると提示しています。
既に全県的に無償化を実現している県の知事として、こうした国全体の無償化の動きに何か期待するところはございますでしょうか。
〇知事
実施しない理由を挙げても切りがありません。実施するという時には政治的な決断が必要であり、それが立憲民主党だから、自民党だからという政党政治の政争の具のようにされること自体がどうかと考えています。
実施しない理由を考えるよりは、どのようになれば実施できるのかということを考えた方が良いと思います。先ほど人口の話題が出ましたが、今、地方創生2.0で社会減に着目して、女性と若者が地域で暮らすためにどんなことができるのかということに集中して政策資源を投入していこうというのは、方向性としては同じであると考えています。
社会減の対応というのは、自治体間の競争になってしまいます。しかし、本来の人口減少というのは、生まれてくる人よりも死んでいく人の数が多いことで人口が減っていくので、その根幹のところに歯止めをかけない限りは、いくら社会減を止めようとしても、日本から人がいなくなってしまいます。
例えば、昔はこどもが労働者だった時代もあり、こどもがたくさんいることで社会が元気になって活性化する時代もありましたが、今はこどもがいることが若い世代にとって経済的リスクになってしまっているのでしょう。ただ、私はそのように考えていません。
そのような中で、経済的なリスクとなっている部分をいかに除去して、むしろこどもがいたら得をする社会を構築しなければ、この先、日本から人口がいなくなるという危機感を持たないといけません。そこに政争の具になるような論点はないはずであり、日本人皆が一致してやらなければならないことだと考えています。
給食費というのは、ただ単に全体のうちの数ある項目のうちの1つだと思いますが、そんなことばかり実施していては、そもそも日本が無くなるということに皆気づく必要があると考えています。
〇記者
話が戻って、むつの中間貯蔵についてお伺いいたします。先ほど中長期計画について、時期は具体的にはお示しになりませんでしたが、1年、2年という、長期でかかるものではないというご認識を示されました。
昨年、1基目が搬入されて、その後、知事は1基であれば引き返すこともできるということをおっしゃっていました。県に示された計画では27年度まででトータル180トン弱ぐらいウラン換算で入ってくることになります。
知事としては、その引き返せる段階というのは、そこまでいくと全然そうではなくて、本格搬入の時期というのは今回ので示されたという認識になるのでしょうか。
〇知事
少なくとも立地の概要で書かれているような、毎年200トンくらいを搬入することが本格的な搬入だろうと考えています。
ただ十何本も入って来て引き返せるかと言えば、そのようなことはないと考えているため、そのことについては毎年度、次の年の計画を見ながら判断すべきことだと考えています。
中長期的な計画を、例えば今年度中に持ってこい、来年度の前半までに持ってこいというべきものなのかどうかもよく考える必要があり、焦っていろいろなものを作って適当なものを持ってくるよりは、50年間の分を計画できるような環境を整えて、我々に対してしっかり説明できるものを持ってきてほしいということもあるので、期限を決める必要はないと考えています。
〇記者
次の2基目というのは25年度の下期に計画されていますが、引き返せる・引き返せない的な話で言うと、少なくとも2基目が来る前までには示してほしいとか、そういったお考えはいかがでしょうか。
〇知事
このように私が報道機関からたくさん質問を受けているということは事業者も考えるべきことであり、早急にそのような状況を解消することも事業者の務めだと考えています。
〇記者
今1基ですけど、2基、3基というのも、まだ知事の中では引き返せるということでしょうか。
〇知事
引き返せるというのは、要するに持って帰って置く場所があるかどうかですので、それは聞いてみないと分かりません。少なくとも1基目は県外で作っていたわけですので、作っていたところに持って帰ればいいだけだと考えています。そこは柏崎の市長もそういう話をされていました。
2基目がそうかどうかはよく考えないといけないと思います。
〇幹事社
それでは、最後に知事からよろしくお願いします。
〇知事
