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臨時会見/アクティブ試験に係る安全協定締結表明について

会見日時:平成18年3月28日(火) 18:45 〜 19:50
会見場所:第三応接室
会見者 :三村知事

○知事
 私は、青森県知事就任以来、原子力はもとより、風力、太陽光、バイオマスなど、再生可能エネルギーの利用や、それらを活用した、マイクログリッドの実証研究、さらには研究会を立ち上げました、水素燃料電池分野への取組みなど、エネルギー分野全般に深く係わって参りましたが、この中でも、原子力には批判的なご意見がつきものであります。
 私は、県民の安全・安心第一という立場から、こうした意見に対しても、常に謙虚に耳を傾けて参りましたが、何故日本は、原子力を進めているのか等について、今一度ふり返って、この国の将来や、人類の将来を見据えた議論や、コンセンサスが必要なのではないかと感じております。私は20世紀はまさに、欲望の時代であったと思います。人間の欲しいままに資源やエネルギーが際限なく地球から搾取されてきた時代であります。その結果はどうであったでしょうか。地球は緑と水の惑星であり、大気、海洋と生物とが、40億年をかけて共に進化をして生み出されたものであり、微妙なバランスの上に成り立っております。しかし今や、そのバランスに影響を与えかねないほどの存在となっておりますのが、今日の人類であります。正月のNHKのテレビでも放送がございましたが、現に太平洋に目を転じてみただけでも母なる太平洋に抱かれた、ミクロネシアの国々からは、島が、国が消えかねないという悲痛な叫びが聞こえております。津波による影響、地球温暖化という、あるいは気象変動という世界レベルの危機が海水面を上昇させているのであります。私は、このうちの何センチかは、ひょっとすれば、私たち日本人の責任であるかもしれない、そのように恐れるものであります。
 そしてそれは、海水面の上昇だけではございません。二酸化炭素などの温室効果ガスの増加による、温度上昇というものは異常気象をもたらし、世界中の人間と食糧、更に全ての生物に大きな影響を及ぼします。そしてその影響が、顕在化してから対策を実施しても、その効果が現れるのは、数十年かかるだろうと言われております。だからこそ私たちは、ただ単に日本のエネルギーの安定供給だけではなく、それぞれの立場で今、地球的視野に立った行動を起こさなければならないものと考えております。それぞれの分野が、それぞれの立場で今なし得ることを行わなければならないと考えております。私は、私ども青森県が独自に進めるものとして、先程も申し上げました、再生可能エネルギーの利用、風力、太陽光、バイオマス等によるマイクログリッドの実証研究や、水素燃料電池分野の取組み等について、強い意志を持って今後とも継続していきたいと、そう考えております。
 こういった自身の思いというものを、この機会に申し上げた上で、お配りさせていただきました、要旨に入らさせていただきます。

 平成16年12月21日に開始した、六ケ所再処理施設のウラン試験については、本年1月22日、試験の最終段階である総合確認試験が終了したことから、日本原燃株式会社では、これらの結果等を取りまとめた「再処理施設ウラン試験報告書(その2)(総合確認試験)」を1月31日、原子力安全・保安院へ提出しました。

 2月14日、原子力安全・保安院薦田審議官から私に対し、ウラン試験結果及び同社が昨年12月22日に提出した、「再処理施設アクティブ試験計画書(使用済燃料による総合試験)」の確認結果について、

  • 再処理施設全体の閉じ込め機能等について使用前検査を行い確認したこと等により、ウラン試験は所期の目的を達成したものと考え、安全上、アクティブ試験への移行に支障はないものと判断する。
  • アクティブ試験計画については、試験運転段階の安全規制に関する核燃料サイクル安全小委員会報告に示された考え方を踏まえて確認した結果、臨界安全、閉じ込め、火災・爆発の防止等について、安全対策を講じることとしていることなどから、妥当との判断に至った。同社の品質保証体制については、原子力安全・保安院においても確実にフォローアップを行っていく。
  • 県及び六ケ所村の要請を踏まえ、今後とも、責任を持って同社に対し厳正な安全規制・指導を行うとともに、これらの状況について適時、県等に説明していく。

との報告がありました。

 また、同日、アクティブ試験に向けた準備状況について、日本原燃株式会社兒島社長から私に対し、

  • ウラン試験計画書で計画していた試験はすべて終了し、アクティブ試験の開始に必要な安全機能を含め、確認すべき事項はすべて確認した。
  • 国の指示に基づき、再処理工場等の設計等に関する点検を行い、この結果については、第18回再処理施設総点検に関する検討会において、「日本原燃株式会社の品質保証体制は、アクティブ試験に向けて実効性が期待できるものである。」との評価を得た。
  • 日本原子力技術協会によるレビュー結果として、「自主保安活動は着実に実施されており、またこれまでに行ってきた各種試験の経験により、さらに向上しつつある。」また、アクティブ試験への取組体制に関して、「準備が着実に進められている。」との評価を得た。
  • アクティブ試験の実施に必要な安全機能を確認でき、安全に係る体制が整ったことから、アクティブ試験に係る保安規定を国に申請する。
  • アクティブ試験時に発生が予想されるトラブル等の事例集を公表するとともに、県民の理解を得るため、県内4地区で住民説明会を開催する。

との報告があったところです。

 一方、原子力委員会が平成15年8月5日に決定した「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方について」において、電気事業者は、プルトニウムを分離する前にプルトニウム利用計画を公表することとされていることから、各電気事業者は、平成17年度と平成18年度に行われる六ケ所再処理工場のアクティブ試験で回収されるプルトニウムの利用計画を本年1月6日に公表したところです。
 その後、原子力委員会は、1月10日、計画を公表した各電気事業者及び同計画に関連する日本原燃株式会社からプルトニウム利用計画についてヒアリングを実施し、これを踏まえて、計画に示された利用目的の妥当性について確認を行い、1月24日の原子力委員会において妥当なものと判断しました。

 この確認結果については、1月26日に、内閣府戸谷参事官から私に対し、

  • 原子力委員会は、各電気事業者により明らかにされた平成17、18年度に回収するプルトニウムの利用目的は、1月10日の各電気事業者等の説明を踏まえると、現時点の状況を適切に示しており、我が国におけるプルトニウム利用の透明性の向上の観点から妥当なものと考える。
  • 原子力委員会は、今後とも、プルサーマル計画の進捗や六ケ所再処理工場の建設・運転操業等の状況を注視していくとともに、電気事業者には、次年度以降、取組みの進捗に応じて利用目的の内容をより詳細なものにしていくことを期待する。

