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更新日付:2018年12月5日 地域生活文化課
縄文を編む×東京藝術大学~美術体験プログラム~
青森県には、三内丸山遺跡をはじめ、数多くの貴重な縄文遺跡があり、そこから出土した遺物の数々は、それまでの縄文の概念を大きく変えてきました。
そして、そこから見える「縄文の暮らし」は、現在の青森の暮らしや文化の源泉とも言えるものでした。
今回、三内丸山を会場に、東京藝術大学美術学部の協力を得て、縄文人(じょうもんびと)達が自然素材を活用しながら、「糸を撚り(より)」「縄を綯い(ない)」「布を編んで(あんで)」きた暮らしの一端に触れながら、自らの思いをカタチにした作品を造形する美術体験プログラムを実施しました。
美術体験プログラム概要
■場所 三内丸山遺跡縄文時遊館体験工房
■参加 県内小学生とお父さん・お母さん=約30名
■内容 1.縄文時代ってどんな時代? 2.自然素材を使って作品を作ってみよう!
美術体験プログラムの様子
縄文時代ってどんな時代?
はじめに、伊藤先生(青森県史編さんグループ)から、縄文時代や縄文人の暮らしについて楽しく勉強。
お父さんやお母さんが習った「縄文時代のイメージ」からは大きくかけ離れた「豊かでカラフルな暮らし」だったとの説明に大人達が一同に「へ~っ!」
縄文人は編み物も得意で、とってもおしゃれだったんだよ!との説明に今度は子供達が「へ~っ!」
自然素材を使って、作品を作ってみよう!
★材料となる自然素材★
●チョマ(からむし:苧麻)・・・縄文人が実際に使っていた素材です。三内丸山遺跡には、苧麻や赤楚(アカソ)など、縄文人が実際に使っていた植物を植えています。
●ラフィア・・・帽子やバックに使われる天然素材で、マダガスカル島に生えているヤシの木、ラフィア椰子の葉を乾燥させることで出来た繊維です。
●わら(稲)・・・縄文時代には稲は栽培されていないため、縄文人は使っていませんでしたが、現在まで様々に使用されている稲わらを準備しました。
●ササや枝など・・・このプログラムのために実際に野山から採取した、ササや小枝(サクラ、コナラ、オオバクロモジなど)、樺類の木皮、ヒバ材のかんなくずなどを準備しました。
★ワークショップの内容説明★
東京藝術大学の上原先生(工芸科教授)、武内先生(芸術学科助教)から、ワークショップ全体の進め方や自然素材から糸を作ることや自分だけの美術作品を作ることについて説明がありました。みんなワクワクしてきました。
★糸をよる(撚る)★
いよいよ始まりました。
チョマ(からむし)を水で濡らし、まとまりやすくした上で、糸をよります。
糸のより方は、次のとおり。
1. 同じ長さ・太さの2本のチョマを選び、2本を結んで机の端に結わえます。
2. 2人一組で、それぞれ一本ずつを、同じ方向に同じくらいの回数でクルクルとねじります。
3. だいぶクルクルしたら、2本を1本に合わせて、今度はどちらか1人が逆向きにクルクルとねじります。
すると、あ~ら不思議!丈夫な糸のできあがり!
★経糸(たていと)を掛ける★
作品づくりのための小さな木製パネルに、チョマでよった経糸(たていと)を約1センチ間隔で張り付けます。
経糸をきつく張り付けるのは、結構なちから仕事でした。
★自然素材で編み込む★
ラフィアやヒバかんなくず、ササの葉や小枝など、いろんな自然素材を使って、本格的に編み込みます。
どんなデザインがいいか、友達やお母さんと相談する子もいれば、独創的な作品を黙々と編み込んでいる子もいます。
オオバクロモジの枝や、ヒバのかんなくずから発する「いい香り」に気がついた子供達もいます。
山桜の皮のゴツゴツとした感触を採用した子もいました。
さて、どんな作品に仕上がったかな?
★☆サプライズ☆★
作業の途中で、サプライズ!
チョマ(からむし)を撚った(よった)糸をつないだら、40メートルくらいになりました!
その糸がどのくらい丈夫なのか、みんなで「津軽凧」を揚げて確かめてみよう!
突然の提案に、大喜びの子、とまどっていた子など、いろいろでしたが、三内丸山遺跡の空に、みんなで作った糸で凧が揚がりました!(やや風が弱くて、揚げる人は走って大変でしたが。)
縄文人も凧揚げしたのかなあ。
★最後の仕上げ★
サプライズから帰ってきて、最後の仕上げです!
どんな作品ができあがったのか楽しみです。
早い子はもうできたようですよ~!
作った作品を手に持って、みんなで記念写真!
(このページのトップ画像です。)
糸を撚る(よる)という、地味な作業からスタートしたワークショップでしたが、みんな夢中になって糸を撚っている姿に、子供達の可能性を感じました。
また、お父さんお母さん達も、糸を撚る経験は初めてだった方が多く、その仕上がりに満足げな笑みを浮かべている姿がとても印象的でした。
今回のワークショップを通じて、青森の文化のルーツとも言える縄文の生活ぶりや楽しさを少しでも体感いただけたのではないかと思います。
県では引き続き、ふるさとの魅力や価値を、子供達が芸術体験を通じて体感できる取組を実施して参ります。