雪のシーズンがまだまだ続きます。また今日からしばらくは寒波ということで、吹雪の時は不要不急の外出は控えていただきたいということと、それに併せて雪の作業も続きます。屋根の雪周りでの事故が一番多く、亡くなる方も多い場面になりますので、安全対策を徹底して、2人以上で、ヘルメットをして、自分だけは大丈夫と思わずに、業者に任せるところは任せて、安全に配慮していただきたいと考えています。
県としては、県道・国道の除排雪は今まで以上に徹底するように指示していますし、また生活道路で行き届かない部分について、市町村の中でも徹底して取り組んでいただいている箇所もあれば、なかなか行き届いていないところもあります。除排雪というのは雪国の冬の基本的な住民サービスであるため、助言・指導ということも含めて考えておりますし、またそうした環境の中で皆で笑顔で春を迎えられるように、県としても市町村を応援しながら雪対策をしていきますので、皆さんもご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
私からは以上です。ありがとうございました。
ただ今から、定例記者会見を始めます。
まずは、知事から報告をお願いします。
〇知事
【令和7年豪雪対策の県の対応状況について】
まず、今冬の豪雪対策の状況についてご説明申し上げます。
2月3日の9時時点では、青森市の積雪深は104センチ、弘前市82センチ、五所川原市87センチ、野辺地町53センチ、むつ市11センチであり、前年と比べると圧倒的に多くなっています。例年、このくらい降ることはあったとしても、やはり今冬の12月から1月の中旬までの降り方は、災害級だったと捉えております。
最積雪深は、青森市139センチ、弘前市126センチ、五所川原市107センチ、野辺地町82センチ、むつ市50センチとなっています。累積降雪量は、青森市では489センチと5メートルに届きそうなほどであり、弘前市でも4メートル超え、五所川原市と野辺地町でも3メートル超え、むつ市でも178センチとなっており、昨年と比べて倍以上降っているところもあります。
青森市内の降雪について、今年と昨年の差を見ていただくと圧倒的に降っており、例年と比べても今年は特別、雪の多い年になっているということが言えます。 弘前市内も同様であり、昨年よりも圧倒的に降っているのはもちろんのこと、平年に比べても雪が多くなっています。今日から数日間、また降雪のピークを迎えることになっています。寒波が来るようですので、これからさらに厳しい冬になっていくことが予測されています。
現在の被害状況です。人的被害が総計144件、そのうち死者が9名です。死亡の原因で一番多いのは屋根の雪下ろしです。これからまた降雪が続いて、屋根の雪下ろしに取りかかることが多くなると思いますので、十分注意していただきたいと考えています。
建物の被害は、住家・非住家合わせて321件と非常に多くなっております。これはまだ暫定値ですが、日々、被害が拡大していく状況にあります。
続きまして農林水産関係被害について、現在の被害額は7,729万4千円となっていますが、農道の除雪が難しく状況を把握できていないエリアもありますので、まだまだ拡大する可能性があります。
特に農作物被害では、りんごの枝折れが11市町村、ハウスが15市町村、160棟での被害を把握していますし、畜産関係の被害も広がっている状況です。
県のこれまでの対応ですが、雪が比較的少なかったエリアから雪が多く降ったエリアへのダンプトラック等の支援マッチングを実施し、第一弾から第三弾まで計55台、延べ214台がマッチングしている状況です。
この他、雪捨て場の確保についても、県として支援している状況です。
災害救助法の適用について、雪害による適用は13年ぶりとなり、10市町村での適用となりました。今日までで災害救助法の適用は一旦終了することになりますが、今後の雪の降り方や各地の状況を見ながら、再度適用することも考えていきます。
また今冬、被害を受けられた方々に対して、被災者生活再建支援制度を適用することを決定いたしました。雪害に対して適用するのは初めてとなります。今回、適用対象となるのは全壊・大規模半壊・中規模半壊となった住家です。
【りんご雪害軽減事業について】
先ほども申し上げたとおり、りんごの枝折れ被害が広がっており、枝だけではなく幹から折れているものも散見されます。そのため、県として「りんご雪害軽減事業」に取り組みます。
りんご農家の皆さんは、炭をまいて雪を解かしているようですが、広範囲になり非常に手間がかかるため、融雪促進剤の空中散布を支援する事業を構築いたします。