旨の報告がありました。

 以上の経緯を踏まえ、県としては、アクティブ試験に係る安全協定の手続きに入る一定の諸条件が整ったことから、安全協定について、手続きの検討に着手し、2月16日、県及び六ケ所村は、アクティブ試験に係る安全協定書(素案)を公表しました。
 その後、2月17日、私及び六ケ所村長は、六ケ所再処理工場で回収されるプルトニウムの利用についての透明性の確保並びにプルサーマル計画の着実な実施が重要であるとの考えから、電気事業者各社の取組みについて、各社長から直接確認するとともに、原子力委員会近藤委員長に対し、今後とも、プルトニウム利用の透明性をより一層高めるため、電気事業者の対応を厳しく見極めていただきたい旨、また、資源エネルギー庁小平長官に対し、政府一体となってプルサーマルを含む核燃料サイクルの着実な推進に、一層取り組んでいただきたい旨を要請したところです。
 その際、電気事業者においては、東京電力株式会社勝俣社長から、「原子燃料サイクルの確立は当社としても至上命題であり、特に、六ケ所再処理工場で回収されるプルトニウムを着実、確実に利用する強い意思の下、プルサーマル実現に向け、全身全霊を傾ける。東京電力株式会社としては、国策を担う事業者の立場からもプルサーマル実現に全社を挙げて取り組む。」との発言があるなど、プルサーマル実施に向けて、各地点の状況及びそれに応じた取組みについて、各社長から決意の程の説明があり、更に、各電気事業者の総意として、電気事業連合会会長から、「電気事業者は、かねてより、2010年度までに、全国で16基から18基の原子力発電所でのプルサーマルの実現を目指して、不退転の決意で取り組むと表明し、各社とも経営の最重要課題として取り組んでいる。今後とも、各社社長が一致協力・連携しながら、青森県からの期待と信頼を裏切らないよう全力を傾注していくことを約束する。」など並々ならぬ決意の表明があったところです。
 また、近藤委員長からは、事業者がプルサーマル計画を着実に推進していくことと、次年度以降プルトニウム利用目的の内容を詳細なものにしていくことについて、改めて発言があり、小平長官からは、プルサーマル実現に向けて積極的に取り組み、プルサーマルを含めた核燃料サイクル政策を着実に進めていくとの発言がありました。
 また、2月20日、内閣府原子力安全委員会片山事務局長から私に対し、同日開催された原子力安全委員会において、原子力安全・保安院から2月13日に報告のあった「日本原燃株式会社六ケ所再処理事業所における再処理事業の指定後の段階における重要事項の審議についてのうち、使用済燃料を用いた総合試験の計画について」は、調査審議の結果、アクティブ試験の安全な実施はもとより、その後の安全な操業に備えて行うべき試験計画として妥当なものとする原子力安全・保安院の確認結果は適切と判断した旨、報告がありました。
 県では、これらを踏まえウラン試験結果やアクティブ試験計画及びプルトニウム利用計画、これらに対する国の確認結果並びにアクティブ試験に係る安全協定書(素案)等について、2月から3月にかけて、県議会議員、市町村長、青森県原子力政策懇話会に対し説明し、ご意見を伺ったほか、県内6地区で県民を対象とした説明会を開催しました。
 さらに、昭和59年当時、原子燃料サイクル施設を受け入れる際に、各界各層の意見聴取を行った経緯を踏まえ、県内の商工・農林水産等各種団体や学識経験者を含めた各界各層のご意見を私が直接伺う「六ケ所再処理工場アクティブ試験に関する意見聴取」を開催したところです。

(県議会の対応状況について)
 六ケ所再処理施設のアクティブ試験に係る安全協定書(素案)については、本年2月16日に開催した県議会議員説明会において県から説明をし、その後、2月22日に開催された県議会議員全員協議会及び県議会2月定例会において質疑・応答がなされたところです。
 これらの経緯を経て、県議会各会派等からは、3月20日に六ケ所再処理施設のアクティブ試験に係る安全協定書(素案)に関する意見について私に対し報告がなされました。
 各会派等からの意見の内容については、「自由民主党」会派からは、「アクティブ試験に係る安全協定書(素案)については、ウラン試験に係る安全協定を基本とし、『業務従事者の安全管理の強化』や『住民の信頼関係の確保』などが新たに盛り込まれる等、施設周辺住民の安全確保及び環境保全を図るうえで十分な内容となっており、この安全協定書素案をもって安全協定を締結することを了とする。知事は、この意見を踏まえ、安全確保を第一義に、アクティブ試験に係る安全協定締結を総合判断していただきたい。」旨、「公明・健政会」会派からは、「アクティブ試験に係る安全協定書(素案)については、信頼関係の確保などの強化がなされており、これを了とする。安全確保を大前提に、国策である原子燃料サイクル事業についての国の取組みを見極めていくことが重要であり、このことを十分踏まえ、安全協定締結を総合判断していただきたい。」旨、文書で私に対し報告があったところであり、また、「新政会」会派からは、「知事の判断を了とする。知事は自信を持って決意されたい。」旨、「真政クラブ」会派からは、「安全協定書(素案)を了とする。」旨の報告があったところです。
 一方、「社民・農県民連合」会派からは、「脱原発、再生可能な地域分散型エネルギーの実現を目指しているので、アクティブ試験には同意できない。」旨、「日本共産党青森県議団」会派からは、「アクティブ試験によって本県が取り返しのつかない環境におかれることは容認できないこと、また、今、アクティブ試験を行わなければならない必要性や論理的根拠が何もないことから、知事に対し、アクティブ試験及びその前提となる安全協定の締結をしないよう厳重に要求する。」旨、文書で報告がありました。
 無所属議員からは、「現時点では、判断できる材料、環境が十分でないことから、公開質問状を提出する。回答を受けた後に意見を報告する。」旨の報告があり、その後3月27日、「アクティブ試験は実質的本格操業であり、安全協定を締結する必要性も環境も全くない。」との報告がありました。

(市町村長の対応状況について)
 六ケ所再処理工場におけるアクティブ試験等に関して開催された2月24日の市町村長会議において、ご意見を伺ったところですが、安全協定書(素案)については特段の異議はなく、

  • もう一段高い国の安全規制が必要である。
  • 国等で万全を期しており、不安感がないと受け止めているが、慎重を期していただきたい。
  • 不幸にして風評被害が出た場合、事業者として被害の補償をする責務を果たさなくてはならないが、発生源を詳細に検証して、言われなき風評被害については、毅然とした態度で対応しなければならない。

などのご意見がありました。

(青森県原子力政策懇話会における検討状況について)
 青森県原子力政策懇話会においては、日本原燃株式会社の六ケ所再処理施設のアクティブ試験に係る安全協定書(素案)等について、2月17日の第13回懇話会で説明し、さらに同月24日の第14回懇話会で意見交換がなされ、

 安全協定書(素案)については、

  • 安全協定書(素案)は妥当なものと考える。特に、「事業者は、住民との情報共有、意見交換等により相互理解の形成を図り、信頼関係の確保に努める。」の記述が入ったことの意味は大きく、今後この精神があらゆるところで活かされることを願っている。
  • 安全協定書(素案)において、放出量の実績を事業者に月毎に求めていることは、多くの県民が関心を持つ放射性物質の環境影響を的確に把握し管理できると評価する。
  • 協定を守るためには「何をすべきか」について各関係者が検討・議論した内容を明示することが大切である。
  • 安全協定書(素案)の中に、国の責任関与を明確にした文言を入れるべきである。

などのご意見がありました。

 また、六ケ所再処理施設のアクティブ試験については、

  • 国の厳正な審査を経たものであり、核燃料サイクルの研究や教育に携わる者としても、安全上問題ないものと判断する。
  • これまでの事業者の説明や資料等から、安全性が確保されるのであればアクティブ試験は、実施してもよいと思う。
  • アクティブ試験は未経験分野への挑戦ということを再認識し、一層の安全性確保に留意し、本県と我が国の将来に光をともす事業という高い志で取り組まれたい。
  • 放射性物質が拡散・希釈されたとしても将来的に直ちに消えるわけではなく、蓄積・濃縮されたときは環境に影響を与える懸念が残る。
  • 放射性物質の海洋放出にあたっては、「青森県の海は汚い海だ」、「青森県の産物は食べられない」というようなことにならないように、二重、三重のチェック体制を敷いて安全性を確立していただきたい。
  • アクティブ試験では、ある程度のトラブルが発生する可能性があり、トラブル事例集に記載されていないトラブルにも適切に対応できるよう日ごろの訓練、準備が必要である。
  • ウラン試験段階までの試験により、運転員の技術力も高まっているものと考える。これらの段階で得られた情報を今後の運転保守に活かすべく、体系的に整理、活用していくことが重要である。
  • 重要操作のダブルチェックにおいて、人間はミスを犯したり手抜きをすることを前提とすれば、チェック機能を第三者に委ねなければ正常に機能しないことが懸念される。
  • 放射性物質の安全性についての説明においては、相手の立場となって説明できる人でなくてはならないので、事業者および県においては、専門家を抱えもつことが望まれる。
  • アクティブ試験は、環境に微量の放射性物質が放出されることから、放射性物質の放出に関する事項は的確に県民に情報公開し、正しい理解が得られるよう取り組んでいただきたい。
  • アクティブ試験中の放射線等の管理と安全性に不安があると、風評被害も予想されるので、環境モニタリングの結果評価は厳密に行っていただきたい。

