組織概要

組織概要

家畜保健衛生所は、「家畜保健衛生所法（昭和25年制定）」により都道府県に設置が義務付けられている公的機関です。地域の家畜衛生を向上させ、畜産業の発展を支えるという目的達成のため、家畜伝染病の発生予防とまん延防止を第一に、安全な畜産物生産のための衛生指導や畜産環境問題、畜産を巡る諸課題に積極的に取り組んでいます。当所の所轄する区域は、十和田市、三沢市、上北郡６町１村（野辺地町、七戸町、六戸町、横浜町、東北町、六ヶ所村、おいらせ町）の2市6町1村で構成されています。面積は2,126km^2で、八甲田連峰と太平洋及び野辺地湾との間の青森県東南内陸部に位置し、十和田湖を介して秋田県と県境を接していいます。上北地域の令和2年農業算出額は県全体の32.6％を占め、畜産産出額においては県全体の53.4％以上を占めています。管内の家畜飼養戸数・頭羽数は、乳用牛、肉用牛及び豚において県内のほぼ65％以上を占め、本県畜産の中核地域となっています。

組織図

業務の内容

（１）家畜伝染病予防事業

県内への家畜の監視伝染病の侵入防止を図るため、家畜伝染病予防法に基づき、発生予防、発生予察の検査や消毒を実施しています。
また、これらの伝染病の発生時には、緊急予防注射、検査、畜舎の消毒等のまん延防止対策を行います。

（２）消費・安全対策交付金事業

疾病の発生に備え、その監視体制や情報収集体制の強化と整備を図るとともに、新たな診断方法や予防技術を確立するための検査等を実施しています。
また、肺炎や下痢など農場の生産性を阻害する疾病による損耗防止を図る検査等を行い、効果的な対策等について検討し、それぞれの農場に沿った生産ガイドラインの策定を指導します。

（３）病性鑑定

当所は、本県の基幹家畜保健衛生所として唯一病性鑑定課を有し、ウイルス・細菌・病理・生化学分野の専門獣医師による家畜の伝染性疾病、その他疾病の迅速かつ的確な 診断、原因の究明を行っています。さらに、流通飼料の成分分析検査も行っており、家畜の健康維持、畜産物の安全性確保に努めています。ウイルス部門では、高（低）病原性鳥インフルエンザやアカバネ病等のウイルス性疾患について、ウイルス分離、抗原検査、抗体検査、遺伝子検査等を行っています。細菌部門では、炭疽、ヨーネ病等の細菌性疾患について、分離培養検査、ELISA法等による抗体検査及び遺伝子検査により診断を行っています。病理部門では、死亡した家畜の各臓器の標本を作製し、顕微鏡下で細胞等を観察することによって病気の原因を検索しています。生化学部門では、中毒や代謝病の検査のほか、症状が類似する伝染病との類症鑑別のため検査を行っています。飼料検査部門では、飼料製造業者及び販売業者から収去した飼料について、製造業者が保証する成分量が確保されているか、また、重金属やカビ毒の有害成分の混入が無いか確認するため分析検査を行っています。これらの総合的な検査により疾病を確定診断し、家畜伝染病発生時には迅速な防疫対応を実施するほか、発生予防のため適正な飼養管理、適切な薬剤の選択を指導しています。

（４）薬事指導

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に基づき動物用医薬品販売業の許認可事務のほか、流通している動物用医薬品の適正使用や品質管理のため、販売店や生産現場への立入検査を行っています。

（５）獣医事・獣医療関係

「獣医師法」「獣医療法」に基づき、獣医師への指導、飼育動物診療施設の届出や診療施設への立入検査を行っています。

（６）流通飼料対策

健康で安全な家畜・畜産物の生産体制を支援するため、流通飼料中に有害物質（カビ毒・重金属）が含まれないかどうか分析を行っています。

（７）飼料立入検査事業

飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律に基づき、配合飼料製造事業者や販売事業者への立入検査及び収去した飼料の成分分析検査を行っています。また、その結果は県報に掲載し、公表しています。

（８）死亡牛BSE検査関係

平成15年度に青森県畜産試験場（現青森県産業技術センター畜産研究所：野辺地町）敷地内に「牛の検査材料保冷施設」を整備し、平成16年4月から24か月齢以上を、平成27年4月から48か月齢以上を、平成31年4月から96か月齢以上の死亡牛を全頭検査しています。
令和6年4月からは、月齢に関係なく、BSE関連症状を示す牛及び特定症状を示す牛を対象としています。
（検査頭数：R5年度　254頭、R4年度　242頭、R3年度 268頭、全頭陰性）

（９）その他

青森市浅虫にある「青森県営浅虫水族館」の開館当初から、これまで40年間にわたり、イルカ、アザラシ等海獣類の健康診断、治療も行っています。