具体的には、無人ヘリやドローンを活用して、融雪促進剤を散布する農家の皆さんに対する経費の補助ということになります。補助率については、3分の2以内、10アール当たり2,650円が上限となっており、生産者の負担イメージは10アール当たり1,750円と、手でまく場合と同じ程度の負担ということになります。
各市町村やJAにあるパンフレットをご確認いただき、申請をお願いします。
2月下旬から融雪剤の空中散布ができるようにしていきたいと考えています。無人ヘリで作業を行うため一気に広範囲に散布できますので、ぜひご活用いただいて、りんごの木を守り、りんご産業を守っていただくということに農家の皆さんもご協力をお願いいたします。
【第二みちのく有料道路のETCレーン利用開始日について】
昨年は、一時通行止めなどの対応で大変ご迷惑をおかけしましたが、第二みちのく有料道路ETCレーンの利用開始日が3月10日に決定しました。まだ車載器を搭載されていない方は、ぜひETCを付けていただいて、第二みちのく有料道路を快適に通行していただきたいと考えています。
第二みちのく有料道路は、この料金所がボトルネックになっていて、朝方や夕方の時間帯に混雑する場所になっていましたが、ETC専用レーンの設置で大幅に混雑が解消できると考えていますので、ぜひご活用ください。
昨年、みちのく有料の方ではイベントを開催しましたが、今回イベント等は行いません。
回数券の払い戻し等の対応については、来年の3月31日まで実施いたします。
【質疑応答(報告案件について)】
〇幹事社
それでは、ただ今の報告に対する各社からの質問としますが、質問は簡潔となるようご協力をお願いいたします。質問のある社は挙手をお願いします。
〇記者
りんご雪害軽減事業についてお伺いします。今回、融雪剤の空中散布について支援するとのことですが、融雪剤購入の支援ではなく空中散布の支援にしたのはどういった理由があるのでしょうか。
〇知事
購入の支援は各市町村で対応していただいていると伺っていますので、我々としては広域での散布ということに注目をして支援することにいたしました。
〇記者
関連して、農作物や農業施設の被害がかなり確認されていると思いますが、今後、どういった支援をする計画があるのか、決まっていましたら教えてください。
〇知事
農作物の被害については、2つ考える必要があり、まず1つは被害の拡大を防止するという緊急対策として、今回、りんご園地に対する緊急的な融雪剤の散布を支援することとしています。
もう1つは、さまざまな農業施設にて被害がありますので、これについての支援策を考える必要があります。まだこの2月にも雪が降るので、さらに被害が拡大することが想定されます。そのため、春にしっかりと今年の冬の被害の全容を把握した上でその対策を打ち出していきます。
春から取り組みますと言うとスピード感がないと思われるかもしれませんが、途中で対応すると公平な支援ができなくなるので、雪が落ち着いたタイミングで調査をして、全容を把握し、来年度の生産に間に合うような、影響のない範囲での支援策をスピーディに行っていきたいと考えています。
〇記者
それでは、早ければ4月にも次の支援策を打ち出せるような形になるのでしょうか。
〇知事
4月まで待たずともできる可能性はありますし、その辺りは雪の降り方次第です。
〇記者
先ほどの被災者生活再建支援制度について、この適用はいつからになりますか。
〇知事
担当局長からお答えします。
〇危機管理局長
先ほど知事からもございましたとおり、年末年始の降雪が他の年の同じ時期と比べても相当多く、しかも断続的であったということを踏まえて災害救助法が適用されましたので、基本的には災害救助法が適用されていた期間と考えていますが、今後の雪の降り方や本日までの状況なども踏まえながら今後検討していくこととしています。
〇知事
つまり1月4日からの適用になりますが、その前の被害についても状況に応じて考えるということです。
〇記者
細かいところですが、手続きの方法について教えてください。
〇危機管理局長
市町村の方で申請手続きをしていただくことになっています。本日、こういう形で決定しましたので、速やかに市町村にこのことについてお伝えしたいと思います。
〇記者
このような制度を雪害に適用するのは初めてということで、ここまで大きな被害になったことへの受け止めをお聞かせください。
〇知事