などのご意見がありました。

 その他のご意見としては、

  • マニュアルは、その行間を読むことが大事であり、一人一人が自分の仕事に習熟し、誠実に正確に遂行するならば、トラブルを起こすこともなく、県民に安心していただける、そういう信頼関係を時間をかけて築いていただきたい。
  • どんなに立派なマニュアルがあったとしても、現場に徹底していなければ意味はなく、すべての安全は第一線で働く人たちの教育から始まる。
  • プルトニウム利用について、もっと確実な保証がほしい。
  • 国においては、高レベル放射性廃棄物の最終処分地について早急に対応してほしい。

などのご意見がありました。

(アクティブ試験等に関する県民説明会における質疑等状況について)
 本年2月25日から27日にかけて及び3月9日に県内6地区において県民を対象として開催した説明会には、合わせて約1,000人の方が参加し、参加者から多数のご質問・ご意見が出されました。

 質問としては、

  • 安全協定書(素案)の中では、年間の管理目標値だけで濃度規制値を示していない。ウラン濃縮工場では濃度規制で管理をしており、再処理工場はなぜ濃度規制による管理はできないのか。
  • 安全協定書(素案)第3条で、事業者に対し、「住民との情報共有、意見交換等により相互理解の形成を図り、信頼回復の確保に努める。」とあるが、県は、今までの事業者の進め方を実感してのことなのか。
  • 安全協定に国も当事者の一人として入るべきと思うが、どう考えるか。
  • なぜ、そんなに急ぐのか。急ぐことの具体的なメリットはあるのか。
  • イギリス、フランスの再処理工場の近くに小児ガンや白血病が多いのは放射性物質の放出による影響ではないのか。

などの質問があり、

 また、ご意見としては、

  • 使用済燃料を再処理することで我が国のエネルギーを確保し、二酸化炭素を抑制することで、地球の自然環境をこれ以上悪化させないことが非常に大切だと思っている。
  • エネルギーの自給率は大変重要であることから、今不自由なく使っている電気を孫子の時代まで使えるようぜひ再処理工場を安全第一に順調に進めていただきたい。
  • 日本原燃株式会社と共存共栄を選んだ県民の思いを受け止め、安全第一で着実に事業を進めてほしい。
  • 安全協定書(素案)の放射性物質の放出量の管理目標値は、事業指定申請書に記載された年間800トン再処理の推定放出量となっており、アクティブ試験時の再処理量に合わせて下げるべきである。
  • 日本原燃株式会社の説明が、岩手県、特に沿岸漁業関係者にきちんとなされた後に、アクティブ試験の安全協定締結の判断をしていただきたい。
  • 事故が起こった時に、日本原燃株式会社からの情報がいち早く県に知らされることが大事であり、県はその状況を判断して、的確な指示を出さなければならない。
  • 風評被害の防止のためには、事業者が何よりも安全に事業を進め、正しい情報を速やかに公開し誠意を持って対処してほしい。
  • 県民投票を実施し、安全協定締結の是非を判断すべきである。
  • 放射性物質の自然界への放出が長期間続いた場合の蓄積によって、自然界の生物に悪影響を与えることは絶対ないのか。希釈するだけで安全だと決めつけて操業することは、県民、国民を愚弄することである。
  • 高レベル放射性廃棄物の最終処分地について、全国公募している概要調査地区の選定が平成10年代後半になっているが、具体的に進んでいない中、再処理工場の操業が始まれば、そのまま永久貯蔵されることになりかねない懸念を持っている。

などのご意見がありました。

 そのほか、プルサーマル計画や防災対策などに関するご質問・ご意見が出されました。

(六ケ所再処理工場アクティブ試験に関する意見聴取における発言状況について)
 六ケ所再処理工場のアクティブ試験について、私が直接県内各界各層から意見を聴取するため、本年3月4日に青森市において開催した「六ケ所再処理工場アクティブ試験に関する意見聴取」では、県内の農林水産商工等各種団体10団体10名、反核燃団体7団体8名及び学識経験者6名の計24名からご意見を伺ったところですが、その主なご意見としては、

 各種団体からは、

  • 日本の原子力は、平和利用・民政安定に利用されており、核燃料サイクル事業の順調な進展は、福祉の充実、豊かな生活水準の維持に繋がるとの考えから安全を第一義に事業を進めてほしい。
  • 日本のエネルギーを確保する核燃料サイクルの重要な施設である六ケ所再処理工場は、国民の生活を支えるエネルギー資源の安定的な確保と地球温暖化対策など、我が国が果たすべき国際的な責任に応える施設である。
  • 本県農業の持続的かつ安定的な発展、食の安心・安全確保の観点から、最後の試験となるアクティブ試験は、再処理工場の揺るぎない安全性を確保して進めるよう強く要望する。
  • 本県は食料自給率120%の食料供給県であり、アクティブ試験が農産物の販売にマイナスになることが予想されることから、県外に農産物の安全性をPRしてほしい。
  • 核燃料サイクル事業は、日本のエネルギーの根幹に関わる大事な事業であり、進めるべき事業と認識しているが、我々漁業関係者、県民、国民にアクティブ試験が安心・安全な試験であることを示してほしい。
  • 住民の多くは知識が不十分で、わかりやすい広報活動が必要である。
  • 安全管理は、特定の人間が管理業務に従事するのではなく、第三者による監視が随時行われる体制を採ることで、不安全要素が徹底的に排除される。
  • 日本原燃株式会社の良識は理解できるが、末端の一人一人、一つ一つが最も大切であることを徹底させ、県民の信頼回復に努めていただきたい。
  • 技術的なトラブルが起こった場合の社内体制など、考えられるすべての要件を満たしているとすれば、安全協定を締結してきちんと進めるべきと考える。

 反核燃団体からは、

  • 六ケ所再処理工場の操業開始は、負の遺産を青森県の子どもたちに押しつけ、子どもたちと青森県の未来を脅かすほか、青森県の安全・安心イメージを悪化させることから、実質的な稼働となるアクティブ試験は行うべきではない。
  • いくつかの原子力発電所でプルサーマル実施への動きはあるが、40トンを超えるプルトニウムを保有する現在、六ケ所再処理工場を稼働させる緊急性がない。
  • 六ケ所再処理工場から出る放射能は、連鎖と蓄積を繰り返して私たちの農地をむしばみ、環境保全型農業の確立に努力する農業者のこれまでの努力は水の泡になる確率が高くなる。
  • 放射性物質の特徴は、食物連鎖で数千倍、数万倍にも濃縮されることから、六ケ所再処理工場は私たちから安全や安心を奪う何ものでもなく、大間のマグロ、日本一のリンゴ、米、野菜などの風評被害が発生したら、事態は深刻である。
  • 高レベル放射性廃棄物最終処分場が決定していない中で、アクティブ試験を行うことは、六ケ所村に高レベル放射性廃棄物が膨大に貯蔵されることであり、アクティブ試験の断念を強く求める。
  • 六ケ所再処理工場は、クリプトン85やトリチウムを大量に環境へ放出するが、その量が許容量だから良いという考え方は捨て、除去の努力をしていただきたい。

