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更新日付:2012年3月7日 道路課
システム概要
マネジメントフロー
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フローは、大きく5STEPで構成されています。
STEP1では、維持管理の基本方針ともいえる「基本戦略」を策定します。
STEP2では、環境条件、点検結果、重要度評価等に基づき「個別橋梁の戦略」を策定します。
STEP3では、全橋梁のライフサイクルコストを算定集計し予算目標などに合わせて平準化を行い「中長期の予算計画」を策定します。
STEP4では、決定した中長期予算に基き、「中期の事業計画」を策定し、事業実施に至ります。
STEP5では、事後評価を行い、アセットマネジメントの進行管理や必要な見直しをします。
STEP1 基本戦略
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県の橋梁維持管理の基本方針ですが、県民の安全・安心な生活を確保するためには、道路ネットワークの維持管理・橋梁機能の永続的維持が必要となります。
一方で、今後の大量更新時代の到来に伴い、大変厳しい財政運営が想定されます。
そこで、「アセットマネジメントを導入し維持管理費用の最小化・平準化」することを基本方針とします。
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基本方針に基づき、「長寿命化で維持管理コスト削減」、「老朽橋梁の計画的更新」の二つを「長期戦略」とします。
この長期戦略から、橋梁の「予算」、「管理」の面それぞれでの長期目標を立てます。
STEP2 個別橋梁の戦略
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維持管理・点検
維持管理・点検の特長としては、独自の「維持管理・点検マニュアル」を策定したことと「点検業務のIT化」を図ったことが挙げられます。
この二つにより、点検費用の従来の80%まで削減を実現しました。
橋梁点検のIT化ですが、独自に点検支援システムというものを開発しました。
タブレットPCで現場作業を行い、点検調書を自動出力できます。これにより事後作業が大幅に省力化されコストダウンを実現しました。
- 実際に点検を行っている様子
- 劣化機構と健全度の入力画面
- 損傷図の入力画面
劣化機構は、立地など環境状況、交通量など使用条件やひび割れなど変状の特徴や、前回の点検結果から推定します。
健全度は、潜伏期、進展期、加速期前期・後期、劣化期の5段階で評価します。下記は、点検現場に携帯する点検ハンドブックの一例です。それぞれの健全度の定義と標準的状態を定義しておりまして、ハンドブックには参考写真も掲載しています。
- 健全度:4
- 健全度:3.5
- 健全度:2
- 健全度:1
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維持管理シナリオ選定
維持管理シナリオは、大きく2つ「長寿命化シナリオ」と「更新シナリオ」を設定しています。
さらに長寿命化シナリオは6種類ありまして、
A-1:戦略的対策シナリオは、特殊環境橋梁等を対象に、鋼部材の定期的な塗装塗替など戦略的な予防対策を行う。
A-2:LCC最小シナリオは、新設橋梁の維持管理を想定した場合に、全てのシナリオの中でLCCが最も有利となる対策を行う。
B-1:早期対策シナリオ(ハイグレード型)は、劣化・損傷により部材性能に影響が出始める初期に、鋼部材の塗装塗替(上位塗装への変更)など早期的な対策を行う。
B-2:早期対策シナリオは、B-1シナリオと同様に、健全度3.0において早期的な対策を行うが、鋼部材の塗装塗替(同等塗装)などB-1シナリオと比較して初期コストを抑制した対策を行う。
C-1:事後対策シナリオは、劣化・損傷により利用者の安全性に影響が出始める前に、鋼部材の当て板補強を伴う塗装塗替など事後的な対策を行う。
C-2:事後対策シナリオ(構造安全確保型)は、C-1と同様の対策を行うが、予算制約から健全度1.5~1.0において対策を行う。
E:電気防食シナリオは、コンクリート橋の桁材に対して、劣化・損傷の進行を抑制することを目的に電気防食を行う。なお、その他の部材についてはA-1~C-2のいずれかのシナリオの対策を行う。
これらのシナリオを現場に合わせて数種類選定することで、現場にあった維持管理に結びつきます。
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健全度の将来予測
劣化予測式の作成方法は、橋梁点検のデータの蓄積もなく、また、環境条件等により細分化しているので県内の740橋の点検結果の回帰式による予測式の設定は困難でした。
そこで、既存の研究成果や点検データや過去の補修履歴、学識経験者の知見、これらの融合によって劣化予測式を作成しました。
部材や劣化機構ごとに全275種類、環境条件別にすると1,022種類の劣化予測式を設定して、現実に近い、実用的な将来予測を採用しています。
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シナリオ別LCC算定
LCC算定では、それぞれのシナリオに対して、橋梁の全部材を材質・劣化機構別に対策時期と対策工法を決定する対策マトリクスを策定して算出しています。健全度がどの時点であれば、どの工法を選定するか、その場合の費用は要素単位でいくらか、その結果健全度がどこまで回復するのかという、このマトリクスを何百枚も作成して、工事費を算出しています。
また、工事費の算出も単価表を作成しておりまして、県の歩掛、単価を使用して、数量を算出して、正確に積み上げを行っており、工事の根拠も明確であるため、現場と工事費が離れることがありません。
このようにして作成した対策マトリクスは275種類あり、対策工法別で1,650種類あります。何百種類もの対策工法を劣化機構別に作成していくことで、対策時期もシナリオとあった、現場でそのまま使える精度の高い工法が選ばれます。
下記は、劣化予測式と対策マトリクスを使ったライフサイクルコストの試算例です。上が50年間の累計ライフサイクルコストで下が健全度の年次変動グラフです。
STEP3 中長期予算計画
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STEP3では「中長期予算計画」策定のため、STEP2で算定したLCCを全橋梁で集計し、その集計値と中長期予算との整合を図ります。
整合すれば中長期予算が決定し、整合しない場合はシナリオを再選定し、再度整合を図ることとなります。
予算計画作成のための平準化では、ただ算出された予算を平均するのではなく、先ほど絞り込まれたシナリオを変更することで、平準化することです。
つまり、予防保全だった橋が、予算が確保できないので事後保全に変更となる。そのことで予算は先送りとなるが、トータルのLCCでは高くなる。このように予算をただの数字あわせではなく、シナリオの変更で正確に行うことで、予算の信頼度を高めています。
また、そのシナリオの変更も現場に合わせて絞り込まれたシナリオからのみ選ばれます。そのため、現場にあった対策工法しか選ばれないことから、現場からの信頼度を高めています。
STEP4 中期事業計画
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STEP4 中期事業計画
最後に予算が確定したら、その予算に基づくシナリオに従って、対策工法や事業費が一覧で作成されます。
この資料をもとに、現場を確認しながら、5箇年計画を作成していきます。
STEP5 事後評価
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マネジメントをサイクルするということで、事後評価を行います。
その評価は、毎年行う評価、これは年次計画の見直しのために行います。
中期ごと、大体5年ごとに行う評価、これは定期点検が5年に一回なので、そのデータを解析した結果劣化予測式を変更する必要が出た場合などを想定して、システムの技術情報の見直しのために行います。
そして、中長期計画の評価、これは10年に一回程度行うもので、政策的に設定している目標値や維持管理方針の見直しのために行います。
なお、毎年「青森県橋梁アセットマネジメントアニュアルレポート」を作成し、事後評価結果を公表することとしています。
これは、アカウンタビリティーの向上に合わせて、橋梁アセットマネジメント業務の進行管理に繋がると考えています。