災害対応として今回は取り組んでいますので、当然、災害対応の一環として被災者生活再建も行っていくということで考えています。
〇記者
りんごの雪害軽減事業についてお伺いします。今回の取組は県として初めての取組でしょうか、それとも過去にも実施しているのでしょうか。
〇知事
今回が初めてです。
〇記者
今回、こういった事業を行う経緯としては、農家さんから要望があったものなのか、それとも県独自で実態調査をした上でやろうと決めたのでしょうか。
〇知事
私自身も各地の現場に伺い、こういう制度があったらいいなという話も聞きましたし、また農家の皆さんの手間ということは、各現場でのヒアリングの結果もありますので、現場の実態調査を踏まえて、私たちとしてやるべきことを企画立案していると受け止めてください。
〇記者
現場の声を拾った上でこういった事業を実施するということでしょうか。
〇知事
現場の声ももちろんあります。
〇記者
今回、予算額7,155万円ということですが、こちら金額の根拠があればお伺いします。
〇知事
担当部長からお答えします。
〇農林水産部長
面積につきましては、各農協、市町村等から要望をとりまして、それを受けて、あとは融雪剤の販売量など、そういったものを踏まえて金額を出しています。
全体が約2万、結果樹面積で1万9千ヘクタールぐらいの15%を想定しています。
〇知事
りんご園全体の15%に散布するということで考えており、特に人が入れない山間部などを中心にということで考えています。
〇記者
申込期間が28日までとなっていますが、例えば降雪量がすごく多かったりだとか、要望があれば、延長することもあるのでしょうか。
〇知事
そのとおりです。
〇記者
第二みちのく有料道路のETCレーンの利用開始について、今回のETC導入によって、青森・八戸間がキャッシュレスで移動できるようになると思いますが、みちのく有料道路・第二みちのく有料道路の利用者増など、どういった効果が期待されるかをお伺いします。
〇知事
確実に交通量は増えると思いますし、料金設定に柔軟性をもたせることができることから、物流などのさまざまな課題解決への期待が多くなると考えておりますので、それに応えられるような政策を立案するきっかけにしていきたいと考えています。
〇記者
交通量の増加というのは、第二みちのくだけではなく、みちのく有料道路の交通増にもつながるということでしょうか。
〇知事
そのように考えています。一連の道路網ですので、第二みちのくは混むという理由で一般国道を通っていた方も、第二みちのくがスムーズになったからそのまま行こうという方が増えると考えています。
一般国道の方の交通は確実にこちらに転換してくると、私たちとしては考えています。
〇記者
関連する政策というのは、例えばどういったものを想定していらっしゃいますか。
〇知事
夜間割引や緑ナンバーの割引など、考えられる余地があります。これまでは料金所で計算する必要があるため実施が難しかったものが、そういう土壌が整うことになります。
これは、実際にやるかやらないかはまた別の話です。
〇記者
災害救助法についてお伺いします。今後も適用する可能性があるというお話でした。これからの降雪の状況を見てということですが、適用する基準や考え方というのは何かございますか。
〇知事
累積の降雪量、それから積雪深が一つのポイントになると考えています。それに加えて、市町村からの要請などをセットにして考えて、個別の対応になると考えています。
〇記者
目安となる降雪量、積雪量などはあるのでしょうか。
〇知事
現在、豪雪対策本部の設置基準の見直しを行っているところですが、設置する基準が何センチとは定められていません。ただ、市町村は警戒本部、対策本部、災害対策本部となっていくに当たって、それぞれ基準を持っていますので、その市町村のそれぞれの基準をクリアしているかどうかということが一つの基準になると考えています。
〇記者
豪雪対策本部の設置基準を見直しているとのことですが、どのような見直しを図っていらっしゃるのか、お願いします。
〇知事
これまで明確に、このタイミングで設置するという基準が県にはありませんでした。今回、改めて、雪の降り方などにより知事が判断したタイミングで設置ができるように、柔軟に設置できるような基準に見直すことで、来年度の対応に向けて検討を進めています。
〇記者
従来は知事の判断で設置するものではなかったということでしょうか。
〇知事
はい、そのとおりです。
〇記者