 学識経験者からは、

  • 六ケ所再処理工場の稼働は、資源弱小国の我が国にエネルギー資源をもたらし、エネルギー供給の安定化に繋がるとともに、核燃料サイクルは、地球温暖化防止などグローバルな観点からもしっかりと機能させていただきたい。
  • 六ケ所再処理工場は、機器の機能や安全性が段階的に確認され、トラブル等についても安全に対処する体制が整備されていることから、青森県の経済活性化、雇用促進の観点からも操業に不可欠なアクティブ試験の早期開始を強く望む。
  • もんじゅのナトリウム漏れ、東海村での臨界事故など大きな事故により県民、住民の原子力に対する不安が消えていないこと、MOX燃料の需要が今のところほとんどないことなどから、アクティブ試験実施の延期を提案する。
  • 原子力技術はかなり高度な技術であるが、完璧ではないし、それを使う人間も能力の限界を持っているわけだから、トラブル等はあり得るということを前提に事業者も行政も対応を考えるべきである。
  • 事業者と県は、環境モニタリングを行い情報公開もしているが、様々なレベルの方にわかりやすくかつ安全が安心に変わるような情報公開の仕方を工夫していただきたい。
  • 日本原燃株式会社は、社員自らマニュアルの間違いに気づくような教育を社員にしていただきたい。
  • 原子力に限らず企業が起こす不祥事、トラブルは倫理観の欠如、気の緩みを起因とするものが多い。企業倫理を保持する方策・教育を継続し、常に緊張感をもっていただきたい。

などのご意見がありました。

 以上のような状況を総合的に勘案し、3月22日、原子力施設安全検証室から私に対して、以下の4点について報告がありました。

(アクティブ試験実施に係るより一層の安全性の確保について)
 日本原燃株式会社は、プール水漏えい等の問題が発生したことにより品質保証体制の見直しを行い、これまで、第三者外部監査機関であるロイド・レジスター・ジャパンによる年2回の定期監査を受けながら品質保証活動の実効性の確保と質的向上を目指して、継続的な改善に取り組んできているところである。
 同社の品質保証体制については、本年1月25日、ウラン試験に係る安全協定に基づき県に対し報告のあった平成17年度第2回第三者定期監査結果において、「改善策の一環として導入された諸制度が定着段階に入り、良好な品質システムが構築されつつある」と評価されており、また、同月26日に開催された第 18回六ケ所再処理施設総点検に関する検討会において、「アクティブ試験に向け実効性が期待できる」との結論がなされたところである。
 さらに、2月9日に、県に対し、客観性をもった第三者的立場の法人である日本原子力技術協会の石川理事長から、「日本原燃株式会社再処理事業所について、『安全確保に対する自主保安活動の実施状況』に着目し、レビューを行い、その結果、『安全確保に対する自主保安活動は着実に実施されており、先行試験の経験により更に向上しつつある』と評価した」ことの報告があったところである。
 また、アクティブ試験計画については、本年2月14日に原子力安全・保安院からアクティブ試験計画書については妥当と判断した旨、同月20日には、原子力安全委員会からアクティブ試験の安全な実施はもとより、その後の安全な操業に備えて行うべき試験計画として妥当なものとする原子力安全・保安院の確認結果は妥当であり、アクティブ試験のために必要な準備は整っているものと判断した旨の国の確認結果について、それぞれ県に対し報告があったところである。
 このように、日本原燃株式会社の品質保証体制やアクティブ試験の安全性については、一定の評価・確認がなされたところである。

 しかしながら、アクティブ試験は、実際に使用済燃料を用いることによって、新たにプルトニウムや核分裂生成物を取扱うこと、新たな放射性物質の放出や放出量が増大することから、県議会議員全員協議会、青森県原子力政策懇話会等のご意見を伺う場や県民説明会において六ケ所再処理施設の安全性等について不安・懸念の質問・意見が多く出されたところである。
 これらに鑑み、県として、県民の安全、安心に重点を置いた対応をする観点から、

  • 知事から日本原燃株式会社社長に対し、マニュアルの遵守はもちろんのこと、マニュアルに頼ることのない一人一人の技術の習熟や誠実かつ正確な業務の遂行が図られるような教育・訓練の徹底、六ケ所再処理工場における協力会社を含めた組織・勤務体系を横断する全社的な安全文化の醸成及び品質保証体制の更なる向上を図るよう求めるべきである。
  • 県に対する原子力安全・保安院のアクティブ試験計画等の確認結果報告の際、同院薦田審議官から、「日本原燃株式会社の品質保証体制については、原子力安全・保安院においても確実にフォローアップを行っていく。今後とも、責任を持って同社に対し厳正な安全規制・指導を行うとともに、これらの状況について適時、県等に説明していく。」との言明があったところであるが、このことについて、改めて国に確認すべきである。
  • 環境への放出放射能量等の基本的な安全性の評価については、県民の関心も高く、また、安全確保の観点からみたホールドポイントの重要性に鑑み、知事から日本原燃株式会社社長に対し、ホールドポイントにおける評価結果を、国への報告時に併せて県に対し報告するよう求めるとともに、国に対し、同社のホールドポイントにおける評価結果について、国が厳正な確認を行い、その結果を県に報告するよう求めるべきである。

(高レベル放射性廃棄物の最終処分地の早期選定に向けた国等の取組強化について)
 県として、六ケ所再処理施設が最終処分場になるのではとの県民の不安・懸念に応えるべく、県民の安心に重点を置いた対応の観点から、知事から国に対し、核燃料サイクル協議会の開催を要請し、改めて、最終処分地の早期選定に向けて、国の責任において政府一体としてより一層の取組強化を図るよう強く要請すべきである。また、知事から電気事業者に対し、最終処分地の選定は、自らの事業の円滑化にとって不可欠で、喫緊の問題として強く認識し、早期選定に向けて、国民への広範な理解活動に積極的に取り組むよう強く求めるべきである。

(プルサーマルの実現に向けた国の取組強化について)
 県として、各電気事業者において、今後ともプルサーマルへの取組みを着実に進めるとともに、六ケ所再処理施設が稼働していくためには、原子力発電所において確実にプルサーマルが実現されていくことが最も重要であると認識しており、県民の安心に重点を置いた対応の観点から、核燃料サイクル協議会において、知事から国に対し、改めて、プルサーマルの実現に向けた、政府一体としての更なる取組強化を図るよう強く要請すべきである。

(六ケ所再処理施設の安全性等に関する県民、国民理解促進のための広聴・広報活動の充実・強化について)
 県として、県民の安心に重点を置いた対応の観点から、県民の六ケ所再処理施設の安全性等に対する不安・懸念を払拭するため、知事から、国及び日本原燃株式会社社長に対し、今、県民が知りたい情報は何か、どんな事に不安を持っているのかなどを広聴活動等の中で十分把握し、それにより得られた意見等を踏まえて、創意工夫のもと真に実効ある広報活動を行うよう強く求めるべきである。また、国、日本原燃株式会社及び電気事業者に対し、今後、国策である核燃料サイクル政策を円滑に進めるためには県民、国民の理解と信頼が不可欠であり、特に、「攻めの農林水産業」を進めている本県にとって、言われなき風評を招かないことが大事であることから、日本原燃株式会社及び電気事業者はもちろんのこと、より一層国が前面に立ち、首都圏等農林水産物の大消費地や近隣県等全国各地で、誤解や不安・憶測を招かないよう、核燃料サイクルの必要性や放射線を含む再処理施設の安全性等に関する国民理解を促進するための広聴・広報活動を行うよう強く求めるべきである。

 これらいただいたご意見や報告を踏まえ、3月23日、私から日本原燃株式会社兒島社長に対し、

  • マニュアルに頼ることのない教育・訓練の徹底、協力会社を含めた全社的な安全文化の醸成及び品質保証体制の更なる向上について
  • ホールドポイントにおける評価結果の県等への報告について
  • 核燃料サイクルの必要性や放射線の安全性等に関する県民の理解促進のための広聴・広報事業の一層の充実・強化について
  • 地域振興の一層の推進について

の4項目に係る要請をしたところ、

 兒島社長からは、

  • アクティブ試験における運転操作は、より一層、迅速かつ的確な対応が必要であり、高度なレベルに入ってくることから、マニュアルどおりに運転することはもちろん、その背景や目的についても理解できる、いわゆるマニュアルの行間を読めるまで社員一人一人の習熟度を上げて行かなければならないと認識しており、引き続き、社員一人一人に対して、これらの教育・訓練を徹底していく。
     アクティブ試験は、放射能レベルの低いものから少量ずつ、安全を確認しながら進めていくこととしており、この一歩一歩進めていく過程の中で、現場の社員一人一人に蓄積されたノウハウを整理・体系化し、データベース化していくことが当社の財産・社風となり、安全文化の源となるものと確信している。また、協力会社とは、同じ志をもつ仲間として、品質保証マネジメント会議や合同パトロール等を通じ、機会あるごとに確認し合い、共有していく。
     このような活動の定着化に向けて、引き続き、ロイド・レジスター・ジャパンの監査を受けていくとともに、日本原子力技術協会のレビューの指摘を踏まえ、自主保安活動の一層の充実に取り組んでいく。
     このような活動を展開しながら教育・訓練を徹底し、品質保証体制の更なる向上に努め、全社的・横断的な安全文化の醸成に向けて、全力をあげて取り組んでいくことを約束する。
  • ホールドポイントの評価結果を国に報告する際には、県及び六ケ所村に対しても報告することを約束する。
  • 安全協定書(素案)の第3条において「住民との情報共有、意見交換等により相互理解の形成を図り、信頼関係の確保に努める。」旨が追加されているが、これは改めて広聴・広報活動の重要性が強く求められているものと認識しており、広聴・広報活動をさらにもう一段、二段深く掘り下げ、県民の心にある不安や懸念を敏感に察し、感じ取り、よりきめ細かな広報ができるよう丁寧な活動を実施していく。特に、環境放射線の実態について、誤解や憶測を招かないよう、国、電気事業連合会等とも連携を取りながら、生産者や消費者に対し、正確でわかりやすい情報提供に努めていく。また、今後、環境モニタリング等のデータをホームページ上でリアルタイムで知らせるとともに、放射線の理解活動を専門的に行うための体制を充実・強化していく。
     このような活動は、これから地域と末永く共生していくうえで大変重要な課題であり、経営層としても積極的に対応し、原子燃料サイクルの必要性と放射線に関する県民、国民の理解促進に向けて、全力をあげて取り組んでいくことを約束する。
  • 県及び六ケ所村のメンテナンス関係の協議会等と連携を取りながら、プラントメーカー等と地元企業が、メンテナンス業務について、情報交換ができるような機会を作っていく。また、メンテナンス業務にはどのようなものがあるのか、工場や部品保管庫等に案内し、地元企業自らの目で確かめてもらえるような機会を作っていく。併せて、メンテナンス業務に対応するための技術レベルや品質レベルに関する情報を提供していくとともに、これらの技術を身につけるための研修機会も増やしていく。
     地元企業と一緒になって、安全で安心な再処理工場の運転を継続していくことにより、地場産業として定着し、地域の振興に寄与できるよう取り組むことを約束する。

 以上のように、4つの要請事項について、真摯に取り組んでいくことを約束するとの回答がありました。

 また、3月27日、第9回核燃料サイクル協議会が開催され、私から国等に対し、

  • 核燃料サイクル政策について
  • 高レベル放射性廃棄物の最終処分について
  • 原子力施設の安全性の確保について
  • 広聴・広報事業の強化について
  • 地域振興策について

の5項目に係る確認及び要請を行いました。

 まず、1点目の「核燃料サイクル政策について」は、

  • 政府一体としての核燃料サイクルの推進について
  • プルサーマルの推進について
  • 核燃料サイクルの確立に向けた研究開発への取組強化について

の3項目について確認要請をしたところ、

 「政府一体としての核燃料サイクルの推進について」は、安倍内閣官房長官から、「プルサーマルを含む核燃料サイクルの国内における確立は、我が国原子力政策の基本であり、安全確保を前提に、国民、住民の理解と協力を得ながら、政府一体となって推進していくという方針は、現内閣においても変わりがない。」との発言があり、二階経済産業大臣から、「プルサーマルを含む核燃料サイクルの国内における確立は、我が国原子力政策の基本であり、安全確保を大前提に、地域振興にも留意し、国民、住民の理解と協力を得ながら、政府一体となって着実に推進していく。」との発言がありました。また、近藤原子力委員会委員長から、「昨年10月に閣議で決定された『原子力政策大綱』において、回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用することを基本的方針とするとしている。」との発言があり、さらに、勝俣電気事業連合会会長から、「電気事業者としても、今後とも、国のエネルギー政策に沿って、安全と品質の確保を最優先に、六ケ所村をはじめ青森県民の理解と協力を得ながら、業界一丸となって推進していく。」との発言がありました。
 「プルサーマルの推進について」は、二階大臣から、「プルサーマルの着実な実施は、極めて重要であり、今後とも、プルサーマルの必要性や安全性について多くの方々に理解いただけるよう、政府一体として取り組んでいく。」との発言があり、近藤委員長から、「国と事業者は、安全確保を大前提として、立地地域をはじめとする国民の理解を得つつ、プルサーマルを着実に推進していくべきと考えている。また、プルトニウム利用の透明性を高く維持することが重要であり、電気事業者のプルトニウム利用計画の公表を含む対応を注視していく。」との発言がありました。また、勝俣会長から、「各社が一致協力・連携しながら、青森県民の期待と信頼に応えるよう全力を傾注していく。また、プルトニウム利用計画については、透明性を確保する観点から、プルサーマル計画の進捗にしたがって、順次内容をより詳細なものとしていく。」との発言がありました。
 「核燃料サイクルの確立に向けた研究開発への取組強化について」は、松田科学技術政策担当大臣から、「次世代の再処理技術を含む核燃料サイクルに関する研究開発について、原子力政策大綱の方針に沿って行われるよう取り組んでいく。」との発言があり、小坂文部科学大臣から、「高速増殖炉、再処理等の核燃料サイクルに関する研究開発を積極的に推進していく。次世代再処理技術については、日本原子力研究開発機構において行われている高速増殖炉の使用済燃料再処理技術の研究開発成果が、将来の第二再処理工場に係る検討を円滑に進めるに当たっても有効に活用できるものと考えている。」との発言がありました。また、二階大臣から、「現在、審議会において、高速増殖炉を本格的に活用する核燃料サイクルの実現について検討しており、その結果も踏まえ、政府一体となって、次世代の再処理技術の研究開発に取り組んでいく。」との発言がありました。

 2点目の「高レベル放射性廃棄物の最終処分について」は、

  • 高レベル放射性廃棄物の最終処分に係る国との約束について
  • 概要調査地区の選定に向けた政府一体としての一層の取組強化について

の2項目について確認要請をしたところ、

 「高レベル放射性廃棄物の最終処分に係る国との約束について」は、安倍長官から、「これまで政府、関係閣僚と青森県知事との間でなされた約束事については、現内閣においても、しっかりと継承していく。」との発言があり、二階大臣から、「これまで国と青森県知事との間でなされた約束事については、変更はない。国は、平成12年に『特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律』を制定し、関係者と一体となって最終処分事業を推進している。」との発言がありました。