今の豪雪対策本部の設置の基準の見直しの関係で、知事が判断できるようにするということで見直していくとのことでしたが、現状の設置基準だと、どういうところが課題だとお感じになられていたかということを伺ってもよろしいでしょうか。
〇知事
見通しが立った時点で、設置するかどうか逡巡する場面があったということだと考えています。12月の中旬くらいから降り始めて、かなり積もってきており、特に生活道路の除排雪がなかなか追いついていないということが見受けられました。
本来であれば、その時点で設置しても良かったのですが、基準がありません。ある程度災害として認識されるまで設置ができないということだと、対応も遅れるだろうということもあるので、今後の見通しが出た時点でスピーディに判断して設置することは、今回の一つの反省点として次に生かすべきことだと考えています。
今冬は設置しているので、今年度見直すというよりは来年度に向けて見直しをしているということです。
【質疑応答】
〇記者
総務省の人口移動報告についてお尋ねします。先の発表では青森県の転出超過に歯止めがかかっていない状況が改めて示されました。一朝一夕に問題が解決しないという認識を前提として、今回の結果の受け止めをお聞きします。また、増加の幅に関しては、青森県は東北で唯一縮小ということがありました。これについて、どう捉えていらっしゃいますか。
〇知事
社会減の状況が深刻だということは、私自身も就任当時からずっと言い続けており、これはこの1年、2年で始まったことではなく、この50年間の兆候であり、また青森県は転入超過になったことは一度もなく、しかも転出超過が大きい県であるということは、今もそれはそのように受け止めなければいけないと考えています。
これを政策の力で何とかするのは非常に大変なことではありますが、対策していかないと青森県から人がいなくなってしまうという環境にあります。
私たち独自のさまざまな試算の中では、このまま人口が減り続けると、青森県に人がいなくなる時がきてしまうので、そうならないように「こども・子育て『青森モデル』」の実現に向けた取組を加速化させていく必要があると改めて感じています。
増加の幅が縮小したかどうかは、それが政策においてどうこうなったということではないと考えていますので、そこに一喜一憂することはないと考えています。
〇記者
予算編成が最終場面を迎えていると思いますが、人口減少に関連して、予算編成の基本方針では「産業基盤の強化による所得向上」や「こどもまんなか社会の実現」などを掲げていらっしゃいます。今、知事が加速化させていくとおっしゃった青森モデルを新年度以降、またさらに進めていく上での新たな方向性や、予算の中で具体化したい取組等ございましたら教えてください。
〇知事
従前からお伝えしているとおり、やはり雇用の増加、仕事を増やすことと所得を向上させること、青森県は地域経済をどうにかすることが大事だと考えています。若い人たちの所得を上げる、若い人たちの仕事をつくっていくことが一番大事ですので、その点にフォーカスした予算づくりということで、今考えています。
現状は、やはり物価高がありますから、物価高騰に対するさまざまな支援策についても打ち出していきたいと考えています。
〇記者
先日、観光庁が公表した宿泊旅行統計の速報で、青森県で11月までに宿泊した外国人の延べ人数が過去最多の40万人に到達したということで、この受け止めに関してお願いいたします。
〇知事
青森インバウンド新時代の幕開けであると考えています。40万人は非常に大きな数字ですが、やはりその先の50万人、100万人ということを目指していきたいと考えています。
これはやはり、ただお客様が来て観光地に行って、観光消費だけということだと地域経済への広がりは限定的ですが、これが50万人、100万人と来てくれる方々が増えることによってさまざまな投資が生まれると考えています。ホテルをどうするのか、ホテルの近くのリゾートのエリアをどうするのかなど、新しい投資が始まる環境ができてはじめてインバウンド政策が成功すると考えています。
投資の環境を呼び込む、それが仕事づくりにつながって定着につながるという、県民全体に資するようなインバウンド政策につながっていく第一歩であるという意味を込めて、青森インバウンド新時代と表現しています。
〇記者
関連して、今、各自治体でインバウンドの獲得競争のようなことが起きているかと思いますが、改めてそういった中で、青森県がインバウンドを取り込むにあたってどういった部分を訴求していきたいかお伺いします。