 「概要調査地区の選定に向けた政府一体としての一層の取組強化について」は、松田大臣から、「概要調査地区の選定に向け、原子力政策大綱の方針に沿って、全国の地域社会及び国民各層の理解と協力を得るべく取り組んでいくことが重要と考える。」との発言があり、二階大臣から、「最終処分地については、まだ具体的な応募はないが、関心を有する地域から様々な問合せを受けており、国として、概要調査地区の早期選定に向け、原子力発電環境整備機構や電力会社等と一体となって、最大限の取組みを行っていく。」との発言がありました。

 3点目の「原子力施設の安全性の確保について」は、

  • 原子力産業における品質保証体制と従業者のモラル及び技術レベルの維持・向上について
  • 原子力施設の安全規制について

の2項目について確認要請をしたところ、

 「原子力産業における品質保証体制と従業者のモラル及び技術レべルの維持・向上について」は、松田大臣から、「日本原燃株式会社の品質保証体制の確立が安全確保のために重要であると認識しており、経済産業省が日本原燃株式会社に対し行っている規制活動について、この観点も踏まえ原子力安全委員会がチェックしている。」との発言があり、二階大臣から、「事業者は法令により、品質保証に基づいた保安活動を実施することが義務付けられており、国は検査によりこれを確認してきている。六ケ所再処理施設については、専門家による検討会を設け、品質保証の状況を点検している。また、日本原燃株式会社及び協力会社の従業者が一丸となり、高いモラルと技術レベルが維持されることが重要であり、国としても、教育訓練等の充実について事業者を指導していく。」との発言がありました。また、勝俣会長から、「品質保証体制の確立については、トップが先頭に立ち、現場の一人一人まで実践していくことが重要であるが、併せて、第三者によるチェックも重要であり、日本原子力技術協会などの評価を受けながら、日々改善・向上に努めていく。」との発言がありました。
 「原子力施設の安全規制について」は、安倍長官から、「より質の高い安全規制に基づく安全の実績を地道に積み重ねていくことにより、その結果が、国民の信頼につながるものと認識している。」との発言があり、松田大臣からは、「規制行政庁による規制活動を原子力安全委員会が監視・監査する体制を有効に機能させることが肝要である。」との発言がありました。また、二階大臣から、「経済産業省原子力安全・保安院が安全規制を実施し、それを原子力安全委員会が客観的、中立的な立場から厳しく監視しているという体制の下で、原子力安全規制を厳格に実施している。その状況を地元をはじめ国民に十分に説明し、理解を深めていただくよう努めていく。」との発言がありました。

 4点目の「広聴・広報事業の強化について」は、

  • 核燃料サイクルの必要性と放射線の安全性等に関する広聴・広報事業の一層の充実・強化について

確認要請をしたところ、
 松田大臣から、「原子力政策大綱を踏まえ、政府全体として、広聴・広報活動の充実による国民との相互理解、電力の供給地と消費地の人々との相互理解等の促進を中心として引き続き広聴・広報活動に取り組んでいく。」との発言があり、小坂大臣から、「電気の消費地も含む全国の地方自治体を対象としたエネルギーや原子力に関する教育の取組みへの支援を強化し、核燃料サイクルの必要性や放射線の安全性等に対する国民の理解増進を図っており、今後とも、立地県をはじめとした国民の理解と信頼を得られるよう広聴・広報事業の充実・強化に取り組んでいく。」との発言がありました。また、二階大臣から、「核燃料サイクルの必要性や放射性物質の安全性等について、大消費地や青森県の隣接県等を含む国民の理解が一層促進されるよう、政府として、広聴・広報活動に積極的に取り組んでいく。」との発言があり、近藤委員長から、「私自身、全国の立地県、立地市町村を訪問し、原子力政策大綱を説明し、対話を重ねてきており、今後とも、国、事業者が、立地自治体はもとより、近隣県等を含む国民を対象とした広聴・広報活動を充実していくことが重要と考えている。」との発言がありました。さらに、勝俣会長から、「青森県内はもとより全国各地の皆様に向けて、様々な機会をとらえてわかりやすい正確な情報の提供に努めている。また、直接、住民との対話を行うなど、広聴活動も行っているが、今後ともさらなる広聴・広報活動に努めていく。」との発言がありました。

 5点目の「地域振興策について」は、「原子燃料サイクル事業については、安全確保を第一義に、地域振興に十分寄与することを前提として、立地協力要請を受諾したものであることを踏まえ、六ケ所村のみならず、全県的な地域振興に寄与するよう、今後とも最大限努めていただきたい。」旨、要請をしたところ、

 勝俣会長から、「地域振興については、青森県内での企業立地に協力するとともに、財団法人むつ小川原地域・産業振興財団を通じた地域振興事業などを支援している。また、地元企業への発注なども行っているが、今後ともでき得る限り協力していく。」との発言がありました。

 私としては、核燃料サイクル協議会における安倍内閣官房長官をはじめとする関係閣僚、また、原子力委員会委員長及び電気事業連合会会長からの誠意ある回答については、私に対してというよりも、むしろ、青森県民全体に対してお約束いただいたものと理解し、その発言内容を重く受け止めたところであります。

 次に、2月14日付けで日本原燃株式会社が、国(原子力安全・保安院)に申請(3月23日付けで一部補正申請)していたアクティブ試験に係る保安規定については、3月27日、原子力安全・保安院薦田審議官から私に対し、

  • 日本原燃株式会社から申請のあったアクティブ試験の実施のために必要となる保安規定については、アクティブ試験計画で示された基本的な考え方、方針との整合性がとられていることを確認し、同日、認可を行った。
  • 今後の対応として、原子力安全・保安院としては、保安規定の遵守状況について厳しく法定の検査を行い、品質保証に関しては、「六ケ所再処理施設総点検に関する検討会」にも諮り確認をしていく。

旨、報告がありました。

 報告後、私から、法令に基づいて一元的に安全規制を行っている国において、今後とも品質保証活動も含め、責任をもって厳しく事業者の規制・指導をすること、また、ホールドポイントにおける評価結果を含め節目節目に県等に説明するよう要請したところ、薦田審議官からは、「ホールドポイントにおける評価については、極めて重要視しており、厳しくチェックして、結果を報告にあがりたい。」などの回答がありました。
 さらに、本日、六ケ所村長に対し、安全協定の締結についてご意向を確認したところ、村長からは、六ケ所村議会議員全員協議会、住民説明会、庁議などを開催して総合判断した結果、安全協定の締結は了とする旨の発言がありました。

原子力は、国のエネルギー政策上重要な位置付けにあるものですが、その推進に当たり、安全確保が大前提であることは言うまでもありません。
 原子力施設に関する安全を確保するためには、第一義的には事業者が責任をもって取り組むとともに、法令に基づいて一元的に安全規制を行っている国がその役割を果たしていくことが基本であり、国及び事業者においては、一層の責任と使命感を持って安全確保の徹底を図るとともに、国民の理解を得るために説明責任を果たしていくべきであると考えています。
 一方、県としては、県民の安全と安心を確保するという立場から、これまでも原子力施設について、立地村とともに事業者と安全協定を締結して、環境の監視や施設への立入調査を実施するなど、安全確保を第一義に取り組んできているところであり、今後ともこの姿勢を堅持し、県民の安全と安心に重点を置いた対応をすべく、安全確保を第一義に慎重かつ総合的に対処して参ります。

 現在、経済活動が進展する一方で地球温暖化により危機を迎えていると言われています。また、経済発展が目覚ましい国々によるエネルギー需要の増加などにより、化石燃料のみならず、ウランの供給不足すら懸念されているところです。
このように地球温暖化とウランを含めたエネルギー資源供給不足の懸念がある中で、我が国は、核燃料サイクル政策を基本方針としております。私は、六ケ所再処理工場が、エネルギーセキュリティーの観点並びに地球温暖化の防止など、我が国のエネルギー政策に大きく貢献するものと考えております。