〇知事
各自治体との関係では、円安の環境にあるので、競争しているようでしていないと考えています。
例えば、人口減少の社会減という話になると、東京と地方の戦い、地方同士の戦いになりますが、インバウンドというのは世界の70億人の人口を日本国内やその地域でどう取り込んでいくかということですので、他の自治体と競争しているわけではないと考えています。
青森県として世界に発信できる部分が一体何なのか、縄文やお祭りといった文化や食などの独自性を突き詰めて、世界の中での青森の価値を磨き上げていくことが大事だと考えています。
〇記者
洋上風力発電について伺います。昨日、先進地秋田の事例を紹介する企業向けの研修会を開かれていましたが、巨大開発に地元企業がどれだけ参入できるかが引き続き課題となっています。知事はかねて、自分たちの産業にできるかというのを提起しておられましたが、県として風車メーカーや発電事業者と地元企業とのマッチングなど、地元企業参入に向けた具体策、支援、何かお考えはありますか。
〇知事
そのことについては、大いに進めていきたいと考えています。まずは説明会などの開催からスタートして、地元としてどういう事業ができるのかを知る機会をつくっていくことはもちろん、地元の会社に少しでも仕事が広がっていくような事業にしたいので、例えば企業がコンソーシアムを組んで一緒に実施する環境を整えていく、一緒に勉強会を続けていくなど、そのような環境をしっかり整えていきたいと考えています。
それは洋上風力発電だけではなく、GXに関連する陸上の風力発電も含めて、今県内に立地しているさまざまな再生可能エネルギーとの関係で進めていきたいと考えています。
〇記者
知事がおっしゃる説明会というのは、事業者が開くべきものでしょうか。
〇知事
事業者が開いても良いし、県が主催しても良いし、また地元の市町村が主催しても良いと考えています。
ただ、県内の事業者という意味では県がリーダーシップをとる場面も必要になってくると考えています。
〇記者
いつ開催するかの目安はありますか。
〇知事
現時点で申し上げられるものはありませんが、少なくとも予算案の中ではそのようなお話も出てきますので、来年度には少し進めていきたいと考えています。
〇記者
むつ中間貯蔵施設について伺います。
31日にRFSが向こう3年分の使用済燃料のキャスクの貯蔵計画を示しました。初めて原電のキャスクが搬入される計画も示されました。ただ、知事やむつ市の山本市長がかねて求めてきた中長期の搬入出計画、もしくは2棟目の建設、具体的な話は未だ示されておりません。
知事は中長期的な計画というのは県民の安心につながるとおっしゃってこられましたが、今回、事業者が示された計画や説明についてどのように受け止めていますか。
〇知事
我々が求めているのは中長期的な計画であって、何年に何基持ってくるという個別の話は、特に気にしていません。次の年に持ち込まれるものについて、どういう性質のもので、それが六ケ所に搬入された後も含めてしっかり処理されるものなのかどうかを毎年整理することで、中間貯蔵事業の健全性を確保していきたいということを申し上げてきましたので、そういうスケジュール感で動いてほしいと考えています。
中長期的にという話は3年後の話を持ち込むということではなく、50年間、どのような搬入、搬出があるかを整理してほしいということを伝えていました。
そのことについてはしっかり伝わっていると考えていますので、早晩、お示しいただけると期待しています。
〇記者
その中長期計画の事業者提示に向けて、例えば提示の期限を区切るなど、さらに強い対応を求めていくことなどお考えはいかがでしょうか。
〇知事
現時点では、強い対応を求めていくところまで考えていませんが、少なくとも知事が公開の場で早めの提示を求めたものですし、県議会やむつ市長、むつ市議会からもそのような声がありますので、それが1年遅れて、2年遅れてということにはならないのではないかと考えています。
〇記者
裏を返せば、25年度中には、という知事のお考えはあるということですか。
〇知事
期限を設けることに意味があるとは考えていませんが、少なくとも私たちとしては早めに提示していただきたいですし、それが安心につながります。
搬出されるということの確約につながりますので、そこは事業者の方で、県民の皆さまの気持ちがこの事業から離れないようなタイミングでしっかり持ってきていただきたいと考えています。