 このような観点から、県としては慎重の上にも慎重に手順を踏んで参り、三役・関係部長会議を開催して協議した結果、

  • 関係各位からいただいたご意見等を総括すると、先に公表した安全協定書(素案)、細則(素案)をもって安全協定を締結することについて、大筋として了とする方向にあること

などについて確認するとともに、核燃料サイクル協議会における国等からの回答、原子力施設安全検証室からの報告、日本原燃株式会社社長に対する確認結果、六ケ所村長の意向等を勘案すると、安全協定を締結することは適当との意見の一致をみたところです。

 私としては、これまでいただいたご意見や確認結果等を踏まえながら、手堅く、慎重の上にも慎重を期して参りましたが、これらを踏まえ総合判断した結果、安全協定を締結することは適当との判断に至り、安全協定書案、細則案について、日本原燃株式会社に提示し協定締結を申し入れることといたしました。また、アクティブ試験に係る安全協定書案、細則案においてより強化した部分等について、ウラン濃縮工場、低レベル放射性廃棄物埋設センター、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターに係る安全協定書、細則にも盛り込むため、これらの安全協定書、細則の一部を変更する覚書案の締結を併せて申し入れることとしております。
 なお、この後20時30分から六ケ所村長とともに日本原燃株式会社に対して申し入れを行います。

 以上であります。

○記者
 今後のスケジュールについてお聞かせ下さい。

○知事
 今日この後、先ほどお話ししたとおり、事業者に協定書案等を提示して、協定締結を申し入れることとしております。そういう状況でございます。事業者において異存がなければ締結したい。今日ということではありませんけれども、要するに我が方としては、先様からそういうお話がございましたので、提示するのであれば今日、この後ということでありましたので、提示しますという段階です。いまのところは。

○記者
 知事に昨日東京でも伺いましたが、今日は昨日の質問をさせていただきたいと思います。ようやく判断に至ったわけですけれども、とても重い判断であったと思います。改めてその重さというかですね、一番知事がお悩みになった点ですとか、そういう部分についてお聞かせいただけないでしょうか。

○知事
 それは判断材料という意味ですか。

○記者
 率直な、どちらかといえばお気持ちという部分で、やはり国内で初めてのこういった商業型の再処理工場ですし、前例がない施設でもありますので、それをこう、同意をされたというか、その思いをお聞かせいただければと思います。

○知事
 思いとなると非常に長くなるんだけどいいですか。冒頭でもお話し申し上げたわけですが、私どもはいま県として、県民が独自にできる問題として、例えば再生エネルギー関連のことをやっております。あるいは、今月の31日ご存知のとおりエスコ事業、要するにコジェネの事等もかなり本格的にスタートしますし、エスコ事業については職員からの提案もあり、要するに省エネ分野というんですか、我々非常に重要なことは我々として先ほど申し上げた思いがあるものですから、いかにしてその環境負荷を抑えられるかということをいろいろやっています。しかしながらその中においても、化石燃料というものの課題が大きくのしかかっています。この化石燃料というものを我々は日本とか、いわゆる先進的な国がそれぞれの国の発展のために消費してきたわけですけれども、これを使うということについては非常に地球的リスクがあるということを私は考えています。ですから、こういった化石燃料等をいかに使わない仕組みを作っていくかということは、非常に自分にとっては大きな課題であるからこそ、自分の分野でできることとしての、再生可能なエネルギーの分野であるとか、省エネの分野でやるということを、ご存じのとおりこの3年間、知事就任以来徹底して伸ばして参りました。それは、自分にとりましては従って、この国ということではありませんが、世界のためにもそういう分散型の電源のパッケージシステムを作るとか、あるいは、省エネの仕組み作りをしていくとか、これから伸びてくる国のためにエネルギーが安定供給されるということは、それぞれの国やそれぞれの国民にとって、やっぱりその暮らしの安全・安心ということにつながるものであります。そういったことを、いかに確保していくか、これまで使ってきた我々の責任として仕組みを示していくということをどんどん研究開発してきたということが自分のいまある状況であります。その中で、どういう思いでこれを判断したかということだと思うのですが、まさに自分としては重い決断でございます。まさにこの青森県民の安全・安心ということをどう確保していくかということ、だからこそ早い時期から例のロイド・レジスタージャパンであり、また技術協会であり、何よりも品質保証体制というものを日本原燃株式会社にしっかりと確立して欲しいということを、とことん打ち出し、とことん要求してきた、そういう流れでございます。また、それは国に対しても、原子力安全・保安院に、私ほど足を運び、また、討論とまでは言いませんが、とにかくこちらの思いを言い続けた、また大臣に対してもそうでございますが、そういったことを重ねてきた知事は、自分であると思う次第でございます。従って、一言で言えと言われると非常に困るんですけれども、様々な思い、また自分としてなすべき手順というものを考え、次々と提案し、そしてまた、サイクル協議会もそうですし、原燃に対する申し入れもそうですし、様々な申し入れをし、様々な約束等をいただき、そういったすべてのものを判断材料として、ここに自分の判断に至ったわけでございますが、何よりも申し上げたいことは、どうせはしょられると思うんですけれども、最初に申し上げた、私としては知事就任以来という冒頭の部分、冒頭の数分間の部分は、強い思いとしてあります。それを抱きながら、しかしながら今後、我々青森県としての、県民のための安全・安心等、エネルギーの安定確保、それはしかしながら日本から世界に向けての思いでもあるわけですが、それは先ほどお話させて頂いたわけですが、そういった様々な使命感等を思いながら、しかし、県民の安全・安心、なによりも、ということで、この決断に至ったという思いが、非常に様々な思いが交錯しますけれども、そういうところでございます。

○記者
 ここまでのスケジュールなんですけれども、見てると反対派が言うことには、すごくテンポが早かったんではないかと、その中にですね、原燃さんがたとえば年度内とかを目指しているような感じがするんですが、そういった事業者側のスケジュールに非常に合わせた、配慮された形で進めてこられたんじゃないかという意見もあるんですが、その点についてどうでしょうか。

○知事
 先ほど以来、累々申し上げました、いかなる手順等含め、またいかなる確認等含め、我々として進めてきたと、まあいろいろ申し上げてきたわけですけれども、繰り返しになりますけれども、これまでも県議会議員、市町村長、原子力政策懇話会でのご意見を初め、県民説明会であるとか各種団体の意見聴取、また県議会の各会派からの意見も伺ったところでございます。また、いただいたご意見等も踏まえて、3月23日に日本原燃に対して新たなる4項目の要請をし、今後の同社の取組みについて確認した上、さらに核燃料サイクル協議会を開催して、国との対応について確認をさせていただくなど、私どもとすれば、考えられるあらゆる手順というものを丁寧に踏んできたと考えておりまして、そのように慎重な上にも慎重な手順を踏んだ上で、私としてはまさに、機が熟したという言い方は非常に短絡的な言い方なんですけれども、慎重な上にも慎重な手順を踏み、むしろ総合判断に至ったというふうに表現させていただきたいと思います。

○記者
 それは、県がやるべき事をやったので、相手方に合わせたスケジュールということではないということでしょうか。

○知事
 左様でございます。それはいま、ご報告をお聞きいただければ、様々なご意見に対してもまた、我々として要請、確認すべきことに対してもどう対応すべきか等を勘案し、そしてひとつひとつ前へやってきたということは、ぜひ報告書というか要旨についてはペーパーをお配りしておりますので、ご覧いただければと思う次第でございます。

○記者
 佐賀の玄海原発でプルサーマルが許可になって、さらに今日は伊方の原発でも原子炉の認可申請が認可されたのですが、こういったことはその知事のご判断の中に、追い風というかなにかとても影響を与えるようなことであったのかどうかお聞かせいただけますか。

○知事
 佐賀県知事さんが玄海の発電所に関してプルサーマルを同意したことは、各社にいろいろと私ご存知のとおり2月17日に行った時に言ったわけでございますけれども、九州電力においてプルサーマル計画が着実に推進されているということと受け止めております。私としては先ほど話しました2月17日、電気事業者の社長さん方が私に対して決意された取組みを、それぞれ着実に進めていくということが最も重要であると考えておりまして、従って逆に言えば、今後とも電気事業者の動向というものは、むしろ注視していきたい、そう考えております。

○記者
 今回のご判断には何か影響はありましたか。立て続けに見通しがついたということについては。

○知事
 私どもは私どもとしての様々な確認を行ってきたわけですが、たまたまそういうふうな形で、もともと九州とか四国とかは先行していたというか先発していた、そういう状況でございましたので、これは偶然という言い方は変でございますけれども、たまたまスケジュール的にそうなったのかなというわけでございます。

○記者
 昨日のサイクル協議会の会見の後にですね、知事が二階大臣については3月22日に来ていただいただけではなく書簡をいただいたという話であったと思うんですが。

○知事
 いわゆる六ケ所の方で21日に様々お話しを頂いたわけですけれども、そのことに関して知事宛て大臣名ということで書簡を頂いてはおります。内容は六ケ所でお話ししたことでございますが、口頭のみならずこういった親書という形というんですか、それで22日付で頂いたということはやはり私どもとしては重く受け止めたいと思っております。内容は21日のことが書いてあります。内容とすれば、青森県民の皆様方には多大なご協力を頂いて今日に至っていることに感謝しまして敬意を表するということがまずありまして、知事からお伺いしている再処理工場の建設に関する県民の皆様の懸念につきましてはこれをしっかりと受け止め、対応して参ります。特に高レベル放射性廃棄物最終処分に関しましては、これまで関係閣僚と青森県知事との間でなされた約束事につきましては、昨日も申し上げましたとおり、責任を持って守って参ります。核燃料サイクルの国内における確立は、我が国の原子力政策の基本であり、安全確保を大前提に地元の皆様をはじめとする国民の皆様のご理解を得つつ、着実に推進して参る所存であります、云々、ということが、内容は21日のことですが、そのようなことが書いてございます。

○記者
 それに一つ関連してですね、原燃と国に対して改めて地域振興策の充実というか継続を求めたかと思います。地域振興に寄与することを大前提に立地を表明したという経緯はあったんでございますけれども、財政面での核燃料税などや電源三法交付金などの支援もあるし、むつ財団による地域振興の仕組みもできあがってはおるのですが、知事としてまだその地域振興の仕組みは足りないものだと思われているので要請されたということになりますか。

○知事
 議会及び各団体からも、地域振興ということについては大きなご意見としてあったわけでございます。そして私とすればいま東京大学といろいろ進めておりますが、原子力に関わるだけじゃないですけれども、青森としての沢山のエネルギーの方向としての我々として、どういうふうに新たな産業を創出していくかということをいま、10月くらいまでにまとまるのですけれども、そういったこととしていまして、まさにこの分野含めて、我々が、再生エネルギーも含めて、そのエネルギー分野にいかに産業を興していくかということが重要になってくるわけでございまして、そういったこと等含めて私自身はまさに、エネルギーの産業の本家本元でございますから、期待するところはございます。当然、再生可能エネルギーの研究、まさに我々独自でやっている部分でございますけれども、その分野、水素とか太陽光、風力、バイオマスとか、そういったことについての協力、支援も期待してございますし、また先ほども勝俣会長からのお話しとしてご報告しましたとおり、地域に対してのいわゆる実際の発注であるとか、あるいはその今後必要になってくるメンテナンスの分野について実際にいろいろみてもらってどういうことが必要になるかということをきちんと対応するということ等も頂いております。非常に重要な観点であると思っております。

○記者
 再処理工場から排出される放射性廃液に関してですね、岩手の方から大分不安とか懸念の意見が出ておりまして、今日やっと日本原燃(株)が岩手県内で説明会を実施したわけですけども、その会場の参加者からはですね、日本原燃(株)が一回説明会を開いただけで、青森県や日本原燃(株)は見切り発車すべきではないというふうな意見もたくさん出たというふうに聞いております。こういうふうな岩手側の動きとか意見に対してはどういふうにお感じになっていますか。

○知事
 昨日来というか、前々から申し上げてるんですが、私自身の立場とすれば、青森県民から負託されている知事職として、青森県民の安全・安心ということ、これについてやはり最優先に考えていく、そのための活動を知事就任以来し続けてきました。そしていわゆる国の方からも、このお話の中で申し上げたとおり、いわゆる他地域、他地域っていう言い方は大変恐縮なんですけども、国及び事業者が説明を行っていく責任というものがあるのではないかと私は考えるのであります。

○記者
 今の質問に関連してですね、今日の判断に岩手県で日本原燃(株)が説明会を開いたことについて、今日の判断の中に含まれるのでしょうか。

○知事
 少し丁寧に申し上げるべきかどうかあれだけれども。私どももですね、日本原燃(株)が今日、久慈と宮古で説明会を開催したということ、また、その内容の概略については、説明を受けたという状況にあります。

○記者
 今の関連なんですけども、表明の時期ですが、表明の時間。これは説明会が終わったのを待ったとかなんですかね。

○知事
 もう一回繰り返しになるんですけども、岩手県において説明会が開催され、国及び事業者から、岩手県の方々に説明があったことは広報・広聴活動の一環であると受け止めています。今後とも、国及び事業者の対応を注視して参るわけでございますが、先程もお話させていただいたとおり、やはり私とすれば、青森県民に対しての、安全・安心を最優先にすべきものという立場でおります。

○記者
 くどいようで申し訳ないんですけども、一義的な責任は国や事業者にあると考えてらっしゃるようですけども、今日この場で、この時期に説明されるということに当たっては、そのことを重く受け止めて、表明時期については、それが終わるのを待ってたということではないんですか。

○知事
 ご存じのとおり、昨日来、私どもとしては、検証室の報告であるとか、三役関係部長会議等を頻繁に開いて参りましたし、その間にご承知のとおり、いろんな案件が、本日も年度末でございますし、まさに年度末的なもの、具体に言えば、消防の事があったりとか、宣伝させていただけば、大韓航空の事があったりとか、そういったこと等いろんなものを経てくる中で、こういう時間になったのかなというふうに。ま、その間にそういった、日本原燃(株)及び国が説明会等を行ったということは、その内容については把握しております。

○記者
 二階大臣からの書簡についてなんですが、これを受け取られたときに、驚かれたとか、どんなお気持ちだったかいうことと、

○知事
 ご存じのように六ヶ所においでになって、いろんな踏み込んだお話等もしておられたわけですが、大臣として、いわばこの事業、そしてまたこの事業に関連して私どもとして懸念している事等に対して、やはり言葉だけでなく、こうして親書という形でもお話を、お話というか、頂けたということは、大臣がその職責について大変大きな責任を果たすべく活動してらっしゃるということを私は強く感じました。まさに、大臣たるものこういう姿が、やはり私どもとしてはですよ、ああ、まさに大臣たるものだという思いでございます。

○記者
 驚かれたとかそういうのはないんですか。

○知事
 着いたのが24日だったから、率直な言葉で言えばあれですけども、二階さんっていう人はほんとにきっちりした人だなとあらためて、私とすればそういう思いを持ちました。

○記者
 初めてのことでしょうか。異例なことなんでしょうか。

○知事
 自分自身初めて、知事としても初めてですし、県としてもないですね。


−以上−

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平成16年度 平成17年度 

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