〇記者
陸奥湾ホタテについてお伺いします。主な産地の平内町では、去年・一昨年と水揚げが減少しまして、さらに今年もかなりの減産が見込まれております。
そうなりますと生産者だけではなく加工など関連産業にも大幅な影響があると思いますが、今後、県として対策など支援のお考えはありますでしょうか。
〇知事
ホタテガイ総合戦略でさまざまホタテガイの生産・流通・販売に対する策を記載しています。これが令和7年度の予算でさまざまな形で実現することになりますので、その具体的な方策については発表をお待ちください。
〇記者
地元の生産者から、特に親貝の確保を望む声が上がっていますが、そのあたりも新年度予算の中で示されるのでしょうか。
〇知事
親貝の確保もそうですが、そもそも稚貝がいないので、稚貝の確保も含めて全湾でどういう対応ができるかということは、県や各漁協、県漁連がしっかり考えていく必要があると認識しています。
〇記者
八戸の住宅地周辺で、真冬であるにも関わらずクマの目撃情報が相次いでいまして、住民からは不安の声もかなり聞かれているところです。
昨秋は餌となるブナも豊作で、春から個体数の増加が見込まれている中で、例えば注意報の前倒しの発令など、県として現状考えている対策があるかということと、県民の方に呼び掛けること、注意があればお願いいたします。
〇知事
12月の定例会見で、クマは冬眠したから大丈夫だと発言しましたが、そのことについて非常に反省しています。私自身、クマ対策を現場で10年間指揮してきた中で、下北では冬にクマが出るという経験はなかったことからそのような発言になりました。
一方、野生の動物なので、不確実性ということを改めて認識しており、冬も行動するクマがいるということ、春から秋までの対応と同様に注意が必要であるということは、言うまでもないことだと考えています。
県としての対応について、現在は地域が限定的であるため、八戸市としてまず住民に対する注意喚起や、捕獲に向けた県警との連携などをしっかり対応していただきたいと考えています。
春先に向けて注意報等の発令はしていこうと考えていますが、注意報は基本的に山に入る人たちへの注意喚起になるので、今回、街に出てくるということに関しては、自治体の防災ネットワークで対応していただくことが、必要十分な対策になると考えています。もちろん応援を求められれば対応しますが、まずは各自治体が主体的に取り組んでいただきたいと考えています。
〇記者
指定管理鳥獣としてクマの管理計画を年内に策定することになっていたかと思いますが、その進捗状況はいかがでしょうか。
〇知事
今月中に、調査結果を踏まえた特定鳥獣保護管理計画を策定するための委員会を開催します。その場で、ツキノワグマの個体数調査結果の速報値等をお知らせします。また、共存できるような環境をつくるためにも、年内には捕獲頭数の整理などを発表いたします。クマ対策についても令和7年度当初予算で重点事項として取り上げています。
〇記者
学校給食費の関係でお伺いします。立憲民主党が公立小中学校の給食費を無償化したいということで、他の野党と一緒に共同法案を提出しています。
一方で文科省の方では、給食費の無償化には、給食を実施していないところの児童・生徒との公平性や、既に生活困窮世帯のこどもは事実上無償化されているなど、さまざまな課題があると提示しています。
既に全県的に無償化を実現している県の知事として、こうした国全体の無償化の動きに何か期待するところはございますでしょうか。
〇知事
実施しない理由を挙げても切りがありません。実施するという時には政治的な決断が必要であり、それが立憲民主党だから、自民党だからという政党政治の政争の具のようにされること自体がどうかと考えています。
実施しない理由を考えるよりは、どのようになれば実施できるのかということを考えた方が良いと思います。先ほど人口の話題が出ましたが、今、地方創生2.0で社会減に着目して、女性と若者が地域で暮らすためにどんなことができるのかということに集中して政策資源を投入していこうというのは、方向性としては同じであると考えています。
社会減の対応というのは、自治体間の競争になってしまいます。しかし、本来の人口減少というのは、生まれてくる人よりも死んでいく人の数が多いことで人口が減っていくので、その根幹のところに歯止めをかけない限りは、いくら社会減を止めようとしても、日本から人がいなくなってしまいます。
例えば、昔はこどもが労働者だった時代もあり、こどもがたくさんいることで社会が元気になって活性化する時代もありましたが、今はこどもがいることが若い世代にとって経済的リスクになってしまっているのでしょう。ただ、私はそのように考えていません。
そのような中で、経済的なリスクとなっている部分をいかに除去して、むしろこどもがいたら得をする社会を構築しなければ、この先、日本から人口がいなくなるという危機感を持たないといけません。そこに政争の具になるような論点はないはずであり、日本人皆が一致してやらなければならないことだと考えています。
給食費というのは、ただ単に全体のうちの数ある項目のうちの1つだと思いますが、そんなことばかり実施していては、そもそも日本が無くなるということに皆気づく必要があると考えています。
〇記者
話が戻って、むつの中間貯蔵についてお伺いいたします。先ほど中長期計画について、時期は具体的にはお示しになりませんでしたが、1年、2年という、長期でかかるものではないというご認識を示されました。
昨年、1基目が搬入されて、その後、知事は1基であれば引き返すこともできるということをおっしゃっていました。県に示された計画では27年度まででトータル180トン弱ぐらいウラン換算で入ってくることになります。
知事としては、その引き返せる段階というのは、そこまでいくと全然そうではなくて、本格搬入の時期というのは今回ので示されたという認識になるのでしょうか。
〇知事
少なくとも立地の概要で書かれているような、毎年200トンくらいを搬入することが本格的な搬入だろうと考えています。
ただ十何本も入って来て引き返せるかと言えば、そのようなことはないと考えているため、そのことについては毎年度、次の年の計画を見ながら判断すべきことだと考えています。
中長期的な計画を、例えば今年度中に持ってこい、来年度の前半までに持ってこいというべきものなのかどうかもよく考える必要があり、焦っていろいろなものを作って適当なものを持ってくるよりは、50年間の分を計画できるような環境を整えて、我々に対してしっかり説明できるものを持ってきてほしいということもあるので、期限を決める必要はないと考えています。
〇記者
次の2基目というのは25年度の下期に計画されていますが、引き返せる・引き返せない的な話で言うと、少なくとも2基目が来る前までには示してほしいとか、そういったお考えはいかがでしょうか。
〇知事
このように私が報道機関からたくさん質問を受けているということは事業者も考えるべきことであり、早急にそのような状況を解消することも事業者の務めだと考えています。
〇記者
今1基ですけど、2基、3基というのも、まだ知事の中では引き返せるということでしょうか。
〇知事
引き返せるというのは、要するに持って帰って置く場所があるかどうかですので、それは聞いてみないと分かりません。少なくとも1基目は県外で作っていたわけですので、作っていたところに持って帰ればいいだけだと考えています。そこは柏崎の市長もそういう話をされていました。
2基目がそうかどうかはよく考えないといけないと思います。
〇幹事社
それでは、最後に知事からよろしくお願いします。
〇知事
雪のシーズンがまだまだ続きます。また今日からしばらくは寒波ということで、吹雪の時は不要不急の外出は控えていただきたいということと、それに併せて雪の作業も続きます。屋根の雪周りでの事故が一番多く、亡くなる方も多い場面になりますので、安全対策を徹底して、2人以上で、ヘルメットをして、自分だけは大丈夫と思わずに、業者に任せるところは任せて、安全に配慮していただきたいと考えています。
県としては、県道・国道の除排雪は今まで以上に徹底するように指示していますし、また生活道路で行き届かない部分について、市町村の中でも徹底して取り組んでいただいている箇所もあれば、なかなか行き届いていないところもあります。除排雪というのは雪国の冬の基本的な住民サービスであるため、助言・指導ということも含めて考えておりますし、またそうした環境の中で皆で笑顔で春を迎えられるように、県としても市町村を応援しながら雪対策をしていきますので、皆さんもご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
私からは以上です。ありがとうございました。
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